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ミュージックの日




「姉さんの歌って独特だよね」

「ん?」

「歌詞こそないけど、鼻歌とかさ……」

「それは音痴ってこと?」

「そんなこと……………………なくはなくないけど」

「遠まわしは逆に深く傷付けることを覚えた方が宜しくてよシルク」


通学の馬車の中、言われた言葉に地味に傷付けば「ごめん」と素直に謝られた。うんそれも逆に傷つく。


「ところでなんなの?その鼻歌」

「無意識に思い出したようになんとなくよ」

「さっぱりだね」

「ん、考えてみたらロイさんとか子供の頃から上手そうよね!」

「……なんでロイさん?」

「いやなんとなく」


あの幼い頃の天使のような金髪碧眼がイメージする少年合唱団に被っただけですすみません!

今は大きくて声も低くなったし、ホントイメージだけよね。


「まぁ基本的に学園では楽器はあるけど専攻でもしない限り歌わないしねぇ〜、あ・もしかして馬車でうるさかった?ごめんね。」

「いやそうじゃないよ。僕と2人だしね、それくらい好きにしてくれていいよ」


その優しい微笑みに同じものを返す穏やかな時間。


「ところでその歌は何だったの?」


…誤魔化せてなかったわ。


「どこで覚えたか忘れちゃった昔聞いた歌よ」

「誰から?」

「小さい頃だったのね、それも覚えてないけどただ耳に残っていて好きな歌」


ニコッと笑えば「そっか」とそれ以上は聞かずに「気にしないで、姉さんは歌っても何しても好きにしてて良いから」と、また笑ってくれる。



嘘はついてないのよ。

誰に教わったのかは実際に思い出せないし。


こんな春の暖かな日につい歌いたくなる桜の歌。


誰が教えてくれたのかはもう思い出せないけれど、無意識に春になると毎年歌っている。



歌って貰って歌ってあげて……




自傷気味に小さく笑って、また歌い出せば、


「僕はその歌好きだよ」


呟くようにシルクが言ってくれる。



外を見ながら小さく歌えば、ピンクの花が木から舞うのが目に入った。






3月19日はミュージックの日だそうです。


開花宣言も始まり、それでも花見は自粛ムードのちょっぴり寂しい春ですが、少しでも春を感じて頂けたなら嬉しいです。

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