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国際こどもの本の日



「むかーしむかーし」

「お姉ちゃん、むかしっていつ?」

「シルク、あのね昔は昔よ。それである所にー」

「ある所に…ってどこだろう」

「おじいさんとおばあさんが居ました」

「ざっくりとしてるね」


我が家に来て1年近く、寝る前にお話を聞かせて上げようと部屋に行けば、次から次にツッコミが入る。賢い6歳児。


「…寝なさいなシルク」

「お姉ちゃんがせっかく話してくれてるのに寝れないよ」


そして良い子な6歳児。


もぞもぞと布団に入り込み、シルクの横に寝転がり、その可愛い胸をトントンと叩きながら、


「ね〜んね〜んころ〜り〜よ〜おこ〜ろ〜り〜よ〜」

「ごめん。全く意味がわからないのだけど、どういう意味?」

「…坊やは良い子だぁ〜ねんね〜しぃなぁ〜…」

「……」

「シルク眠くなってきた?」

「……うん」

「そっか…ね〜んね〜ん…ころり〜………よぉ」


しまった、寝付かせるつもりが、こちらも身体は7歳児。自分の子守唄で眠くなっ…て…でも…シルクも眠いみたいだし………子守りで眠くなるのは…世の…常…だもの………



……ぐぅ。





*****




お姉ちゃんが明らかに寝落ちしたのを見計らい、僕は布団を抜け出すと、少し開いた扉からダラスに声を掛け「すみません、お姉様が寝てしまいました。もう少ししたら部屋に運んで上げてくれませんか?」と伝えれば、優しく頷いて貰えたので、もう一度ベットに戻り姉の横に座って、ベッドサイドの本を手に取り、眠気が来るまで読むことにする。


お姉ちゃんの語る聞いたことの無い不思議な物語は、いつも途中でお姉ちゃんが寝てしまい終わりまで聞けた試しがない。

質問すれば持つかと思ったけど、やっぱり今日も最後まで聞けずに終わった。


気になってセルリア家の図書室を調べてみたけど、そんな話はなくて、お姉ちゃんの夢物語なのかもしれない。


「桃から人が産まれるってどういうことなんだろう?」


不思議な話は長くても犬を仲間にしたあたりで寝られてしまって終わりだ。


「もしかして続き思い付いてないのかな?」


むにゃむにゃと夢を見ているのか楽しそうに微笑む姉を見れば、こちらまで幸せな気分になる。


「シルク様、お待たせしました。そろそろ運んで大丈夫ですかね?」

「はい。グッスリ寝てるみたいなので…お願いします」


ダラスは微笑みながらお姉ちゃんを抱くと、後ろに侍女のアナも頭を下げて連れていく。



扉が閉まり月明かりの中布団に入れば、姉の温もりが残っていて不思議な感じがする。


1年前まで僕はこの家に居なくて、いつだって一人で寝ているのが当たり前だったのに、王妃教育で疲れて忙しいのに、時間があると突撃してくるあのお姉ちゃんのよく分からないお話と、不思議な歌を楽しみにしている自分がいる。


王妃教育は本当に大変そうで、厳しそうな先生と至って真面目に、それこそ歳より立派に見えるお姉ちゃんとこうして僕へと構ってくれるお姉ちゃんの差に毎回驚く。


「むかーしむかしあるところに…」


続きの分からない不思議なお話は、僕の中にもっと不思議な感情を残して……柔らかい香りに包まれてさっきのお姉ちゃんよりも早く夢の世界へといった。



4月2日は 国際こどもの本の日です。

数本の浮かんだネタの中から、久々のシルクとの子供の頃のお話にしました。


その他の浮かんだものは、本編に折り入れようかと思っております。


そして絵本を読んでないって所はスルーで!www

ユリエルの記憶の中の絵本を読んでるのでその辺はほら。読んでる的な!!


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