肩凝りを労わる日
やや下ネタと、BLっぽいネタが入ります。
苦手な方は今回は飛ばして下さいm(_ _)m申し訳ありません
「ん・そこ…ん…止めないで…」
「こんなところで…もう誰か来るよ…」
「誰か来ても…いい…じゃない…っ」
生徒会室に入ろうとすれば、レイが少し開いた扉の前で腕を組んで立っていて、どうしたのかと聞こうとすれば、ユーリとシルクの声らしいその会話が耳に入った。
「何をしているーーーーッッ!!!?」
バーーーーーンと扉を開けば、ユーリの肩を揉んでいるシルクが目に入る。
「ロイさんが来たならお終いねぇ〜、はぁ〜気持ち良かったぁ〜…ありがとうシルク♪」
ソファに座り、肩に手を当てコキコキと首を左右に曲げて、スッキリとした顔をするユーリに……なんと言っていいのか分からず眉間に皺を寄せる。
「見ての通り肩のマッサージです」
半目でシルクに告げられて、それでもその身に触れていたことに苛立てば、
「まぁそんなことだと思っていたけど、ある意味堪能したからね」
などと更に不埒な事をいう奴がいた。
「待てレイ。お前今何と…」
「ユリエルくんも大変だねぇ、私も前にユリエルくんにマッサージされて以来自覚して、意識して肩を回す様にしたらかなり楽になったよ」
俺の声などどこ吹く風で、レイはユーリに話しかけると、ユーリもニッコリと微笑み返す。
「…いや待て、マッサージをされて…?」
「そうなんですよ〜レイさん凄くて。わたくしと同じくらいかたくなってて、それで運動を勧めたのですわ」
「ねっ」と可愛らしくレイに微笑めば「そうだね。あれは凄く気持ち良かったよ」と、特に違和感は無いが、無性に気に食わない会話が繰り広げられる。
「あぁそうだ、ユリエルくん今度は私が揉んであげようか?かたくなっている者同士、気持ちがイイところもわかるんじゃないかな?」
「確かに!」
手をポンと打つ勢いのユーリに「駄目だ」と告げれば、大きく目を見開いてショックを受けた様子でこちらを見る。
「俺という婚約者が居ながら、他の男に肌を触れさせるな」
「だって仕方ないじゃ無いですか!肩こりって凄〜く辛いんですよ?!今日なんか肩から首にきて更に頭まで痛くなってきたし、流石にしんどくて普段なら家でしかシルクにも頼まないのに、思わず頼んでしまうほど辛かったんですから!」
「家でも頼むな!!」
思わず言えば、むうっと不満げな顔を向けられる。
「だって学園ではアナもいないし…まさか肩こりでわざわざリランさんを呼び出して前みたいに魔力を送ってもらうわけにはいきませんでしょう」
「どちらにせよリランさんも駄目だ」
当たり前だと言えば、更に機嫌が悪くなる。
「なら辛くて痛い時もわたくしはただただ我慢ですか?」
「…ミラになら…」
何とか妥協点を見つけるが、更に不満そうにこちらを見つめ、
「お友達に肩を揉めって?それじゃ取り巻きみたいじゃ無いですか!!」
「なら俺が揉もう」
「流石に王太子に頼めないでしょう!?」
呆れた様子で言われて、なんとなくムッとし、
「なら座れ!俺がする!」
ハッキリと言えば、仕方ないと座ってその髪を前に回して綺麗な頸が見える。
ゴクリと思わず唾を飲み込み、その薄い肩を揉めば、確かに硬く、それを解そうと力を入れれば…
「痛ぁっ!ロイさん!肩よりまず鎖骨が痛いです!」
「すまん」と呟き、改めて揉めば何も言わないので効いているのかと思い、その白い首筋を見ながら親指に力を入れる。
「ありがとうございます…その…もういいです」
暫く揉み、その言葉に凝りが良くなったのかと思えば、何故か目線を合わせず苦笑いしている様子が見える。
「ユリエルくん、あれかな?下手な人に揉まれると、逆に中途半端に肩の凝りが意識されるやつかい?」
「そ、それですわ!」
正にとそれだと返事をしたユーリに「下手な…」そう思わず呟きショックを受ければ、
「いえ、ロイさんが下手という訳では…その、ほら、自分が凝ってないとどこが気持ちいいかとかわからないし??」
そう慌てた様子でフォローに入られる。
「ならコイツは!?シルクも肩こりなど無いだろう!?」
「ふっふっふっ!その子の腕はわたくしが育てました!!」
ドヤァと言わんばかりにユリエルが胸を張る。
「わたくしが肩こりを意識し始めた頃から、侍女にされているのを見て、そこから事あるごとに揉んでくれて、年々酷くなる肩凝りに対応し、アップデート済みですわ!!わたくしに対してアナとシルクを超える物は居ない程のテクニシャン!」
「姉さん言い方」
シルクの横へと移動し、自慢する様に片手をヤツに向けて、まるで商品を紹介する商人のような動きをする。
「だって自慢したくて!それにシルクのマッサージ禁止にされたら…」
