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くろの日



「クロモリ〜、ジュリ〜」

「いや〜、ユーリの召喚獣は個性的でいいねぇ〜」

「はっ!!お父様ナイスですわぁ!」



クロモリとジュリを我が家の庭で出して散歩でもしようと思えば、お父様に名前を呼ばれてはたと気がつく。


「モリ・ジュリ・ユーリ…わたくし達、仲良しこよしな感じがしません!?」



満面の笑みで言えば、通りすがりのシルクが「姉さんはユリエルでしょう?」と少し語呂を濁して行くが、気にせずにお父様を見てれば、大きく頷いてくれる。



「お父様、ジュリはね!セルリアにもあるからリをつけたのだけど、クロモリもリだし、なんだか嬉しくなっちゃったわ!!」


ニコニコと伝えれば「そうだねぇ〜」と微笑んでくれる。



「そうだ!ならユーリ、この際だから我が家の名前も『セルリア』から『セルリ』にしちゃおうか!そしたら僕も、ロズも、シルクもみーんなお揃いだよ」


ニコニコと言うお父様に、

「それは面白いわ!」とコロコロ笑って返事をすれば、少し離れたシルクが慌てて戻ってきて、

「そんな重大な事をサラリと話さないで下さい!!」とツッコミを入れる。



「そしたらお父様もユーリみたいに髪を黒く染めようかなぁ〜」

「お義父様は突然何を言ってるのですか?」

「だって我が家はロズは王家の金の髪で、キミも珍しい銀髪で、ユーリもこんなに希少に可愛く美しい黒い髪だろう?」

「まぁお父様、有難う御座います」


親馬鹿が爆発している気もするが、素直に御礼を言えば、ちょっとだけ口を尖らせて、


「僕の緑の髪色だけ少し普通で寂しいじゃ無いか」なんて可愛い事を言う。



「そうですか?そんなに居ないと思いますけど…でもロットさんのご家族…ペンニーネ商会のお父様やお兄様は、もう少し色は濃いですが緑色ですわね。あ・ロットさんは赤いメッシュが入っておりますけど」


顔を擦り付けてくるクロモリを撫でながら言えば、お父様の明らかに拗ねた顔。



「お父様?」

「ユーリのお父様は僕だけだよ」


言われた事を一度考えてから答えを出す。


「いや…ロットさんのお父様ですわよ」

「ペンニーネ商会のペンニーネさんだよ」

「その通りですわね」

「ペンニーネさんだよ」

「それだとご家族皆さまペンニーネさんですわ」

「そうだよ!我が家はみんなセルリアさんだよ」

「屁理屈!」



無言で離れて行こうとするシルクをクロモリに服を噛んで連れてきて貰って、その服の袖を引っ張って「どうしましょう。お父様が面倒くさいわ」などと愚痴れば、その目はもっと面倒くさそうで理由が分からず首を傾げれば、シルクは溜息と共に言葉を溢した。



「そうだね。姉さんそっくりに」


「!!!??」



心外すぎるその言葉に目をパチクリとさせれば「自覚がないの?」と更に心外な事を言われてしまう。



「覚えてないの?ほら、いくつだったかな…10歳くらいの時にお父様の知り合いの子が珍しく来て、歳が二つ上だと聞いたから僕が『カルテお姉様』とか呼んだら、姉さん笑顔だけど明らかに目が笑わずに『シルク?シルクのお姉様はわたくしだけなのよ…ちゃんとカルテ様とお呼びしないと失礼よ』って」

「ん・それはホラ。あれよ。うん。可愛いお姉ちゃんの独占欲よね」

「ならアレも可愛いお父様の独占欲なのでは?」

「……お姉ちゃんとお父様は違うわ。何故ならお姉ちゃんは若いからね!!」



バーーーンと胸に手を当てて言えば、ガーーーンとお父様がショックを受けた!しまったぁぁ!!お父様は微妙なお年頃でした!!



「お父様〜ごめんなさい。ほら、ね・お父様も大人になって?」

「お父様はもうユーリに比べればオジサンだからね…悲しみからの回復が遅くてね…」

「だって、えっと…ほら、この先にわたくしがもしお嫁に行ったらどこの誰ともしれない方をお義父様と呼ぶのですよ?」

「ユーリはどこの誰とも知れない人のお嫁になんか行かせないよ!?」

「いやそこは喩えの話ですわ!」

「喩えが酷い!!」

「ならロットさんと結婚したら、ロットさんのお父様もお父様になりますわ!!」



我ながら例えからよく分からなくなってる事を言い出してるのだとはたと我に帰れば、お父様はなんだか清々しい顔をして、



「よし、我が家はペンニーネとの取引を一切終了としようか」



そう一点の曇りもない瞳で爽やかに告げた。



「待って待って待ってお父様!!!そうじゃない!!そうじゃないのよ!!?」

「そうか〜…ロット君かぁ〜…ペンニーネさんと一緒に来たしっかりした可愛らしい子だったが、もう二度と会う事はないね。宜しく伝えてねシルク」


踵を返して屋敷に向かうお父様の腕に捕まり必死に誤解を解こうと頭を回して言葉を紡ぐ。


「ち、違いますわ!ほら、お忘れではないですか!?ロイさんと言う婚約者もおりますわたくしが、現状そんな事はありませんことですわ!」

「そうか…。それならあの王をお父様と呼ぶのか…よし、ちょっと婚約解消に乗り出すか!!」

「おとーさまぁ!?我が家が!!そんな理由で我が家が消えるのはちょっと流石に!?そのうちその辺はなんかフラグとかゆーのがなんかあったりなんかしてなんかどーにかなるかもしれないので、無理にジタバタするなぁよぉ〜的な感じなのですわぁ〜!!ちょいとシルク〜!?」


必死で呼ぶが、当のシルクはさっさと巻き込まれないためなのか、既に何処かに行ってしまっていて居ない。



変なスイッチの入ったお父様をクロモリとジュリと3人で止めてたけど、一番の戦力のクロモリがめんどくさそうに消えて、ジュリとユーリでなんとかお父様の横でご機嫌取りを3日ほどして、なんとかかんとか拗ねたお父様が元に戻ったり、その後ペンニーネのお父…ロットさんの父上様が「なんだか久々にセルリア公爵様にお会いしたら少しピリッとしてた話」をロットさんから聞いて、とりあえず理由は言わずに平謝りしておきました。





そんな年頃の娘の父親は面倒臭いお話でした。




9月6日は「黒の日」です。



なのにお父様がよく分からない暴走を始めて、黒色のクロモリとジュリの出番が少ないww


落ち着いてお父様!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 蛇なジュリの散歩 足なんて痕跡器官だけどな 多分ご主人に巻き付いて散歩するんじゃなかろうか
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