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第十六話 修練の策

間開きすぎ〜〜

久しぶりの外伝です。待っていて下さった方、よろしく楽しんでくださいませ

舞鶴鎮守府


ロシアとの戦争はあるのか?

日清の戦争当時から大日本帝国につきまとう北からの恐怖、これに対する備えとして選定されたのが舞鶴湾だった

湾口にはほどよい出入り幅を持ち港内はY字に広がった立地、水深も申し分ない自然の要害として優れた地理にあった舞鶴だったが、山にかこまれた場所で海軍の拠点としての造成が始まったのは、帝国各地に増設された鎮守府の中ではかなり後発な地所


海回り申し分なかったが、陸地部分は難所だったココを造成するだけの財産を大日本帝国は捻出する事が難しかったのも遅まきの造成になった理由でもある

結局本格的な工事が着工されたのは大清帝国との戦いで賠償金を得てからだった


三笠の誕生した一年前に開庁したばかりの軍港は、横須賀鎮守府のようより大きな軍港ほへとの拡張をすめに働く者達の活気で満ちていて、くすぶり続けた三笠の想いを新たな覚悟へとシフトする場所としては最適だった



「星が、キレイだ」


連日の演習が開けた三笠は風呂を味わい溶けるように虚脱した首を持ち上げ、漆黒の夜を彩る月と星を肴に酒を楽しんでいた

大きく手を挙げ背を伸ばし、節々に残った疲れを振り払うように体を動かしてゆく

明日は久しぶりの休暇


ここに入港して二ヶ月目

三笠の到着を待っていた姉敷島のしごきは横須賀で実戦してきた演習を遙かに凌駕するものだった


佐世保で合流した姉敷島は三笠の背丈を頭半分超える長身で前髪を切りそろえたショートの金髪の下、三笠以上に菱形に尖った目での挨拶を交わした

初めてあう妹の前、笑みの一つも見せぬ敷島は姉妹の話題など何も触れず三笠を頭ごと射抜くように睨むと


「三笠、お前はこれから来る戦いに向けて連合艦隊が成れば必ず旗艦の任につく者。だから司令艦として何処に出しても恥ずかしくないよう徹底的にお前を鍛える、余計な事は一切考えるな!!」


低く構えた響きで吠えるように伝えた


帝国海軍艦魂の中、珍しく制服の下もスラックスという姿の姉は顔を摺り合わせるギリギリの所まで持ってくると「返事」をしろとドスのきいた声で合図した

脅しつけるようなやり取りだったが、三笠は軍属らしくキレイに踵を合わせた敬礼を返し、それ以来今日までしごきの毎日を送っていた


演習は佐世保と舞鶴を行き来する形をとる事も多くあり日本海という荒海に乗り出す中での艦隊運動は、これまでの演習が夢見心地の揺りかご運行だっとするならば、毎日が台風のような厳しいもので、一秒のずれでも出ようものなら容赦のない竹刀が飛んだ


「単縦陣は基本中の基本だ!温い事を考えで連なって動けるか!余計な事は何も考えるな!前を見てしっかりと心を定めよ!みんなお前について行くんだぞ!」


刃風なびかす竹刀の音は夢にでるほどの猛特訓で三笠は演習にだけに没頭する日々を送っていた



「久しぶりの休暇だ」


振り返ってもしごきしかない生活に長い息をはく

真夏の真ん中の季節に容赦なく続いた特訓、今は秋口に入っているが演習漁が落ちることがない、おかげで白色で目にも美しい軍服は毎日も汗にまみれて変色し続ける

毎日でも風呂に入りたくともそうもいかない程の寸間を惜しむような演習

艦として、人との呼吸を合わせるという仕事に徒事した後は、敷島からの注意点に対する授業と称した説教が続いていた中で久しぶりに得た休息だった


風呂と一緒に軍服は洗い

自身は褌にサラシ姿で甲板に転がり星を見上げているだけが極上の休息

手元に持った舞鶴の地酒「池雲」を一杯。しみこむように体の隅々に心地よい痺れを走らせるのがたまらない刺激の中、細くなった目で一言


「きくぅ」


ほのかに熱い息を漏らし重くなり始めた瞼の前、星は一つの瞬きを広げて踊る


「三笠、だらしない〜」


伸びきった手足をだらりと転がした姿の三笠の顔の前に現れたのは姉の初瀬だった

栗毛を流した顔の前

三笠と同じように疲労を湯で落とした緩い顔で、汗で濡れきった軍服を洗濯し変わりに水兵の服を着て、ご丁寧に帽子までかぶったという姿で、天を仰いで大の字に転がっていた三笠に注意した


