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第105話 人外魔境

「なんだと?!ニーナ達が子供達と森に行ってるだって?!」


「あぁ!母親にそう言って出掛けたそうだ!それにまだ帰ってないんだ!」


デイルが息を切らして村の入り口で待ち構えているガインに報告する。


「まずいな・・・今どこに居るんだ!?」


ガインは〈索敵〉を展開すると森の中のニーナ達の気配から離れて三つの気配が物凄いスピードで真っ直ぐ村に向かっていた。


「こ、この気配は・・子供達か!?おい!!門を開けるんだ!!」


ガインが慌てて門を開けさせるとそれと同時に3人の子供達が息を切らせて滑り込んだ!!


「村長ぉぉぉぉぉ!!!ニーナさん達がぁぁぁぁ!!!うあぁぁぁぁぁん!!!」


先頭で滑り込んだ最年少のミナがガインに飛び付いた!それに続いてロイとレイルもガインの元に集まる。


「ミナ!落ち着くんだ!何があったんだ?」


ガイン自身も早る気持ちを抑えながらミナの肩にごつい手を置く。

ミナは肩で息をしながら鼻水を啜り自分を落ち着けようとする。


「ぐずっ・・・わ、悪い人達に・・ニーナさん達が捕まったの!!!わ、私達に・・・村長さんに伝えてって!!・・・悪い人達は村を・・・襲いに来るの!!!・・うわぁぁぁぁん!!!」


ガインはペタンと腰を落として泣くミナの頭を撫でて顔を覗き込む。


「ミナ。ニーナ達は大丈夫だ!悪い奴らにニーナ達がやられるもんか!!ちゃんと帰って来るぞ!今ニーナ達はここに向かって移動しているぞ!」


ガインはニーナ達3人と6人の悪意が森を抜けて本体と合流したのを確認していた。


「えっぐ・・・本当?ニーナさん達帰って来るの?」


「あぁ!当たり前だ!今は悪い奴らと一緒に居るが奴らが村に入ったら皆んなでぶっ飛ばすんだ!!いいな?」


ミナは袖で涙を拭くとニヤリと笑い拳を握る!


「うん!!悪い人達をぶっとばすの!!」


そしてロイとレイルは以前ニーナに喧嘩を売った盗賊達を思い出していた・・・


「そうだ!あいつらニーナさんを怒らせたらどうなるか思い知ればいいんだ!!」


「本当に馬鹿な奴らだよね・・・ぶるっ!」


そしてその様子を見ていたミハエルも〈索敵〉で探っているとある事に気付く。


多分油断した所を魔法で拘束されたね・・でも・・・あれ?3人共・・あぁ・・なるほどね・・ふふっ・・奴らはニーナ達を人質だと思っているようだね・・・本当に馬鹿な奴らだね・・



「おい!お前ら!ガキ共をふん縛って連れて行け!!しっかり縛れよ!!何をするか分からんぞ!!」


ゼガルはヨロヨロと立ち上がる部下達に指示を出すとニーナに近づき指輪を付けている手を掴む。


「このマジックアイテムは頂くぜ!!こんなお宝にありつけるとはついてるぜ!」


「ふふん!欲しかったらあげるわよ!ただしあんたが使いこなせるかは疑問だけどね。」


「何だと?!ふん!負け惜しみだな!」


ゼガルは顰めっ面でニーナの手から指輪を抜き取った。しかしその瞬間ニーナの身体から爆破的に闘気が溢れ出す!!ゼガルはその勢いで吹き飛び転がった。


ずざざぁぁぁぁ!!!


「くっ!・・な、なんだ?!ど、どう言う事だ?!このマジックアイテムの効果は何だ?!」


「ふふん!装備したら分かるわよ!それより楽しみだわ!あんた達はこれからメルト村の最大戦力に喧嘩を売るのよ。今からあんた達の末路が目に浮かぶわ!

教えてあげるわ!あんた達は1000%の確率で良くて再起不能。もしくは死ぬわよ!

たかだかレベル625の〈神の使人〉ごときがミハエル君に敵う訳が無いのよ!桁が違うのよ!!・・ふふふ・・・あんた達なんか死ななきゃ分からないのよ・・・」


ゼガルはニーナ達の指輪を抜き取り優位に立ったつもりであった。しかし現実はニーナ達の闘気が立ち昇りゼガルはその場から暫く動けなかった。


い、いいのか・・・このままこの村に手を出しても・・・と、取り敢えずドルム様に報告しなければ・・・。


ゼガルと部下達はニーナ達の闘気に当てられ背後から巨大な何かに身体を握られている錯覚に襲われながら汗だくで進むのであった。




そしてこの状況を眺める者達がいた・・・


エント殿あの子供達はメルト村の者だろう?助けなくて良いのか?


ベヒモスが地面から顔を出してニーナ達を見る。


「ベヒモス殿。確かにあのまま子供達を殺そうとしたなら手を出そうと思いましたが、あの様子なら大丈夫でしょう。

あの歳であの強さは規格外ですからね。」


「そうだな!あれじゃあどっちが人質か分からん!それに主様の居る村を襲うとは・・身の程知らずにも程があるわ!」


ジンが空から舞い降り大きな枝に腰を下ろす。


「その通りです。あの者達が主様に敵う訳がありません。それに・・・あの方も居る事ですし・・あの者達の末路は分かりきっています。」


エントは自分の主が一番強いと言えないもどかしさに目を細めて村の方角を眺める。


「・・・あぁ・・ミハエル殿か・・・さっき会った時全身が逆立つ程の存在感だったな・・・それにあれで力を抑えているとはな・・・あいつらがミハエル殿を怒らせない事を祈っているぞ・・・」


ベヒモスは身震いをしながら地面へと隠れるように帰っていった。


「全くその通りだ!ミハエル殿が全力で魔力を開放しただけでこの森が吹き飛ぶぞ!!いっその事俺があいつらを吹き飛ばしてやろうか!」


「ジン殿お待ちなさい。主様の命以外であまり人間に干渉してはいけません。

・・・でも確かに私達上位精霊が人間の力に怯えるとは・・・メルト村はこれからますます人外魔境と化すのでしょうね・・・」


森の上位精霊エントはメルト村から立ち登る近づき難いオーラを前に頬に汗を垂らすのであった。

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