エイプリルフール 〜グラヴァルド編〜
「おはようございます。グラヴァルドさん」
「おぉぉぉおぉお!?お嬢ぉがなんでここにぃ!?」
騎士団の宿舎のグラヴァルドさんの部屋。
嘘を悩みすぎて寝起きドッキリな丸秘な報告的なやつになったのは、わたくしも間違えたと思ってる。エイプリルフール違う。こっそりストローとかもぺろぺろする程おかしな教育は受けていないので、とりあえず挨拶をしてみたけど、なかなかの飛び起きっぷり。寝起き最強。朝の弱いわたくしにも分けてほしい。
「驚きました?」
「嘘じゃろぉ?なんでお嬢ぉがここにぃ〜?」
その言葉で思わず満面の笑みが出る。
「嘘?嘘と仰いました?ふふふっ、こうして学園の後輩が突然居ること嘘みたいですわよねぇ〜うふふふふふ」
「お?おぉ、そうじゃのぉ??」
思いの外に出てくれた『嘘』と言う言葉に満足してうんうんと頷く。
「うふふ、四月嘘のついでに何かしましょうか?あれかしら?お掃除?」
と言うか、それ以外に出来ることは思いつかないと言ってみれば、その赤く短く立ち上がった髪を掻きながら、困った様に眉をしかめる。
「いやぁ〜ワシの部屋はぁ掃除されてもたいして物もないし、訓練用の物はお嬢ぉの細腕では重くて動かせん…なら、お嬢ぉは厨房で働いておったしの!朝飯とか…お、お願いしてもいいのかぁ?いや、ダメなら、いや、ダメかぁ、気にするこったぁ無いから…いや、だからお嬢ぉ……?…何故そんな死戦にでも赴く騎士の様な顔を…」
「大丈夫ですわ、では厨房…いや、キッチンをお借りしますわね」
イケる気がする。今日はイケる気がする!!!
そう心で自信をもって、材料を手に取り最低限自炊はしている風のグラヴァルド宅のそのフライパンを用意して、今度こそホットケーキを…!!!
ボッカーーーーーーン☆
「お嬢ぉぉぉぉぉおぉ!!?嘘じゃろ!?なんで今の工程で爆破するんじゃぁ!?」
「ふっ、二回も嘘だと言わせた、これぞユリエル・セルリアの実力ですわ!!!」
わたくしが満足してアフロのまま立ち去れば、間髪おかずにうちのメイドが駆けつけて、キッチンは元より綺麗に片付けました。
「な・なんだったんじゃぁ?幻だったんかぁ?」
そう呟いたグラヴァルドさんにはアナが最後に、
「エイプリルフール。四月の嘘でございます」
そう言って立ち去った。
グラヴァルドとユリエルのエイプリルフール
ユリエルが辛くも勝利
エイプリルフール、まだまだつづくよ!!