リラン編
「次はどんなのかしら♡」
「お待ちくださいませ!」
ウチの自室では目の前でポンポンと不思議な魔法のように着替えていくユーリちゃんを満足して見つめていれば、感嘆の息が漏れてしまう。
「は〜……♡ ユーリちゃんは何着ても似合うわぁ〜」
「リランさんは世界中の色々な服をご存知なのですね。わたくしが見たことない服ばかりだわ」
今は足の端に大きくスリットの入った服を恥ずかしげもなく着ていて、その割に堂々と胸に手を当てているのはアマトワの子の気質としては変わっていると言わざるを得ない。
「ユーリちゃん、貴女はなんでどんな服でも着るのかしら?」
「何故って……当然ですわ!ユリエルほどの美人ならどんな服も似合うに決まってるからですのよ!」
どこからだしたのか、扇子を口元に当ててしたり顔をするその姿になんだか可笑しくて吹き出してしまう。
「うふふふっ!変わった子ねぇ〜♡」
「褒め言葉としてお受けいたしますわ」
ニヤリと笑うその姿は吊り目も相まって不適な感じになるのも、中身と外見のギャップが堪らなく可愛いと頷いてしまう。
「ん・もう〜。ユーリちゃんがこんなにも可愛いのだから、シルクちゃんもお揃いで着てくれたらいいのに」
そう思って瞳を閉じて溜め息を一つ吐いて、目を開ければ、ユーリちゃんとお揃いの服を着たシルクちゃんが現れる。
「姉さん、どこで遊んでるのかと思ったら……」
どこから入ってきていたのかシルクちゃんが私服からあっという間にユーリちゃんと男女のデザイン違いの服に変わった。
「あらまぁシルク、似合うわねぇ」
「あれ?なんで僕こんな服……リランさんですね?」
困った様に笑うシルクちゃんもユーリちゃんと同じように次から次に服装が変わっていく。
髪色こそ違うものの2人とも色白が幸いして似た服が似合うと満足げに見つめていれば、いつの間に2人とも半分透けたような……官能的な服装へと変わっている。
「やぁん♡2人とも、素敵よぉ〜♡♡」
思わず口元に手を当てて声を上げれば、2人は妖し気な瞳を向けてウチへと迫り、
「僕たちだけですか?」
「リランさんはどうなのかしら?」
そんな言葉に少し焦りながら、
「ウチはほら、そこまでの格好は……」
そう言いながらも視線は2人の身体へと釘付けになり………
「「ね……リランさん……♡」」
柔らかそうな唇から溢されるその言葉に耐えられる人類はいるのだろうかと、溢れ出る興奮作用のある何かに侵されて……、
「いただきます!!!!」
思わず低めの声で叫んだそれは…………夜明け前の自室。
「え?夢?……夢……だわね」
クソほどでかい溜め息を吐いて、忘れる前にと2人の着ていた洋服を近場に置いてあった紙に描き留めて……、
「いつか本物にも着せてやるわ……!!待っててね!!ユーリちゃん!!シルクちゃぁぁぁぁん!!」
そんな熱い朝を迎えていればいつの間にか執事が冷静な顔をして朝の業務を伝えてくるのも無視して、ウチはそのまま暫く描き続けた。
R指定にかかる前にサンタの采配グッジョブ