表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/117

レイ編




「不良品ですわ?!」




可愛い彼女が陶芸をしたいと山深い小屋へと行くのに付き合っていれば、3日目についに根を上げたらしい。



「ふふふっ、ユリエルくん。珍しく怒ってるのかい?」


「あらやだ、聞かれてしまいました?……一番簡単だと教わったこんなお皿ですらぐにゃぐにゃでうまく行きませんのよ。いいえ、悪いのはわたくしの腕だとわかってるんですけどね……」



吊り上がっていた目は情けなく下がり照れ臭そうに笑う、そんな彼女の背中へと回ると抱きしめるようにその粘土に当てたままの手に自分の手を重ねる。



「これは足で回すのかい?」

「そそそそうですわ。はしたないのでレイさんには出て頂いてましたのに……」

「手と足を別に回すのは大変だね……」



そう言って手を重ねたまま風魔法を出せば、ロクロというものがゆっくりと回り出す。



「ナルホド!これは便利ですわね!」



キラキラと目を輝かせて手を添えていても変わらずその手を粘土に当ててそれを作り上げていく。




「……で?なんですのこれ?」

「なんだろうねぇ?」



二人で添えた手で作っても、所詮素人だと不恰好に曲がるそれに2人で吹き出し、そのまま添えた手に指を組ませれば結んだ髪の隙間から見える耳が赤くなっていく。



「そっ、そうですわ!これ風の魔石をつけたら良さそうですわね!作ると高くなるのかしら……ロットさんに相談したら……それに、ほら、ロットさんなら器用だから……!?」


そこまで言われて思わず首筋にキスを落とせば少し丸まっていた背筋が勢いよく伸びる。



「レ……レイさん!?」

「こんなに私と密着してて、他の男の名前を出されると言うのはね……」

「いや、ほら、その?!えっと……」


重ねた手の粘土は崩れていくのに気も取られず、真っ赤な彼女は上目がちに視線をこちらへと向けてくる。



「あの、そういう意味ではなくて……、その……レイさんにプレゼントするなら……綺麗なものの方がって……」


揺れる視線と、その滲むような黒いその瞳にキスを落とせば「ピャッ」と可愛らしい声で鳴く。



「ヤキモチをやいたんだよ。私は君が好きだからね」

「えっ、あっ、はい……、その、えっと、わっわたくしも……」



答えより先に重ねた唇のせいで最後までは聞こえなかったけれど、その握られた手と否定されないその吐息の混じる赤い唇が全て答えてくれていた……ーーー。






某映画をオマージュしてることに気づいて貰えたなら幸いです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 18禁らしくない対応 レイ、お前死ぬのか?
[良い点] 山深い小屋で二人っきりで三日間…。 流石レイ、濃厚ですね。 [一言] Woh~ my love~♪ my darling~♪
[一言] 〇ーストですね! ・・・って伏字で書くとローストに見えてくる不思議
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