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第104話 メルト村の子供達

「止まって!・・・5人。こっちに向かって・・・違う!もう1人いる!

・・多分〈隠密〉・・そして〈索敵〉持ち・・奴等の偵察隊ね・・・じゃあ隠れても無駄ね・・・ラル、イルグ、第2段階開放よ!」


「「了解!!」」


ニーナは立ち止まり指輪を二つ外した。そして子供達の前に出るとアイテムボックスからピンク色の厚手の手袋を取り出して両手に装備する。

この手袋はミハエルに作ってもらった特注品であり指の部分は無く拳の部分に硬い突起が四つあしらわれ〈拳闘士〉のニーナ専用の武器である。


【爆裂拳】

 攻撃力 50000

 スキル 〈爆裂〉


(ラル!イルグ!気付いているよね?後ろの警戒をお願いよ!)


(うん。分かってる!)

(大丈夫!ちゃんと位置は分かってるさ!)


2人も指輪を二つ外して剣を抜き迫り来る敵に緊張を滲ませる。すると森の中から蹄の音がゆっくりと近付いて来た。


(来たわよ・・・気を付けて!)

(うん。)

(あぁ。)


すると木々の間から馬に乗った5人の男達が姿を現した。

男達は動きやすい黒のライトアーマーを装備しており一目で偵察隊と分かる出立であった。


男達は馬から降りると短剣を抜いてニーナ達に近付いて来る。


「おい!お前ら村のガキ共だな?一緒に来てもらうぞ!!抵抗しても無駄だぞ!」


「お断りよ!あんた達の魂胆は分かってるわよ!全力で抵抗するわ!!それにたったレベル400そこそこで私達に勝てると思っているの?!」


ニーナは身体を斜に構えて男達に拳を向ける!


「こ、このガキが!!〈鑑定〉持ちか!ふん!ハッタリもいい加減にしろよ!!現実を見せてやるぞ!!・・・おらぁ!!」


真ん中の男が地面を蹴りニーナに襲い掛かった!


しかしニーナから見ればまるでスローモーションのように見える男の動きに肩をすくめて地面を軽く蹴る!


「・・・遅い。」


「なっ?!消え・・・」


どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!


「ぶぐべぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


男の目にニーナが消えたように映った瞬間、腹部にニーナの小さな拳が突き刺さった!

更に追加効果〈爆裂〉により爆発の衝撃も加わり男の腹部に絶望的な衝撃が襲い身体をくの字に折りながら吹き飛ぶ!!

そして吹き飛んだ先には何が起こったのか分からず立ち尽くす仲間の男達がいた。


「お、おい!!ま、待て!こ、こっちに飛んで・・・」


どかぁぁぁぁぁぁ!!!


「くげぇぇぇぇぇ!!!」

「ぐはぁぁぁぁぁ!!!」


ニーナに襲い掛かった男は後ろにいた4人の仲間を薙ぎ倒してボロ雑巾のように転がった。


「分かった?ハッタリじゃ無いのよ?さっさとお家に帰ったほうが身の為よ!」


ニーナは手をパンパンと叩きながら転がった男達を見下ろした。


(くっ・・・嫌な予感が当たったか・・・ガキでこの強さか・・この村はヤバイぞ・・・)


「ねえ!木の上の人!あんたはどうするの?」


ニーナ達は背後に立つ木を見上げると斥候隊長ゼガルの肩が跳ね上がる。


(な、なんだと?!〈隠密〉が効かない?!どういう事だ?!

ちっ・・・最初からバレていたって事か・・やってくれるぜ・・だが・・このまま手ぶらで帰る訳にはいかないんだよ・・・)


ゼガルは仕方なく木の影から姿を現すと音も無く地上に降りてきた。


「お前!何故分かった?!〈索敵〉では分からん筈だぞ?!」


ニーナはそのセリフを待っていたかのようにニヤリと笑いゼガルをビシッと指差す!


「残念だったわね!〈隠密〉じゃあ気配は消せてもあんたの悪意までは消せないのよ!!

メルト村の人は殆どの人が出来るわよ!だから〈隠密〉なんかメルト村じゃあ役に立たないわ!!」


そういう事か・・・気配以外に感知するスキルか・・・でも待てよ・・今の口ぶりだと何人も同じスキルを持ってる奴がいる?そんな事あり得るのか・・・


ゼガルはふとニーナの指にはめられた指輪が目に入った。


子供の癖に指輪?それも・・5つも・・・はっ!・・・マジックアイテムか?!いや!待てよ・・そんな都合良く同じマジックアイテムが何個もある訳が無い・・・まさか・・マジックアイテムを作ってる奴が居るのか・・・よし・・


ゼガルは少し目を閉じ考えを纏めると静かに目を開ける。


「おい!そのグローブと指輪はマジックアイテムだな?!」


ニーナはゼガルの洞察力に少し驚き集中力が一瞬途切れた。


「へー!よく気付いたわね?そうよ!村の人達を守るために作ってもらったのよ!!」


やはりそうか・・・


ゼガルはニーナが話している間に俯き囁くように詠唱を始めていた。


(”闇の力を持って敵を拘束せよ〈シャドーバインド〉”!!)


ゼガルの足元から3本の黒い影が高速でニーナ達に伸びて行く!


「あっ!!!しまっ・・・」

「あっ!!」

「くっ!ヤバイ!」


ニーナとラルとイルグは一瞬の隙を突かれ黒い影に囚われ両手両足を拘束され転がってしまった!


「ふう・・所詮ガキだな。敵との会話には気を付ける事だな。

もし問答無用で掛かって来られたら危なかったぞ。」


ゼガルがゆっくりと子供達に迫る。


ニーナ達は必死にもがくが振り払えず立ち尽くす子供達に叫ぶ!!


「皆んな!!早く逃げて!!村長さんに伝えて!!」


「えっ!?で、でも・・・」


子供達はニーナ達を置いて行く事に戸惑い動けずにいた。


「私達はなんとか出来るから!!早く!!」

「大丈夫だ!!俺達は後から行く!!」

「つべこべ言わずに走れぇぇぇぇぇ!!!」


イルグの叫びに子供達は我に返るとニーナ達に頷き村に向かい全力で地面を蹴ると固い筈の地面が抉れ土煙りが上がる!!


ずばぁぁぁぁん!!!


「な、なに?!は、速っ・・・」


ゼガルは子供3人と油断していたのか出遅れてしまった。そして子供達を捕まえようと伸ばした手が虚しく空を切るのであった。


「く、くそっ!!!一体お前らは何なんだ!!」


「ふーんだ!!メルト村じゃああのくらい普通なのよ!!ばーか!!残念でしたぁ!!」


そうメルト村の子供達なのである。ミハエルから預かったマジックアイテムで鍛えた子供達なのである。


ニーナ達はあのまま子供達3人でもゼガルを倒せたかも知れないが自分達が人質になった時の事を考え子供達を逃がしたのだ。


「さあ!これで私達を人質にするしかなくなったわね?

でも忠告してあげるわ!村には私達なんか足元にも及ばない人が何人もいるわよ!!私達に手こずるあんた達なんか近づく事も出来ないわよ!!」


ニーナは地面に転がりながらも上からものを言い放つ!!


くっ・・どうする・・こいつの言っている事は・・ハッタリでは無さそうだぞ・・・くそっ!!何をガキにビビってる?!こっちには3人も人質が居るんだぞ!!それに・・・上手くいけばマジックアイテムを取り放題だ・・・


ゼガルは大きな不安を無理やり抑え込み前向きに死地へと赴くのであった・・・。


皆様の評価、感想をお待ちしております。

よろしくお願いします。

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