出会いは普通(笑)ですよね
貴族学校なのです。
王子様は、同い年です。
イケメンなのですよ! とっても楽しみです!!
ヒロインは普通(笑)の男爵令嬢ですから、学校で迷子になって助けてもらうような展開はありません。それは普通ではなく、アホの子ですから。
二人の出会いは、魔力量別で振り分けられるクラスの自己紹介なのです。
出会いは普通ですよね。
ただ、イケメン王子様の御尊顔は、入学式の、新入生の挨拶で見ることができます。えへへー。ワクワクします。
「我々は未来の国家を担う者として――」
素晴らしい。グレイト。ハラショーですよ!!
王子殿下は、ゲームの二次元顔を三次元で違和感無く再現しておりました。パーフェクトですよ!!
これから3年間、あのイケメンと同じクラスで学べるのですよ! 最っ高!! 鼻血が出そうなぐらい嬉しいです!!
乙女の意地にかけて、本当に鼻血は出しませんけどね。
無難に入学式を終えた私は、ホクホク顔で教室に向かうのでした。
「――男爵家の――」
「――男爵家の――」
あれ?
おやおや?
男爵令嬢が一杯なのですよ?
同じクラスに私を入れて8人もいます。
まずは自己紹介から始まるのですが、なぜか男爵令嬢が一杯なのです。
クラスは魔力量で別けるのですから、みなさん、私と同じ“公爵級の高魔力”という事ですよね。
あるゑ? どーいう事なのでしょう?
しかもみなさん、見覚えのある超美少女です。
うっそぉ。
現実逃避してはいけませんね。
みなさん、全員。ヒロインっぽいです。
イラストは何パターンかありましたが、それが全部回収されたのですね。なるほどー。
――じゃ、ねーのですよ!!!!
どーいう事ですか!
説明を求めるのです!
公爵級の高魔力者って、レアなはずなのに、こんなに一杯いたら埋没して、私が王子様と仲良くなれないのですよ!! ふずばっど!!
とは言え、打てる手など無いのです。
排除なんて出来ませんし、非合法な手段など論外です。乙女ゲームのヒロインの所業ではないのです。
乙女ゲームのヒロインたる者、正々堂々とイケメンを攻略するのですよ!
負けてたまりますか!
あのイケメンは私のなのです!!