王子様ルートは消えてなくなりました
「貴女たちはまだ学生であり、淑女のとしての――」
お説教は、連帯責任ではないのですが、私たちにも行われました。
お説教ですからね。
教えを説くのであれば、教訓にできる事例があった段階でするものです。
そこに罪の有無はありませんでした。
問題を起こした御令嬢は、そのまま退学コースです。
王子様を性的に襲ったのです。普通に犯罪ですし、爵位の差により罪状5ランクアップとなりました。
彼女は高魔力の令嬢ですから、利用価値を考慮され、高魔力の変態ジジイの慰み物にされるそうです。
一言でまとめると、見せしめですね。同じことをするおバカさんが出ないようにするための。
私はその様なはしたない真似はしませんから、どうでもいいのですけれど。
王子様は、騎士様が守ったので無事でした。
王子様の貞操は守られたのです。
私はその事にホッとしました。王子様が酷い経験をせずに済んだ事を喜びました。
乙女ゲームの攻略対象ですもの。
卒業までは傷つかず、綺麗なままでいて欲しいのです。
王子様の心を救うヒロインですから、真逆の事などしないのですよ。
それが、ヒロインとしての最低限の心得だと思うのです。
「っ!? あ、あぁ。すまない」
それから、王子様は私たちを怖がるようになりました。
王子様に婚約者がいない事情は、結婚の許可が下りない公爵令嬢の存在があったからです。「血が濃くなりすぎる」という理由で結婚の対象から外された彼女が妨害しているからなんですね。
そういった事もあって、女性不信の素質のあった王子様は、本格的に女性恐怖症を発症してしまいました。
私のヒロイン生活は、完全に終わったのです。
ただ、そうやって諦めがつくと、私の心はずいぶん軽くなりました。