「これは良いんです」


かたづけられない姉に開口一発だらしないと言われた三笠は上体だけをかるく起こして言い返した

「淑女のかっこじゃないよ」

「淑女でも私達は軍人ですから」


頬を不満げにふくらました初瀬は片手に持った刺身、イシダイとゴマサバを前に出し

お酒の仲間入りをしようと隣に腰を下ろすと、もし人に見えていたらあられもない三笠の姿に目を細め


「そのかっこうが許されるのが不思議よね」と口を尖らせた


三笠が舞鶴に入って二週間後に朝日と初瀬は佐世保に入り、三笠は敷島と演習も兼ねて佐世保に出向き返りは他の二艦も合わせた六艦での艦隊演習をして舞鶴に戻った

それ以降は帝国の第一艦隊第一戦隊として共に修練の日々に入っていた


「敷島姉様も言ってらっしたでしょう、「武道家は裸である時が一番強くあるべき」と」


初瀬の怪訝な顔に三笠は人差し指をたて、修練の鬼である姉の言葉を肌身にしみこませていると自慢げに告げた


「姉さんもそんなだった?」

碧眼の愛想の良い目がパチリと合図するように聞く

「そうでしたよ」

動じる事なく答える三笠


信じられないという両手をオーバーアクションに挙げた初瀬に、三笠は何度目かの敷島の話をした


敷島と三笠の修練物語を

初めてここに来たとき、初日にもかかわらずこっぴどく演習と訓辞などと絞り上げられた日の事

今でもそうなのだが、敷島の教育方針は基本が叩き込み型。言ってわからなければ体に言い聞かすという方法で、基本心優しいとされる船の魂にはあるまじき竹刀にて「殴る」状況が三笠にとって驚きの教育だった

それも三笠を上官とするなら下に並ぶ水雷艦魂達にも変わることなく叩く


さらに横須賀鎮守府では自分的に最大限に努力してきたと思っていた全てがぬるま湯だった事を知らしめたのは、教科の一つにある柔術で

水兵達がよく甲板の上で実戦しているのは見ていたが、よもや魂である自分が背負い投げされ一瞬の空中遊泳後畳に叩きつけられるというハンマーな痛みには泡を吹くという経験を初めてした


「情けない!!心を強くするためには体を強くする!!余計な事を考えているからそういう事になる!!無になってかかってこい!!」


目を回し悶絶している三笠に敷島はさらにどやしつける


修練を骨に叩き込まれた三笠はそのまま、風呂で背中を流せと怒鳴りつけられた

体の節々に痛みを走らせ、息も絶え絶えの三笠に甲板に用意したたらいにボイラーで暖められた湯を運ばせるという荒行を言いつけ、後に司令旗艦になる者に、まるで三下の駆逐艦がするような仕事までを命じたという

