エイプリルフール 〜ロット編〜
「ロットさん、クッキーですわ」
「お!姫さん差し入れか!姫さんのクッキー、毎度美味いからなぁ〜。頂きます!!辛ぁっっ!!」
その一連の流れを見てからジトっとした瞳を向ける。
「流れる様な動き…何か聞いてましたわね」
「いいやぁ、聞いてへんよぉ〜?レイが何も騙して貰えんかったって言うっとっただけやねぇ」
それで自分のところにもくると踏んだのか、ネタなら即ノッて、即終わらせようと言う魂胆だったのだろう。
「もう、わざわざクッキーまで焼いてきましたのに。って、普通に続きで食べないで下さいませんか!?我ながらかなり中に辛味を入れましたわよ?」
「いや、辛いんやけどね。なんか癖になるというか…」
パクパクといつもと変わらぬ勢いで食べるロットさんを見ていれば、思わずつられて一つ手を伸ばす。
「…思いの外にカラウマに出来てますわね」
「せやろ?姫さん、辛いのもイケる口か〜」
「えぇ、結構好きですの」
「ほなお茶淹れたるわ〜」
「ありがとうございます」
そう言って淹れていただいたお茶を飲めば……
「しっっぶいっっっですわっっっ!!!」
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!騙されおったわ!!」
明らかに吹き出して笑うロットさんに口元をハンカチで抑えて苦情の目を向けるが、ロットさんもロットさんで舌を出してヒーヒーしてるので、これは騙せなかったにしても辛いのは苦手だったのだと、ある意味両成敗な結果なのだと知る。
「やられましたわ…」
「オレもクッキー思った以上やったわ…口ん中イッタイわぁ〜」
互いに笑いあうと美味しいお茶を入れ直してくれて、わたしもお口直しに用意したいつものクッキーを差し上げて、つまらない嘘ばかりの談笑を過ごした。
ちなみに会話の一部をこっそりと。
「わたくし実は……シルクの妹でしたのよ」
「姫さん、それは嘘にしてはバレバレの…しかも嘘やのにホントっぽすぎて驚けへんのはあかんわ。ちなみにレイのとこのミヤナ姉ぇは、オレの姉さんやで」
「え!?ホントですの!?」
「勿論嘘や」
「ちなみにレイのおっちゃんとウチの親父は同い年」
「ロットさんのお父様?ふふふ、騙されませんわ。だってお若いでしょう?見た目でいえばうちのお父様より同じか少し上くらいかしら…?そう違いませんわよね」
「いやそれはホンマ。考えてみぃ、うちにはサマル兄ぃとおんなじ歳の実兄おんねんで?あ、クロモリはん、この前一人で買い物来たで。お金の計算もしてえらいなぁ」
「え?!いつの間に」
「嘘や」
この後もユリエルはロットの嘘とホントを織り交ぜた会話に混乱。
ロットとユリエルのエイプリルフールは
ロットの勝利。
まだつづくよ!!
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