メイドの日
「おっはようございまぁっす!!シルク今日は久々の1日メイドのユリエ……ん?…あれ?シルクゥ?」
3回のノックの後に少し待ってからまた3回しても返事がなくて、これは突入したりしちゃったらいけないタイミングとかなんとか色々かしら?とメイド姿で部屋の前で佇んでいれば、ダラスが音もなく現れた。
「成る程、ユリエルお嬢様、今日はメイドですかな?」
「そうなのダラス…長様!シルクご存知ありませんか?」
未だに返事もないのは部屋には居らず、執務室か食堂か…それとも庭園なのか…やはり広いお屋敷は隠れんぼするには広過ぎると、卑怯だとは思いながら答えを聞けば、ダラスはなんだか楽しそうに微笑んでいる。
「ダラス何笑ってるの?だからシルク知らない?」
執事長に対して失礼だと思いながらもいつもの口調で聞けば、ダラスはやっぱり柔らかに微笑んで答えてくれる。
「シルク様でしたら今朝早く『なんだか姉さんがまたよからぬ事を企んでる気がして…僕は今日少し出てくるよ。姉さんには内緒にしておいてね』とお出掛けになられました」
「んんんっ!第六感であの子が仕事も勉強も置いてどこか行くなんてぇ!!……って、それわたくしに言っちゃって良いの?」
「そうですねぇ、お姉様でいらっしゃるユリエル様でしたら駄目ですが、お嬢様は今メイドでございましょう?メイドに伝えては駄目だと申し付けられてはおりませんので」
いたずらっ子の様に笑うダラスに「確かにそうね」と笑って答える。
「なら今日はやめて明日にしようかしら?真面目なシルクだもの。2日連続で出掛けることはしないでしょう?」
ニヤリと笑えば「明日のシルク様はお屋敷でご予定がございますので、メイドをつける必要がございますなぁ」なんて、シレッと協力的な事を言う執事長。
「うっふっふ〜、お主も悪よのう」
「いいえ、ダラスは執事の仕事に実直なだけでございます」
そう言いながらもその目は楽しそうで。
「シルク、待ってなさぁい!!お姉ちゃんの遊びから逃げようなんて、そうは問屋がおろさないのよ!」
とりあえず今日は着替えて、宿題や課題、やらなければならない事をわたしはいち早く取り掛かり、明日はフリーに遊ぼうと心に決めるのでありました。チャンチャン
出先のシルクが更に嫌な予感で身体を身震いさせてた事は特に誰にも気がつかれなかった。
5月10日はメイドの日☆
当日の夕方にでもそんなオイシイ日を知ってしまったら、何としてでも書きたくなるよねメイドの日。
お外においそれと遊びに行けない公爵家の御令嬢のお遊びです。
被害者は基本シルクです。
ユリエル曰く
「え?前にメイドは今日一日だけって言った?…うん、そうねぇ、でも2回目はダメだって言われてないし☆」