色の日
「姉さんは、なんで今日ちょっと不機嫌なの?」
生徒会室でみんなを見つめているとシルクが困った様に声を掛けてきた。
「今日は色の日なんですの」
「…また訳のわからないことを…」
「訳わからなくないわ!見て!皆様の綺麗な髪色や瞳を!!どの髪見ても〜キ〜レ〜イ〜だ〜な〜♪よ!?」
「…まぁそうだね。生徒会室は特に鮮やかだねぇ」
「中でも一番鮮やかなのは…」
何故かドヤ顔で腕を組むロイさん。
「…ロットさんですわ!!」
「なんでや!!?どう考えてもロイはんやろ!!?」
「そうだ!王家にしかいない髪だぞ!?」
「同じ色のお母様の方がボリュームもありますし…」
「人を薄毛みたいに言うな!!」
「今は居ないけどミラさんも2色のグラデーションが美しいですよね」
「姫さん王子様の話し無視せんとって!?」
とりあえずシルクが何かツボに入った様でウケてる。
「金や銀なんてもう言うまでもなくメダルレベルじゃない。それにみんな冠位十二階で偉いし!!」
「カンイなんとかってなんや?」
「黒なんて下から2番目!!1位は紫ですわよ!?」
「ユリエル様ワタクシめを御呼びになられましたか!!?1位!!?」
「わたくしランキングではございませんのであしからず…えっとなんの話でしたっけ?」
「オレらにはサッパリ」
腕を組んで思い出し、
「…そう!カラフルで羨ましいって話ですわ!」
「まぁ姫さんが言うほど2色も珍しいってわけでもないで?ほらミラはんや、今居らんけど、リランはんも2色やしな」
「だって…黒は何混ぜても黒ですの……」
しょんぼりと呟けば、
「…ユーリ?」とロイさんが心配そうに声を掛けてくれる。
「黒はたとえ染めても染まりにくいナンバーワンですわ!!」
「「「染めるな!!」」」
部屋全体でハモられた。
「ユリエルくんのカラフルの基準はわからないけど、ユリエルくんの髪が一番綺麗だよ。唯一無二で美しい髪だと私は思うよ」
「レイさん…」
「それじゃダメかな?」
「駄目です」
「ん〜…?難しいねぇ」
「おぉ…さすが姫さんや…あのレイの褒め言葉を切り捨てたわ…」
ふうっとため息を一つ付いて、部屋を見渡す。
「小雨を連れてくる雲の様な美しいレイさんの髪に、海みたいなアベイルさんの髪、草原に咲く薔薇の様なロットさんの髪」
「うわ…姫さんの褒め言葉オレには耐えられへん…!!」
涙目で腕をさするロットさん。
「あと金と銀」
「雑だな!!」
「姉さん僕まで!!」
「わたくしなんて目も髪も黒よ!?カフィみたいなピンクとかになりたかったわ!!」
思わず憧れる頭を言えば、シルクが大きく溜め息をついた。
「姉さん」
「何?慰められても譲れないわよ」
「クロモリ出して」
「クロモリ?……はい出したわ」
「じゃあクロモリ、人型になって。うん、今少し小さいくらいが丁度良かった」
わたしに魔力を分けてくれたあとなので、クロモリは少し小さくて可愛い。
「で、姉さん、さっきの言葉言ってみて?」
「黒…いえ、クロモリはいいのよ?」
「クロモリは、姉さんと同じ色の嫌?姉さんはピンクとか違う色がいいって」
「クロモリ…エリューとオソロイ うれしい」
「シルク…ひっ、卑怯ですわよ!!?」
子どもを使うなんて卑劣な…!!と続けようとすれば、
「エリュー…クロモリも 黒じゃ だめ?」
ちょっと寂しげに首をかしげられたーーーー!!!
「駄目なわけありません!!!わたくしが我が儘を言ってましたわ!!生まれたままが一番可愛いのよ!!?黒は良いわよね!!お揃いだものね!!黒い獣の姿もカッコいいわよね!!!うちのクロモリは世界一よ!!!!」
思わず我が子をギュッと抱きしめる。
「なら姉さんは?」
「エリューも せかいいち」
「わたくしの完敗ですわ…」
「じゃ、仕事はじめようか。」
レイさんが切り替えて、今日も生徒会のお仕事のお手伝いをいたします。
1月6日 色の日です。
生徒会室はいつも賑やかです。
そして…アベイルが一言も喋ってない。
「染めるな!!」には一応入ってるかな
しかし詳細でいえば
「染めるな!!」
「染めないで!!」
「染めないで下さい!」
「染めてはダメだよ」
「染めたらあかん!!」
ってとこですね。
さぁ、誰がどれをいってるでしょうか!!
わかったあなたはちょい若マニア認定です!!(作者が嬉しいだけとも言う)