姉の日
それはまだ12の頃。
「姉さん、今日は姉の日らしいよ?」
「ついに来たわ…わたくしの日が!!」
一周回ってシルクの前に躍り出る。
「…じゃ、それだけだから」
「待て待て待て待て待て待ってチョーダイ!!」
「そんな引っ張ると僕の服ちぎれちゃうよ?」
「違う!違うわ!?え!今の流れでどっかいっちゃうとかある!?なんで!?」
「なんでって?新聞に載ってたし日常会話だけど?……わかった。わかったから姉さん。そんな目に涙溜めないで?ごめん。ごめんてば。いや、うん僕も何に謝ってるのかわからないけど」
「姉の日よ?」
「うん。」
「お姉ちゃんって呼んで?」
「じゃ、また明日」
クルリと後ろを向くシルクの服を掴めば、ズルズルと引きずられる。
「姉の日よ!?姉の言うこと聞く日じゃないの?」
「姉らしくする日って考えは…ないのっ!?」
右手で服を、左手で机を引っ張ってるがシルクは必死で進もうとする。
「お姉ちゃん泣くよ」
「だからなんなの?その脅し」
はー…と溜息ついて、止まってくれる。義弟可愛い!
「プリーズギブミー お、ね、え、ちゃ、ん!」
両手を指揮者の様にやれば
「オネーチャン」
「…だめ。棒読み。もう一回。」
「てか姉さん、僕がこの家に来た時と行動パターン一緒なんだけど…」
「なにが?」
「覚えてないか…まぁいいや。あ、そうだ、僕は来年から学園に行くから」
「…うん」
「姉さんは家庭教育なんだよね?」
「…うん…」
「姉さん?」
「…来年からシルクが家にいないの寂しいわ…」
ギュッとスカートの握れば、その手をそっと握られた。
「姉さん凄く頑張ってるものね。高等部になったら一緒に行こう?」
ニコリと笑うその顔にコクリと頷く。
「シルクは…寂しくない?」
少し見上げれば、グッと堪えた様に目が泳いで
「えっと…そうだね。うん。でも…」
「でも?」
「絶対学園とか行くと姉さんなんかしそう。じゃ、僕は行くね!!」
走って廊下に飛び出たシルクは、扉が閉まる前に
「えっと…僕も頑張るから…お姉ちゃんも頑張って…」
パタン
まぁ追いかけたよね。
走って追いかけて愛でたよね。
百万回くらい撫でてるのアナに見つかって引き離されるまで撫でたよね。
はーーーー
義弟かわいいぃぃぃぃぃぃいっっ!!!
お姉ちゃんになってよかったぁぁぁぁぁぁ!!!!
姉の日ばんざーーーーーいっ!!!!
読んで頂きありがとうございます。
いい風呂の日(11月26日)に続き、12月6日は姉の日だそうです。
〇〇の日ネタが多くなると思うので、ネタの多い月と少ない月があったりすると思いますが、宜しければブクマの片隅に置いていただけると、いち早くお気づき頂けると思いますm(_ _)m