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第二話 富士の山

本伝が進んでませんが

とりあえずこちらでお楽しみ下さい(藁)

本伝只今熱血推敲中がんばりますぅぅぅぅ(泣)

波はゆるやか

艦首にかかる打ち懸かりの波も淡い泡沫を描く青天の航路を進む艦

まだ

青より青く

碧玉の美しさをたたえた海は初めての航海にでたこの船に優しい祝福を送っているようにも思えた

すべてが自然の成せる幸福な時間の中を灰色の鉄のふねは大日本帝国に向かい後数マイルというところにさしかかっていた


イギリス、ヴィッカース社にて作り上げられた最新の艦艇三笠は己の仕えるべき国の方角を甲板から静かに眺めていた

マンチェスターユナイテッドで有名なマンチェスターから100キロほど北にある「労働者」の町,バロー.イン.ファーネスで凍てつく冬の進水式を向かえ

年を越した3月,サウサンプトンにて主の国「帝国海軍」に正式に引き渡された彼女はスエズ運河を越えて2ヶ月の旅の末に

ようやくこの島国の領海に艦を走らせていた


移り変わる景色を眺める三笠


「淡い色の国だ」


目に映る初めての日本の情景はイギリスの濃い森とは違う景色

緯度高い凍える国の木々は針のような葉を茂らせていたが

五月へ夏へ向かうこの国の季節の中で芽吹く新しい緑の色はとても淡く優しいものに見え

同じ島国とはいえずいぶんと印象は異なるものだと煌めきの海に目を細めながら

流れる情景を楽しんでいた


「失礼致します」


近づく紫の山並みを見つめていた三笠の後ろに泡沫の光が走る

艦魂と言う魂が移動の手段として現す力は

花火のように飛び散る光とは違い空間にあふれ出る滝のように流れ落ちる

その中から士官服の若い女が姿を現した


「こんにちわ、ようこそ大日本帝国へ」

流暢な英語

帝国海軍の標準語はEnglishそして彼女はその容姿から生粋のイギリス人である事が伺える

長く美しい栗色の髪

愛嬌の良いクルリとつぶらな青い瞳を持った彼女は続けて背筋も正しい起立の中で敬礼


「随伴としてお迎えにまいりました「比叡」です」

相手の敬礼にあわせ三笠も手を挙げた


「ありがとうございます!三笠であります!」


海軍の礼に則した肘を横に出さないキレイまとまった返礼に「比叡」は感心したように微笑んだ

コルベット型艦艇として新たな「力」との入れ替わりの時期にきている彼女は,今は練習艦兼海防艦となっていたがココから横須賀えの道先案内と

これから会うであろう帝国海軍の艦魂たちの事を伝えに来たのだ


「素晴らしい艦体です。新しい力、待っておりました」


最初の挨拶はもっとも大事な事だ

若く美しい艦魂三笠は六六艦隊計画の中核をなす一等戦艦の4隻の内の1隻

これから帝国海軍を支えて立つ旗艦となる艦魂

幼さの残る顔にブルネットの髪、薄い空色の瞳

日本の船舶の女達のような泥臭さは一切ない精錬されたladyBritainは

緊張の眼差しのまま比叡の後ろに従ち

簡潔に帝国海軍を聞いた


富士の山の見える駿河の海を静かに

横須賀に向かって






