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鼻の日

ヒナタ目線です



「鼻…ですか?」

「そうよ。ヒナタさんの鼻、とても可愛いらしいわね」

「ありがとうございます」



移動教室の時にミラさんと廊下を歩いていたら、たまたま会ったユリエル様から話しかけられて喜べば、『鼻が可愛い』と言われてお礼を言った。



「ユリエル…あんた…じゃなくて、ユリエル様、それは…」

「わたくし高いでしょう?視界に入って地味に邪魔で…それにヒナタさんの可愛らしい鼻は好感度が高いわ」



その美しい両眼を細めて口を押さえて笑うユリエル様はとても綺麗で、もう一度御礼を言うと、頷いて去っていった。



「やはりニホ…ジンと、かけ離れすぎるより可愛らしい方がアイチャク…」とか、何か聞こえた気とするけど、ヒナタには残念だけど理解出来なかった。




暫く歩いてから、ミラが言い辛そうに、


「あれは…その、嫌味じゃないわよ?」

「何がですか?」


ほてりと首を傾げて聞けば、少し目線を泳がせて、


「ヒナタの鼻が低いって、ユリエルが言ったことよ」

「え!?ヒナタ、ユリエル様に鼻が低いって言われたんですか!?」

「…!いや、言われてないわ!アレは……褒め言葉のつもりだと思うのよ。えぇっと…素直に思ったことを言ったのね」

「ですよね!可愛いって褒められたと思ってます」



ニッコリと笑えば、少しホッとした様にミラさんが微笑んでくれる。



「悪気はないのよ」

「悪気ですか?」

「褒めてたのよ」

「褒められました!」



微笑み笑うミラさんには「なんだか…良い関係築けそうだけどね」なんて嬉しい事を言われた。



「ヒナタもユリエル様といつか遊べますかね?」

「…そうね。前も言ったけど、もう少し貴族としての振る舞いを覚えてからよ。ユリエル様はアレでも…その…、ちゃんとしてるのよ」

「ユリエル様、『アレ』でも…ですか?」

「それはアタクシの言葉のアヤよ!」

「そうなんですね?」



なんだかんだと言いながら、ミラさんはこうしていつも1人だったヒナタと歩いてくれている。



(きっとユリエル様が好きなミラさんがヒナタと居てくれるって言うことは、きっとユリエル様もヒナタの事嫌いじゃないと思うし)



子供の頃から楽観的だと言われるけど、きっとそれは良い事だって思ってる。



「えへっ」


思わず笑いが漏れれば、ミラさんが怪訝そうな顔でこちらを見てた。



「なんだか楽しくって」

「…そんなところもなんだか似てるのよね…」


2つに結んだ髪を触りながら呟いた言葉を聞き返せば「なんでもないわ」なんてちょっとだけぶっきらぼうな言い方で返された。



「ミラさんて可愛いですね!」

「…ホント、言うことまで…、はぁ…だからほっとけないのかしらね…」



巷で流行っているシュシュって髪飾りを触りながら呆れた様に、でも少し笑って言うミラさんにまた聞き返せば「もう黙ってなさいよ。教室着くわよ」って言われてしまった。



ミラさんとは席は離れていたけれど、最近少し話しかけてくれる人達が「大丈夫?」って声をかけられたので「全然大丈夫です!」と答えたらなんとなく不満げな顔をされたけど、首を傾げたら居なくなったので聞けずじまい。


やっぱり貴族様の付き合い方はよくわからないけど、ユリエル様と仲良くなりたいなぁと思っていれば、なんだか胸がドキドキして、魔力も楽しそうに弾む気がした。




8月7日は「鼻の日」です。


初のヒナタ目線でした。最近も本編出番少なくてごめんねヒロイン。

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― 新着の感想 ―
[一言] やはりヒナタがヒロイン、ユリエルが悪役令嬢 断罪エンド待ったナシ 罪状はブラコンとか?
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