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インテリアを考える日




「………あのさ…何してるの?」


「見ての通り…っ、ベットをちょ〜っっと、移動ッッさせようとっ…思っってっっ!!」


自室の模様替えをしようと思い立ち、全身を使って移動させようとしても、全く動かない。良い家具は重いっ!!


「ん、もう!シルクも見てないで手伝って頂戴よ」

「あっ、そうなの?手伝って欲しいんだ??」

「当たり前じゃない。お姉ちゃんめちゃくちゃガンバルンバでファイト一発しても全然動かないんだもの」

「…いや、もうホント何言ってるのかよくわからないんだけど、とりあえず手伝う?どこに移動するの?」


なんだか苦笑いを浮かべて簡単に言うシルクに、ツンと横を向いて、


「ベットを一つ分部屋の奥に移動させたいのよ。でも重いしシルク一人では無理に決まって…」

「ベット一つ分だね」


話に食い気味にそう軽々と言って……、ベット浮いてる!!


「うん。ならこの辺でいい?」

そう言ってそっと降ろした。


「…風魔法!!!!」

「うん」

「ズルーーーいっ!!わたしの苦労はなんだったの!?」


ムキーッと手をぶんぶんと上下に動かし理不尽さに抗議をすれば、


「姉さん…まず御令嬢は自分で模様替えしない」

「それはそれこれはこれ!思い立ったが吉日よ!」

「うん。とりあえず姉さん、重い物の移動は風魔法は常識だからね。それに姉さんならクロモリにでも頼んだら良かったんじゃないの?」


言われて思わず視線を逸らす。


「ク、クロモリはお手伝いできる力持ちな良い子なんだけど…この前移動をお願いしたら、その…投げて移動してくれて…この前ちょっとクローゼットが…」


両手の人差し指を合わせてゴニョゴニョと伝えれば、シルクが笑う。


「あはっ!この前珍しく姉さんが家具を新調したと思ったら、そういうことだったんだね」

「あの子は悪気は無いし、わたしの説明も悪かったのよ…」


でも気持ちとしては、どぼちてどぼちてと振り子のような涙が左右に振れている。


「ふふっ、まぁこれからは僕を呼びなよ。姉さんの荷物くらいなら移動できると思うよ?」

「ありがとう。…はっ!それならもしかして魔法の絨毯とか出来るのかしら!?」

「また訳の分からないことを…どういう意味?」


そう言いながらもとりあえず聞いてくれるシルクは優しい!!


「えっとね…、空飛ぶ絨毯の上に乗って空を飛ぶの!もちろん歌を歌って!!」


キラキラとした瞳を向ければ、


「うん。よ〜〜〜く考えて? 姉さんは、下から風が送られただけの、不安定な、絨毯の、上に乗って、空飛びたい?」


そう言われて想像してみる。

絨毯とは本来ある程度は柔らかい。そして当然板では無い。つまり下から風が来てるということは…。視界は360度絨毯。



「すっっっごく怖いわね!!」


「そうだね。それに僕は風魔法はそこまで得意では無いよ?風属性のお父様に頼んでも難しいと思うな…」

「シルクはそんなに上手に使うのに…シルクが得意じゃ無いなら、わたしの光とかもうなんなの…」


どぼちてどぼちてパート2。


「クロモリが居る時点で姉さんは凄いよ」

「クロモリが良い子だからだわ。それはわたしの実力じゃないもの」


溜息をつけば「召喚出来てる時点で凄いんだけどね」とフォローしてくれる。やっぱり優しい。


「ところでベットをなんで移動したの?」

「今の時期は朝日が眩しくて。少し移動したらかなり違うのよ!」


どや!っと胸を張って言えば、シルクは指をスッと上げて…風魔法でベットの位置を元に戻す。


「あーーー!!なんでぇ〜!?」


「休みの日にダラダラする気満々じゃ無いか。アナに怒られるよ?」

「週末にダラダラ寝坊するのは学生の特権よ!」

「なんなのその特権」

「むしろシルクもダラダラしなさいな!学生終わって大人になったら忙しいわよ!?」

「もうお互い成人してるよ」

「問題はそこじゃないのよ」


チッチッチッと、人差し指を指を左右に振る。


「これぞ学生ブランドよ!!…って、あっ!!!なんで浮かして前より窓の方へ!?」

「姉さんはもう少しちゃんとしたほうが良いと思う」

「ちゃんと惰眠を貪りたいの!!」

「堂々と何を言ってるの…。成績落としたく無いんでしょ?」

「むしろ上げたい」


うんうんと頷けば呆れた顔をされてしまう。


「大丈夫よ!!ちゃんと勉強道具をベットの横に置いて、ゴロゴロしながらもちゃんと勉強をするし!!…って、あぁっ!窓側の壁にピタッとつけないで〜!!」


「はぁ…それで?本当にどこに置けばいいの?」


呆れた様子で頭より高い位置でフワフワとベットを浮かしながらシルクに問われれば、そのベットからヒラリと何かが落ちてシルクの顔に乗る。


「姉さん何か落ちて…」


顔に乗ったソレを手に取り見て、シルクがガチッと固まる。


「もしかしてアレかしら…7つのボールを集めて子豚ちゃんが龍の神様にお願いしたのかしら?」


そう…シルクの顔に乗ったのはギャル(わたし)のパンティ。


「なななななななななっ!!?」

「大丈夫!!大丈夫よシルク!!?未使用!未使用だから!!!!」

「そういう問題じゃ無いから!!!!」


真っ赤な顔で慌ててわたしに押し付ける。


「さっき届いた新しい下着をどんなのあるかなぁ〜ってベットで広げてたから一枚隙間にでも入ってたのねぇ〜」


「なんでそんな平気な顔出来るの!?」


「未使用だし?」


「そういう問題じゃないって言ってるよね!!?」


「二人で照れたら収集つかないし?」


「もう既についてないよ!?あぁもうっ!姉さんの馬鹿!!僕は部屋に帰るからね!!?」


「ば、馬鹿!? てゆーかシルクベットの置き場、こんな窓際じゃ眩しくて明日眩しくてすっごく早起きしちゃう!!」


「早起きでもなんでもして恥じらいを探してきて!!」



それを捨て台詞にシルクは部屋を出て行った。



そして風魔法の使い手のお父様はお仕事で帰宅をせず、ベットを動かせるほどの使い手も他に居らず…わたしは貴重な週末を早起きで過ごしたのでした。



どぼちてどぼちて…パート3。





4月10日はインテリアを考える日 だそうです。


ついでにアベイルの誕生日です。


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― 新着の感想 ―
[一言] この世界にイ○アだのニ○リだのみたいな家具量販店は無いだろうし、そもそもお貴族様ともなれば量産品はあり得ないだろうし、やっぱりオーダーメイドかなぁ そうすると買い替えたクローゼットにはユリエ…
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