「初めまして、よくぞココまでを無事でこられました。帝国海軍は貴女を歓迎します」


横須賀鎮守府

大日本帝国海軍の重要拠点として急速に発展を続ける港に三笠は静かに碇を下ろした

今日この日,最新鋭の艦艇を迎え入れるために集まった士官達と海兵達

無事に到着した新造の戦艦に目を輝かせていた

夏を近づける緩い風の吹く中での到着は物見うさんの人達を多く集めていたがそのすべてに期待の視線がある事はたしかだった


敷島型四番艦三笠

先に就航した姉たちとは別のクルップ鋼板という新たな鎧を身につけた姿に

日本の明日を担う海兵達の心は無闇に熱くなっていた



外の騒ぎとは別の場所、艦魂達はかつて明治二十七八年の役(日清戦争)(日本での正式戦役名称)にて旗艦を勤めた「松島」の中に集まっていた


松島の部屋

木製の柱を基調とした部屋はイギリスかぶれなガンルームとしての機能を十分に備えながらも

どこか余計な広さを持っている

元々の製造国であるフランスの変な美観がごっちゃになった部屋

古い時代の簡易照明のした司令は彼女を待っていた


松島司令


見た目の年齢は18歳前後

フランス生まれの彼女は空気に揺れる優しいカールのかかった銀髪に真っ白な肌

涼しげな目元で優しく三笠を迎え入れた

初めての土地での仲間達の前,背筋をただした姿勢から直立を保ったままの三笠に優しく,司令官としては異例なほどに柔らかな態度で接していた


この頃に日本艦艇艦魂達はみな本流の日本人とはかけ離れた姿の者が多かった

自国の生産力で艦艇を製造しようにも技術力の習得までに手の回らない日本は国家予算を割き,皇室の経費を頂いて艦艇を国外から買いそろえていた


結果

艦魂たちも当然「フランス出身」だったり「イギリス出身」だったりしており

三景艦の姉妹の中では唯一「橋立」がかろうじて日本人の容姿に近かった

ただ

艦艇の設計はもとよりドックの開発を担当した「ベルタン」の意志は艦の端々に介入していたため

彼女も黒髪というよりはブルネットで「青」の濡れ羽色のような髪を持っていたが

いずれの身の丈も当時の日本女性からは到底考えられない160センチ台

同じように皆,背丈も高く

スラリとしたスタイルのよい女の子達が揃った部屋での歓迎の初顔合わせが行われていた


「これで私も旗艦の仕事を降りられます」


自分の前にきりりと敬礼の姿をした三笠に

松島は大きな「安堵の溜息」を落とすと疲れた顔を上げて微笑んだ


緊張。。。現在



大日本帝国は永久凍土の大地を大半に持ちながらも世界最大の領土を持つ大帝国ロシアと緊張を高めた状態にあった


イギリスで艤装に入った頃,三笠は労働者が持ってくる新聞を拾い集めては食い入るように世界情勢を見つめていた

列強の食い物として滅亡の一途を辿る「清国」

安南ベトナムを列強に奪われ日本との戦いに敗れ,国土はズタズタに引き裂かれ始めていた


大日本帝国は前序の清との戦には勝利を収めていたが。。。。「完勝」とはほど遠いところにいた

戦争に勝ったことで遼東半島を手に入れたのもつかの間

「三国干渉」を受け半島を変換するという屈辱を受けた



勝てない戦はしない



