表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/117

アベイル編




「あのっ、ユリエルさん。これボクが……その、ボクが焼いてみたんです。ど、どうでしょうか?」


そこは青空広がる丘の上。目の前にあるのは素敵なテーブルとそこに乗るのは色とりどりのカップケーキ。


一口サイズのそれは上にピンクや白のクリームがホイップされて、そのうえに更にチョコレートものっている。



「あらあら、なんて素敵に可愛らしいんですの!?バエーってやつですのね」

「栄え……ですか?」

「……ばえって何かしら?馬絵?……まぁいいわ。え!?これアベイルさんが作られたの!?」

「はいっ、基礎は先日……その、ヒナタさんにミラさんと一緒に習いまして……。ユリエルさんに食べて貰いたいなと」



眼鏡の隅から見える瞳は嬉しそうで……、しかしそのメンツで呼ばれなかったことに少しシュンとするものの、ヒナタに小麦粉かけられるイメージしかわかないので正解かもしれないと納得して手を合わせる。



「では遠慮なく頂きますわ。ふふふっ、可愛らしくてどれにしようか悩んじゃう」


「カルヴァルカから材料も取り寄せたりしたので……あの、お口に合いますか?」



はしたないとは思いつつ、その一口サイズに甘えて口に一気に放り込めば、甘く柔らかいスポンジとバタークリームのような口当たり。



「なんだか……ふふっ、子供の頃思い出しちゃう」

「ユリエルさんは食べられたことが?」

「ないと思うけど。美味しくて……不思議ね」



クスクスと笑っているとアベイルさんも笑ってくれる。


「ユリエルさん。見て下さい」



呼ばれてケーキから視線をあげると、アベイルさんはお湯の入った入れ物の蓋を開けて手をかざせば、中からお湯がシャボン玉のように浮き上がる。



「まぁ……なんて素敵」


「水だけならいいのですけど……お湯は火の力が入ってるから少し難しいんです」


そう言いながら華麗に空中を舞って、アベイルさんの手の中にある茶葉の入ったポットへと入っていく。



「お湯が少し冷めたほうが、美味しい紅茶が淹れられますので……」

「ふふふっ、アベイルさんは色んなことを勉強されてますのね」

「えっと、ユリエルさんやミラさん。それに……生徒会室でみんなと居られる空間を、少しでも幸せに過ごしたかったので……」



照れ臭そうに笑いながら、慣れた手付きで使うティーカップを用意しながら、テーブルを整えてくれることにわたしも笑みが溢れる。



「わたくしも、あの時間が大好きだったわ」

「……はい」



昼下がり、遠くから聞こえるのは懐かしい声。



「ユリエル、先に来てたのね」

「遅刻してすみませ〜〜ん!」

「まったく……ヒナタが途中で怪我のおばあさんを助けてるからよ」

「だって、怪我してたんですよぉ〜?」

「別に……悪いだなんて言ってないわよ。そんなのほおっておく方がユリエルが怒るわよ」



相変わらずの友の姿に、わたしは幸せで溢れる笑みも隠さずに、小さなケーキにまた一つ手を伸ばした。







『そんなわけであるようで無さそうなどうなのこうなの未来なの?編』始まりです!!


クリスマス期間で終わらないよ!!!ごめんなさい!!



先に詫びるスタイル……!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] アベイルが焼いてくれたカップケーキ。 ユーリを想って作ったろうに、アピールがものすごく控え目!もじもじして可愛いぞ。 [一言] ユーリが寛げるような空間を提供するのが彼らしいですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