猫の日
「クロモリ、イ〜ってしてちょうだい」
「い〜?」
「次はあ〜」
「あ〜」
エリューのお部屋で、エリューが言う通りに前に座ってイーしたりあーしてれば、エリューはクロモリの口の中を覗き込むと、満足気に頷く。
「うん、良かったわ!やっぱり虫歯は無し!!」
「むしば?クロモリ 虫は食べない」
「えぇ、これからも是非そうしてほしいわ!!」
何故か変な汗と共に頷くエリューだけど、やっぱりまたニッコリと笑う。
「クロモリは歯磨き嫌いでしょ?」
「……キライ」
「わたくしが磨こうとすると魔力になって逃げちゃうじゃない?」
「……にげちゃう」
ごめんねの気持ちになると人の形なのにシッポと耳が出て、気持ちと一緒な下がってしまうのは不思議。でもシッポとか出るとエリューは仕方ないと笑ってくれる。
「ふふふっ、仕方ないわね。でもクロモリは魔力のせいか虫歯にはやっぱりならないのかしらね?その強そうな犬歯……?う〜ん、猫科の場合はなんていうのかしら?……キバ?も、わたくしを護ろうとしてくれる時は目立つけど、普段はロットさんくらいの八重歯くらいな可愛さよね」
「クロモリはロットよりかわいい」
比べられたとちょっとぷいってしたら、エリューは可愛くてたまらないとでも言うようにギュッと抱きしめてくれる。
「ふふふっ、そうね。クロモリは可愛いわ」
「かっこいいも」
「そうね!カッコいいし、可愛いし、強いし、頑張り屋さん!よっ!天才!!」
エリューは胸を張ってうんうんと頷いてクロモリを褒めてくれると、クロモリも嬉しくなって背筋がピンとするし、尻尾も出てるとピンとする。
「だからこそ心配だったのよ。カッチョよくてイケてるクロモリの歯が虫歯になっちゃったら大変だからね」
こーゆー時、頭を撫でてくれながら優しく笑う顔は、エリューのおかーさまとよく似てる。でもクロモリはエリューの方が世界で一番キレーだと思う。
「エリューだいすき」
「わたくしもよ!!」
ギュッと抱きしめられて、クロモリは世界で一番幸せな召喚獣だと思うんだ。
「あっ、勿論ジュリも大好きよ!」
……最近はそーゆー話してるとジュリも褒めて欲しくて現れると、エリューのギュッが終わっちゃうのは寂しいけど、クロモリはジュリよりおにいさんだから我慢する。
だってシルクも、ロイも、エリューにぎゅってしてって言わないから。
男はそういうものらしいから。
だから、
「クロモリも だいすき」
そう言ってジュリごとギュッとすると、エリューが嬉しそうに笑うの知ってるし。
これはクロモリの特別。
シルクもロイも、ロットもレイも、アベイルも……なんか他のにも出来ない、クロモリの特別。
「ん〜!!お母さん幸せだわぁ!」
エリューのほっぺがジュリとクロモリの間でスリスリする幸せは、クロモリ達の幸せだから。
今年も猫の日はクロモリを。
190超の褐色イケメンの幼児属性だよ!(時折猫耳と執事服付き)
インタビュアー『ここでユリエルさんに質問です。召喚獣のクロモリさんですが、ユリエルさんやシルクさんよりも背が高く、可愛がるのは多少無理がありませんか?』
ユリエル『ふっ、愚問ね。子供はね、どこまで成長しようと可愛いと思えるものなのよ!』
シルク『クロモリは生まれた時から大きかったけどね』
ユリエル『可愛いものは可愛い。我が子は可愛いを凌駕してるから良いのよ!』
インタビュアー『ありがとうございました』