日本は経済,軍事力ともまだ貧しい国だった

列強の条件を呑み清国から戦後賠償として2億両を獲る事で話しはまとまる


列強のもつ艦隊と兵力に勝てるものは何もなかった。。。それ故に

屈辱に涙を呑み半島の利権を手放した

その肝を舐め賠償金で国力増強に努めたのだ



「臥薪嘗胆」



この干渉の根元であったロシアを仮想敵国とした日本は次にくる10年の間に国力と

海軍力の向上に心血を注いでいた

せっかく独立を果たした大韓帝国へ権利の委棄を促したロシアが手を伸ばしていた

世界の中でアジアの眠れる獅子を称した清国は弱った国体をロシアの力によって補填し始めていたからだが

それは西洋列強に手のひらで踊らされる哀れな遊戯としか見ることはできなかった


条約とは闇に捧げられる花束である


1900年

義和団事変の混乱収拾を名目にロシアは満州を制圧

不当な侵略に怒る列強,英,米,日の反対に撤兵を約束するも「不凍港」を目指すロシアは約束を履行せず駐留を強化

これに危機感を募らせたイギリスはついに日本と手を結ぶことになる

不凍港の問題では先にイギリスはドイツと供託しベルリン条約によって先手を打ちバルカン半島を伺っていたロシアの南下を押しとどめていた

文明国家と代表する宗主国の介入にロシアは地中海に港を求める事は停滞としたが。。。


極東とアジアに対しては未だ植民地として原住民的地位しか持たない国家を併呑する行為ほ正当化できると考えていた

閉ざされた海を後ろに

東方の港への触手を伸ばすことに今までにないほどの意欲を燃やしていた


同じく清国を植民地化したい列強の思案とロシアはぶつかって行くことになる

そして

列強の思惑は別としても大日本帝国は面前に迫る敵としてロシアとの戦いは避けられないのか?という所にさしかかっていた



1902年,三笠は緊張高まる日本にやってきた




艦魂達にもその緊張は十分に伝わっていた

今度の戦争はきっと大日本帝国始まって以来の未曾有の戦になると


「いやぁ、やっぱりイギリスの方って「紳士」ですね〜〜安心しゃった」


黎明期の帝国海軍

まだ少ない艦魂という仲間達の集まりで軽口を開いたのは「浪速」だった

めずらしくそろい踏みな仲間達の中

いまだ硬い表情の三笠に気を遣ったのか,ちょっとだらしない感じの笑い顔で


「楽してよ三笠ちゃん!!今日は無礼講!!歓迎会するからね!!」


自己紹介と握手を交わす

あえて「淑女」と言わないアタリが戦いに徒事する艦の宿命を感じさせる言葉だったが

三笠も居心地の悪くない場所に少しばかり気を緩めたい気持ちはあったが。。。顔をきりりと引き締めたまま様子をうかがっていた


疲労の色濃い帝国海軍艦魂達

それを振り払いたいのか浪速は


「マジで三笠ちゃん!そんな硬くなんないで!十分に礼儀正しい人だって事はわかったから大丈夫だよ」


高まる緊張から自分たち心だけでも逃げ出してしまいたい,そういう態度が三笠には見えていた

ココ何年かの張りつめた環境は「人」はもとより艦魂にとっても心を落ち突かせる場所をなくしていた中で,新たに国の守りとして加わった最新鋭の艦を祝うぐらいの楽しみは必要とされていた


