転生〘①〙
「はぁ、今日もバイト行くか」
俺、河村海颯はいつも通り部屋を出て近所のコンビニへ向かう。
「うわ寒っ」
今日11月28日土曜日の深夜はやはり寒い。
全身学校指定の黒ジャージ、少し汚れた白い靴、
寝癖はそのまんま。寒いのも頷ける。
白い息を吐きながらいつも通りの道を行く。
「明日にでもちょっと遅いがアジでも釣りに行くか」
そう、昔8歳頃に親父に誘われ魚釣りに行ってからあの快感にハマってしまったのだ。
最近ではよく一人で行っている。
前一緒に行った小学校時代からの親友である前田遥斗と進藤勇輝はすぐ飽きてしまって
そこからは一緒に行っていない。
正直寂しい……
そんな事を考えながら歩いていると何か違和感を感じた。
全身を謎の緊張感が支配している。いつも通りの道、いつも通りの景色のはず、
夜11時のこの通りは人通りもほぼ無く街灯も少ない。いつもと同じだ。
だが謎の違和感を感じ続けていた海颯はコンビニの手前20mほどの五叉路で1度立ち止まる。
「あっ!夜ご飯に作った鯵の煮物茹でたまんまだ!!」
危険極まりないが原因はこれでは無い。
だがどれだけ考えても正体に心当たりも無ければそれらしい影もないのでとりあえず鯵のせいにする。
「家帰ったら鯵どうしような……火自動で切れてればいいけどなぁ……」
たっぷり五分ほど考えても謎の緊張感の正体に検討がつかないので、
とりあえずコンビニへ歩き出す。
その直後。河村海颯は突如現れたパトカーに轢かれて死亡した。
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「……んん゛っ!」
息苦しさを感じ目を覚ましたら何故か目の前に魚がいた。
戸惑いが一番でかいが急いで水面へ上がろうと急ぐ
「ぷはぁっ!やべぇ死ぬかと思った…とりあえず陸は近いから助かったな…てかなんで川の中にいたんだ?てか何故裸なんだ……露出狂でもあるまいし……」
よし、頭を整理しよう。なんで俺ここにいるんだ?
直感的がここは地球とは違う世界だと教えてくれているが…
そう言えば俺パトカーに轢かれたよな?あれ?
なんで生きてるんだ?病院は?救急車は?その前にここ何処なんだよ!
川めちゃ綺麗だから日本かなとは思ったけどあの木になってる実何!?
人参?赤い人参か?食えそうだからとりあえず食うか、
「食感はごぼう?味は梨か?にしてもうまい!!」
とりあえずまとめよう。俺死んだっぽい。
そしてどうやらここは天国のようだ!敵もいないし最高だな!やったね!
「とりあえず服のかわりでも探すか……よし、上流に行こう!」
-その時、赤黒い何かが川に流れている事に気づかないでいた。
30分程歩いただろうか、途中に滝や崖も無くスムーズに来れたにも関わらず
村どころか人1人いないし街道らしい道も無い。
すると
「あ、あれは柵か?人がいるのか!?」
そこにあったのは柵らしき物。
であって柵とは全く別物のただの枯れ木である。
というのはただの勘違いである。
「?鉄の匂い?やっぱり人か!?いや〜造鉄とかやってんのかな!それとも鍛治?やっぱり異世界は最高だな!!」
小走りで匂いの方に行くとそれが徐々に鉄の匂いでない事に気づく。
血の匂いだ。怪我をしてる人ならいいのだがとさらに進む。
「グギャッ!」
「うおっ!えっ……ゴブリン??」
なんか突然緑色のゴブリン?ぽい奴が出てきたのだけれどどうしよう。
殴る?いや、敵対はやめよう。もっと友好的に…
あ、ダメだあいつ石投げてきてる!
逃げるか?でも森に全裸で入るのは…
くそっ!戦うしか無いのか!
とりあえず殴るしかない!
「おりゃ」
「ヘギャッ!」
腕で防御されたせいで思ったより殴った手が痛い。
だが相手にはかなり効いているようだもう立つのもやっとな感じが見て取れる。おかしい。
今の一発は腕で防がれたはず。なのに何故だ?
よし、検証と行こう。
そして俺は、中学二年の時に何度も練習した技を使うことにした。
「食らえ!俺のミラクルスーパーパンt……は?」
その瞬間。ゴブリンの頭が水風船みたく弾け飛んだ。
見上げればそこには、
「大丈夫?」
女神がいた。もちろん全裸ではない。
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