「禁止にしたら…どうするんだ?」
やはりまたも、むむぅっと不満げな顔を向けて、
「そしたら…ロイ様の事嫌いになっちゃう!」
多分思わず言ってしまったのか、幼い頃のような崩れた言葉で言われて、俺は雷でも落ちた様にショックを受ければ、自分でも自覚したのか「いや、これは言葉のアヤで…なんて子供みたいな事を…もう少しなんか言い方もあるはず…!?」なんて頬を染めている。
「…ッッ! ならばっ!俺の光の魔力を直接此処に全て注いでやる!!」
「お言葉ですが、光の魔力だけで治らないのですわ。クロモリもこの前直接舐めて魔力を送ってくれたけど、肩こりはそんな単純に治らないのですっ」
「姉さんなにそれ!?僕も聞いてない!!」
「え?言う必要ある?」
「あるだろう!!」
「あるよねぇ!?」
「え?なくない?」
衝撃的な言葉にシルクと2人で勢いよくユーリに詰め寄るが首を傾げるユーリにシルクも「倫理観を持って!」と言えば「子供が親の肩もみでご褒美貰うとか昔からの伝統行事じゃない?」なんて不思議そうに告げている。
「姉さん考えてみて!?例えばロイ様が肩凝りで僕がそこ舐めてたらどう思う!?」
「気持ちの悪い事を言うな!!」
ゾワリと鳥肌が立てば、ユーリは下を向き一度アゴに手を当て、
「前世の娘的に言えばまさかの公式はシルロイなのだと悩むと思うわ」
「「どの子だ!!?」」
思わず2人で声を合わせてしまう。
「その場合わたくしは隠れ蓑…成る程そのパターン…」
「ぜんっっぜんわかんないけど、僕が言いたい事が全く伝わってる気がしない!!そして何故か寒気が止まらない!」
「ごめんなさい。わたくしはそちらは余り詳しくなくて…」
困った様に首を傾げるユーリに「よくわからないけどわかってもらえてない事だけは分かった!!」とシルクが声を荒げる。
「う〜ん?ミラさんがキャロットちゃんに肩凝り直してもらってたら別に問題ないじゃ無い?」
「見た目!」
「う〜ん、黒豹みたいよ?」
思わず「「そっちか…」」そう2人で呟くが、「いや」「そう言う問題じゃない」と中身は一緒なのだと、改めて振り向けば、レイがユーリの肩を揉んで、ユーリも気持ち良さそうに首を項垂れている。
「お前は…!」
「いやぁ、ユリエルくんが更に疲れそうな雰囲気だからつい」
「レイさん、流石に上手い…ですわっ」
ほうっと力の抜けた顔に、思わずレイから引き離し胸の中に仕舞えば、シルクに「僕が揉んであげるよ」と奪われるのを何とか片手を掴み引き止める。
「国一番の治療士を呼ぼう」と言えば、「いえいえ、姉さんの声…じゃなくて、事は僕が」と微笑み返される。
思わずでた本音に「お前やはり」とギリリと睨みを効かせれば、挑発的さを含んだ笑みを返される。
「ん?なんや?姫さん肩凝りで悩んどるんか?」
いつ来たのかロットはそう言うと、ゴソゴソと2枚のタオルを出して、
「ほなシルっくんがこれ濡らして、ロイはんが温っためたったらえぇわ」
当たり前の様に言われて、思わず言われた通りにすれば、その間に机へタオルを一枚ひくと、ユリエルを伏せさせて、その首元に俺たちから奪った温かなタオルを置く。
「姫さん。凝った時はあっためるのがえぇよ。此処じゃ肩まで出せへんし、首だけでもあっためたら違うやろ」
「ありがとぉございますぅ〜。じんわり効きますわぁ〜」
とろける様に机に伏せるユーリへと、
「女の子は大変やなぁ」
なんて言ってロットは離れる。
「ロットは手慣れているねぇ」
「せやね、うちは従業員に女性も多いしなぁ。短時間で1人で少しでも楽にする方法は庶民の知恵やね…で、何でオレは手伝いに来て睨まれとるの?」
レイと会話をしてこちらを見ると、なんだか冷や汗と苦笑いを浮かべるロットを見下ろしながら、
「勉強になりました」
「しかし俺たちの魔力を使って民間療法か」
「いやぁ〜そら結果論で」
少しずつ下がるロットの背にレイがぶつかる。
「レイ、フォローしたって?」
「う〜ん、私としても良い機会だったのにねぇ…」
ヒクリと引き攣るロットを男3人で囲めば、ユーリが、
「ロットさんのこれ最高ですわ〜っ。コレ、家で一人でも…しますぅ〜」
と漏らせば、なんとなく皆からロットに向かう視線も強くなる。
「理不尽すぎやぁ〜〜っ!!」
とりあえずロットの肩やら腕を3人で揉めば、凝っていたらしく「うわぁ〜気持ちええけど気もっち悪ッッ!!」と鳥肌をたてながらマッサージを受けていた。
4月22日は肩こりを労わる日です。
今回の話。結果的にロット総受け…もちろんみんなからのマッサージをですよ。
苦手な方が読んでたらすみません。
でも前書きで注意書きはしたし…っ、ギャグだし…あぁぁぁ怒らないでぇ!ブクマはずさないでぇぇぇ! ww