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ラッキーゾーンの日



「ユリエル様、粗茶で申し訳ないのですが……宜しければ」

「まぁ!ありがとうございます。勝手についてきたのにお気遣いさせて申し訳ございませんわ」



今日はシルクがレイさんのお屋敷での稽古に付いてきて、木陰に用意された椅子で少し見せて頂いていれば、オスカーお父様がお茶を持ってきて下さった。



「シルク様は筋がいいですね。公爵様でなければ騎士団に入って欲しいくらいですよ」

「そのお言葉を頂けたことだけでも光栄に思いますわ」



シルクが褒められて嬉しくなって一口飲んだ紅茶をテーブルに置くと、そっと席を立ち少し見やすい位置へと移動する。



「あっ、でも今日は風の魔力の勉強もさせて貰うからあまり近付かないでって言われてたっけ……」



ここならまだ距離もあるしこれくらいなら大丈夫だろうと足を止めればペンニーネ新作のフレアワンピースが風に揺れ、帽子を抑えながら青い空へと視線を移す。



「晴れて良かったわ」



この後エルサちゃんに会って帰ろうと緩む頬共にオスカーお父様の元へと踵を返そうとした時……、




「「風よっ!!!!」」



二人の声が重なって聞こえたと思えば、ちょうど見ている正面の場所で風と風がぶつかり、その流れ弾ならぬ流れ風が真横に居るわたしへと向かう。



「「……!!」」



驚いたのはわたしだけではなく、その魔力を放った2人も驚愕の表情を浮かべると共にクロモリがわたしの前へと現れ、抱きしめるように風の直撃を避けてくれた。




「あ…ありがとうクロモリ」

「エリュー 危ない 気をつけて」



そう言って魔力となり消えていき……フレアスカートがヒラリヒラリ元の場所へと降りていく。



……降りて…??



正面はクロモリで抑えられていたけど、後ろはバッチシ捲れ上がったらしい。そして………うしろの正面だぁ〜〜〜れ?



そっと振り向けば、流石にレイさんのお父様という爽やか笑顔。え?あれ?あんな感じだっけ?爽やかさに拍車が掛かっているような?



そっと視線を戻せば、こめかみに手のひらをつけて呆れた様子のシルクと、慌ててレイさんが駆け寄ってきて両肩に手を置かれ心配そうに覗きこまれる。



「ユリエルくんすまないね。大丈夫だったかい?」

「えぇクロモリもおりましたし?その、えっと、はい……」


無意識にそっとヒップに手を伸ばし、そっと撫でて確認をする。



……ロングスカートで暖かい季節になってきて……油断して、スパッツ履いてないな……これ。



「父上……見ましたね?」


レイさんの視線は後ろのお父様へと移り、してほしく無い確認をされて内心アワワとなりつつもオスカーお父様を見れずにいれば微笑んでいらっしゃる雰囲気。



「ユリエル様の御御足(おみあし)かい?それとも変わった召喚獣かな?」


そうだクロモリ人型でした!とか、更に内心でアワアワしてるうちに「両方です」とレイさんが言う。

いや前半は問わないで!見られてないで終わりたいっ!



「そうだねぇ……うん。見てないことにするよ」



見てないことにされたと言うことはやはり見られたのだとちょっと待っておパンツ、どんなおパンツ履いてたっけ!?まさかスカート捲るわけにいかないから、ワンピースなことを幸いに胸元から除けばおパンツ確認できるんじゃ無いかと気が付いた!ユリエル天才!!



そんな事を考えて指を胸元に掛けた時、シルクの手に止められた。


「……何をしようと?」

「いや、ほら、ちょっと確認を!?」

「なんでそこを見るの!?」

「……ハッ!!そうね!?ユリエルじゃ胸元から見ても胸が邪魔でおパンツまで見えないわね!」

「黙って!!!!!」



真っ赤になってツッコむシルクと、視線を感じてレイさんを見れば爽やかに微笑んでらっしゃり、この至近距離で胸元を開くなんぞ、この爽やか麗しイケメンの前で危なかったと慌てて愛想笑いと共に胸元から指を離した。



「で?何してるの?」



わたしが改めてそっとスカートの上からヒップを触り、カッと吊り目を開いてシルクに告げる。



「大丈夫!!今日は可愛いの履いてる!魔法祭の時みたいなダサダサおパンツじゃな……」

「頼むから黙ってぇぇぇ!!!」



唇にシルクの手をパンッと当てられた。おパンツの事だけにパンッとね!!



「……魔法祭?」

「触れないでください……」


何故かビュオッっとレイさんの魔力の風が吹いた気もしたけど、気のせいだと塞がれた口の代わりにシルクが答える。



「なんの話かな?」

「問わないで下さい……」



何故か食いつくレイさんに、シルクに抑えられた口のままコクコクと頷く。



「そうだぞ、レイ。公爵様に対して…」

「……父上がジークフリード様にお酒掛けた話を私が知らないとでも?」



レイさんの発言に、わたしとシルクが目を見開けば、照れ臭そうにオスカー様が笑う。



「若い頃の話ですから……」

ううあんうんあ(聞きたいですわ)!」

「よし、姉さん帰ろう。聞いちゃいけないこともあるかもしれないし」



心の底から気になるまま、シルクにそのまま引きづられて馬車に乗られ帰らされました。 チャンチャン。







5月26日は「ラッキーゾーンの日」だそうです。


今回ラッキーゾーンに居たのは……レイパパでした!!!

ある意味ユリエルが1番見られてダメージデカい相手っぽいですね……



シルクのファインプレーは口を抑えた事。


多分そのまま喋らせてたら、



「大丈夫!!今日は可愛いの履いてる!魔法祭の時みたいなダサダサおパンツじゃないし、ベージュとか可愛くない色じゃなくて、たしか◯◯色だったし!?レースついてて可愛いし、いやもしかしてくまさん柄とかの履いてた方がメンタルダメージ少なかったかしら!?いや、ユリエル若いとはいえくまさん柄は無い!?ないかしら!?でも可愛くて買っちゃったし、猫柄はクロモリの親として履いてるのは仕方ないし、でも親としてクロモリ柄を履くのってどうなのって今思ったけどシルクはどう思う!?いやそんなことより今日は大丈夫!可愛いわ!」

「……口を……閉じて(泣)」



身内でミスをやらかすと口数の多くなっちゃう系お嬢様。


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― 新着の感想 ―
[一言] 爽やかであればあるほど…なのは血筋ですね!?
[一言] 悪役令嬢らしく黒いレースだろうそこは
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