「今日ぐらい楽にいきましょう」


横須賀の司令職松島は全体の気持ちをくみ取り,手元に開いていた書類を閉じると

自室兼司令室に集まった艦魂達の自己紹介を進めた

並ぶ艦魂達の数は三笠がイギリスで見た艦魂からくらべれば非常に少ないものだった

心細い艦隊

それでも清国との戦いをへて海防の力を格段に上げてきた仲間達は

待望の最新鋭艦を温かく迎え入れた

古参の者達から


先にこの地に突いていた姉達「敷島」は現在呉にいるため会えなかったが朝日と初瀬が妹である三笠に抱きついた


「良かった無事に着いて!怖くなかった?」


朝日はイギリス、クライド・バング、ジョン・ブラウンで生まれた二番目の姉

イギリス出身の艦魂は多く

「筑紫」や「浪速」「高千穂」ペレット技官により「大日本帝国の魂を思って作ったという艦」「吉野」なども総じて大英帝国から帝国海軍に渡った者達だった


朝日は栗色の髪を揺らし

妹のブルネットを撫でた

目には涙を浮かべて、イギリスから日本への回航は必ず安全な航路とはいえない

フランスから回航途中で消息を絶ってしまった「畝傍」などもいるのだから

産まれてすぐに遠い主の国にを妹を思って心配で泣く日だってあったのだ


碧眼の姉妹

初瀬もまた三笠の寄港を心待ちにしていた

朝日に先を越されてしまったため近くで微笑み握手をするように手を握る

安心したようににこやかでしずかな顔

栗色の短い髪を揺らし可愛く首を傾げて妹を優しく見つめる

やはりイギリスから大日本帝国は遠い国

姉達も心を引き締めてこの海を渡ってきた

やっとで出会えた姉たちの熱い歓迎に三笠の心も緊張から少しの安らぎを得ようとしている仲間に同調し素直に喜んだ


「私も嬉しいです!!姉様達に会えて!!」


姉妹達がそろい踏み出来る事などこれから先は多くない

迫る危機の意識を拭うように姉や帝国海軍の艦魂達は三笠を囲んで談笑を始めた

心の中では

最初からこの緊迫に強く向かっていこうと誓っていた三笠だったが

新たな力として現れた自分と少しの安らぎを得たいと願う姉妹達の意志にしたがい尖らせていた目を解除し微笑んだ


やっと和んだ場

お茶菓子とお酒が広げられ女の子特有の黄色い空間が華やかに宴を始めた






「コワイ顔してたからアレな感じだったけしゃっべてみたら普通でよかったわ!!」


三笠の両サイドは姉妹に囲まれていて,その隣に座った浪速は身を乗り出す

隣を固めている随伴をしてくれた比叡は少し酔っぱらったのか赤い顔で


「普通の人でよかったよぉ「プリンセス」みたいな人だったらどうしょかと心配してたしぃ」

「そんなのあり得ないだろ!」


無礼講の入った飲み会に詰め襟を解いた比叡の発言に、隣に座っていた浪速が素早い突っ込みを入れる

知らない名前に三笠は

「プリンセス?」と聞き返した


浪速

歳は三笠より上のハズだが、ちゃっめっけいっぱいの笑い顔はいたずら小僧よろしくな笑み、金色より少し深い黄昏色長髪を揺らす彼女は酔った勢いで興味の引いた話しを始めた


「ああ〜〜プリンセスね。フランスから回航で日本に来たとき大変だったんだよ〜〜」

「比叡、浪速」

酔ってくだ巻き、浪速の言葉に合いの手を入れた比叡の姿に松島司令は困った顔をしている

司令の顔を気にしつつも周りを囲む艦魂達の顔に溢れる笑みに興味はそそられる


「あのね、私の妹なんだけどちょっと「おおらかな子」なの」


三笠の正面に座っていた松島は恥ずかしそうに目を伏せた

「いいじゃないですか〜〜今言っておきましょうよ!!後であったら驚いちゃいますよ!!」


松島の隣に座っていた高千穂もほろ酔いの中で,おそらく全ての艦魂が知っている「話し」を進めるよう促した

松島も諦めたようにお酒を口にして沈黙

それを合図に比叡は語り出した


「今日みたいに私が随伴でお迎えに行ったときの話しなんだけどね。。。」


三笠も遠慮なく酒をグラスに注いでいた聞き入った


「帝国の領海に入ってからご挨拶に伺ったんだけど。。。」






その日

随伴を任された比叡は今日,三笠を迎えたように相手の甲板に降りするとキレイな敬礼と共に自己紹介

そしてウエルカム大日本帝国と告げた

目の前には銀髪の緩いカール

言うなら松島の妹なのだからよく似た髪型の少女が,うっすらと見え始めた帝国の領土を見つめて船首もかなり先の方,波被り近くに立っていた


比叡の敬礼と挨拶に顔を向けることなく彼女は聞いた

静かに舞う風と波の粒の中で


「ココはもう大日本帝国なの?」

「はい」


幼さと舌っ足らずなしゃべり方

そもそもは同級である松島とどちら姉?といわれる彼女

起工も就航も彼女の方が松島より早かったため未だに自分が姉であるという「プリンセス」だが。。。。容姿は明らかに幼女で。。。すらりとしたフレンチ美人である松島が妹だったらおかしいぐらいの身長差

艦魂の年齢や容姿に一定のキマリはないようで,産まれたとき発現された姿とは関係なく姉妹関係が作られている

だから姉の方が幼かったり,妹の方が大人びていたりという違いは多々見られたが


この


お迎えに上がった彼女はいかにも幼女というチビな姿

誰が見て松島の妹にしか見えないのが事実だが

とりあえずそんな事は置き


「しばらく進むと霊峰富士が見えて参ります」


振り向かない彼女の姿に,外からこの国にくる艦に共通する緊張かと気を遣った

相手が思いの外幼い少女という事も手伝って


「横須賀に着いたらゆっくりできるよ」とフレンドリーな対応に切り替えた

その話しの前。。。。

比叡も長く随伴の仕事をしてきたが思わぬ事が起こったのだ


「何が起こったと思う〜〜〜」


ギヤマンを硬く焼いた不格好なグラスに,なみなみに注いだ酒を持った手で比叡は三笠に「answer」と指差した


「わかりません」


初めて飲む日本酒はどこか薄味だな?とピッチをあげて飲んでいた三笠はまだ正常に脳を働かせていたが

そんな所,自分の艦首に仁王立ちの後で艦魂が仰天するような出来事など思い浮かばなかった

まさかそこから飛び込みなんかしたら艦の魂はそこで死んでしまうし。。。

それでは笑うような話しにもならないし

答えが思い浮かばない自分の横では姉2人が口を押さえて笑っていた


「何があったんですか?」


三笠の質問に大笑いの部屋

比叡はもったいぶろうかとも考えたが酒がまずくなるのを嫌って答えを教えた




「裸になったの!!!」



近づく山河を前に,走る海の上,比叡は目の前で起こった出来事に声を失っていた

艦首に立ちつくしていた彼女は何事も無かったかのように軍服を脱ぎだしたのだ

そもそも

彼女の姿はおかしかった

帝国海軍という大日本帝国を主とする国に回航して来ているのに

彼女は「フランス海軍」の軍服を纏っていたのだ

黎明期の帝国海軍には海軍の制服が間に合わずとか。。。ワカラナイ場合にはよく生産国の軍服のまま来る艦魂もいたが

それでも回航員として艦を操船する日本軍の士官を見れば制服を揃える事など出来たはずだし

だいたい引き渡しの港で着替えるのが常識だった


ココ日本の領土が見える真ん前まで「フランス軍」の姿で来たのは彼女が初めてだった


そして

その初めてココまでやってきた彼女は愕然とする比叡の前で全ての軍服を脱いで。。。

目の前,真っ裸の状態で立っていたのだ

唯一の救いは成人女性にはまだ少し時間が掛かりそうな姿をしている彼女がつるぺたで。。。少年の仁王立ちに見えたことか?



「なんで。。。ですか?」


さすがの三笠もこの話しには驚いた

「人」に見られる事は希な艦魂ではあるが

回航から昼間の海を行く自艦船首で真っ裸になるなんて普通の精神とは思えない


「わかんないよぉ〜〜」


比叡は笑いすぎで涙目に成りながら事の顛末を話し続けた


フランス軍の制服を脱いだ彼女はキレイにそれをたたむと,海に投げ捨てた

そして今度はいそいそと大日本帝国海軍の軍服を身につけ始めた

全ての着衣がまとまったところで初めて比叡の側に振り向き

何事もなかったかのように横須賀にむかった。。。。


「どうしてそんな事。。。。」

「だからわかんない人なんだってぇ〜〜」


茫然自失で自艦のコントロールを危うく失ってしまいそうに比叡がなったのは今では笑い話のおまけとしてついている


「おおらか。。。。なんですか?」


手元に置いたお酒を姉の初瀬よりも早いピッチで飲み干した三笠は吹き出しそうな顔を

話題の彼女の姉にあたる松島に聞いた


「ちょっとねぇ。。。。変わってる子なのよ」


松島は自分の目でそれを見たわけではなかったが。。。

港についた比叡が真っ赤な顔で笑いを堪えていた事でこの事件は発覚し,今や帝国海軍の語りぐさになっていた




そんな彼女に三笠が出会ったのは翌日,全員が揃っての挨拶の時だった

だがそれより強烈な出来事は近海を訓練のために走っていた三笠甲板で起こった






「忘れようのない出会いだった」


広島土産の酒にほんのり頬を赤らめた三笠は

ちょっとだけと注ぎだした小僧のグラスに遠慮無くお代わりを足しながら

「プリンセス」との出会いが帝国海軍を1つ強くした大切な出会いだった事を思い出した

少年は進められるまま酒を煽った

かれこれ三笠との付き合いは長い,中学に上がった頃にはビールを勧められるようになり(本当は自分が飲みたいから)

今じゃ自慢は出来ないがクラスで一番の酒飲みだ



「なんで裸だったの?」


もっとも興味の引かれる質問


三笠はニヤリと笑うと

「その意味は直ぐに解った。。。。」と言いつつ


「小僧も色気づいたな,女の裸の話しには耳も立つというものか?」

指をさされた少年は既に酒で真っ赤な顔をさらに赤くした


「ちっ違うよぉ!!気になるでしょ!!そこは素で!」

皿に乗ったポテチに手を伸ばしながら,取り繕う


少年の初々し反応に声を上げて笑いながら三笠の懐かしい話しは続いた

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