その席で盥に見たし湯に褌一丁の姿で入った敷島は腕に力の入らない三笠に


たま込めて磨け!」と三十分以上背中を流させた


人に見えないとはいえ、胸も隠さず盥にあぐらをかいた姿勢で怒鳴る敷島の姿にさしもの三笠も裸はどうかと、と尋ねたところの答えがそれだったらしい


「武道家は裸である時が一番強くあるべき」

それは

艦の中身において裸の魂である自分たちの心を強く持てという意味だと三笠は解釈し、以後それに習った


朝日と初瀬が到着で初めてその事を聞いた時には目を回した出来事だったが

すっかり肉体言語の世界を良きと浸り、自分を鍛えたいと考えていた三笠にはとても素晴らしい師匠と出会えたと、いい話のようになっていた


愉快な思い出と笑顔を見ながら語る三笠の隣でお猪口一杯の酒を頂いた初瀬は、遠い目で水面を見つめて静かに修練日記を聞いていたが、不意に手で言葉を遮ると


「まあ、それはいいけどさ、なんか大事な事忘れてない?」


相変わらずのとろけた口調で首を傾げてみせた

「明後日の事ならもう準備は出来てます」

軍規における出来事を消して忘れない、当たり前の事指摘されていると勘違いした三笠は緩んでいた口調を改めて言い返すと


「明後日は八島姉様、富士姉様が舞鶴に入られる」

「それじゃないよ」


しゃっちょこばった唇に初瀬の人差し指がストップをかける

「それじゃない〜〜」

念を押すように上目遣いに言う

「…なんでしたか…他に特別な日程はないですけど」

三笠は自分の知らない出来事はないと自負していた、いくら三下の扱いを敷島から受けていても司令旗艦を約束された身。自分の手元に帝国海軍の予定が届かない事はない

そう考えたが初瀬の行動に別の事に気がついた


「姉様、また何か隠しているって事ですか?八島姉様や富士姉様の事で」

「違う」


唇を尖らせた即答とチョットご機嫌を損ねた目が空を仰ぐ

どこかで何かを忘れているという指摘にフル回転で自分の頭の中を検索するが、疲れも手伝ってか初瀬が言わんとしている事が思いつかない


「まんまと敷島姉様の手腕に引っかかったって事だね」


気まずそうに沈黙した三笠に初瀬は諦めたように溜息を吐くと

「まあ、その方がいいかもだけど」とさらに一杯の酒を手酌で注ぎ飲み干した

さすがにそこまで言われると素直に謝って、自分が何を忘れてしまっているかを聞きべきと三笠が座り直そうと腰をあげた瞬間

光の輪から朝日が現れた


「また、そんなかっこうして」


籐で編み上げた飾り気のない小さなバスケットを持った朝日は三笠のとんでもな姿に目を覆いながら、初瀬をチラリと見た


「初瀬、またそんな事を蒸し返す事はないわ」と軽めの釘をさした

光の粒を散らせながら軽いステップで甲板に降りた朝日に三笠は腰を上げ掛かった不器用な姿で聞き返した


「いや!こまります何かあるならば教えてください」

「それ以前の問題!」

話題をはぐらかし続ける初瀬より、聞けばキチンと答えをくれそうな朝日にかけた声を初瀬が塗りつぶすように遮った


風に吹かれる栗色の髪の下、眉をしかめ困った顔で沈黙した朝日と、頬を大きくふくらませご機嫌斜めな初瀬

二人の姉の言葉にいよいよ自分が大事な見落としをしている事に心苦しくなった三笠の姿に朝日がバスケットを開き油紙に包んだチーズをだしながら答えを言った


「敷島姉さんが松島司令とどうしてケンカしたのか、聞いた?」


電気が頭の中に直撃したように三笠は最初に敷島に会ったら聞こうとしていた事を思い出した

あの字に口を開け、何故そんな大事な事を聞きそびれてしまったのかと目を回した


「忘れてました…なんで…」

呆然としながら言い訳をした三笠に初瀬は、朝日の持ってきた酒のつまみのチーズをナイフで切り出してほおばりながら

「だから、演習漬けにして質問をさせないっていう敷島姉さんの作戦にまんまとひっかかったって事でしょ」と小馬鹿にした視線を向けた


「初瀬、そういう言い方しない。別に聞かなくても良いことだし」

「それは違います!!聞かなきゃいけない事だったのに…」


根性根性ど根性、すっかり敷島のペースに乗せられていたこと

そして自分がそういう訓練を望んでいた事を見抜かれた作戦だった事に気が着いた三笠だったが、怒りよりも少しの沈黙をした


「なんで敷島姉様は質問させないようにしたんですか?」


不可思議でもなんでもない素朴な疑問だった

今日までの修練

敷島は手厳しい訓練を遠慮する事なく課すが、生真面目な性格からそれを行っており隠し事や小細工をするような人ではないと三笠は認識していた

なのに忘れさせようとするという行動がわからなかった


「三笠…」


ぶちまけた意見に、後の事は興味なしと肴とチーズと酒を楽しむ初瀬に代わって朝日が気まずそうに伏せた目で答えた


「松島司令達の事、もう聞かない方がいいと私は思うの」


その態度はいつも理性的で、良い答えを出すのに助力をしてくれる朝日の発言とは思えないものだった

目を伏せるように、直面している問題を見ないように三笠の視線をそらして立つ姉の姿に感じる不安、緩んだ体をおこし朝日の前に迫ると


「どうしてそんな事を言うんですか、この問題を解決しないでどうやって帝国海軍を纏めて行く事ができるんですか」


重大な問題

帝国海軍はこれからくるであろう未曾有の戦いの前に一致していないという事

前の戦いを経験したが故にか、戦いに否定的で戦う事を恐れているともとれる松島司令達と、来るべき戦いの備えとして帝国に嫁した敷島が起こした嵐


さらにそれを浅はかな方法で取りまとめようと彼女達の沈痛な想いを破棄しようとした自分


島国日本にとって一大事の戦いは確実に迫っているという時に、帝国の要である艦艇達の心が大きくひび割れ、修復の手を尽くすのも無理と思える程開いた溝

だからといってこのまま放置する事もできない、三笠が最初に敷島に聞きたかった事はそれだった


何故、松島司令達の事を認めようとしないか、という事


「問題の原点を聞きそれを正すという事を、今まで私事にかまけて忘れたのは遺憾ですが、思い出した以上話し合いも出来ます」

「しない方がいい」


自分が広げた傷に責任を感じている三笠の目に

朝日は拒否と首をふると、早口で切り返した


「もう、松島司令達が私達と一緒になって戦う事はない。わかってるでしょ彼女達は海防艦となり第三艦隊第五戦隊の編入になった。真正面の戦いで共にいないのだから」

「駄目です!!」

否定を断じた言葉で三笠は朝日を見つめた


「なんでそんなふうに言うんですか、姉様」


横須賀にいた時には自分のやり方に賛同と賛辞を送ってくれた朝日が、触らぬ神に祟りなしと言わんばかりに事を曇らせる理由を三笠は問いつめようとしたが

朝日は口をつぐんだまま悲しげな顔をするだけで答えなかった。それは波が静かに打ち寄せて引く、ありきたりで静かな空間がただ続いてしまうような時間

青い瞳に深い闇を隠すように沈黙を続ける、重い二人の間を割ったのは初瀬だった


「言わない方がいいって思うのは、問題の原点が敷島姉さんじゃないからだよね」


ほんのりお酒によった赤い頬で肴を半分も平らげた初瀬は、張りつめた二人の間には入ろうとせず座ったまま海を見つめながら続けた


「敷島姉さんにそういう先入観を持たせた人がいる、その人が来るからだよね」

「初瀬!」


背中を見せたまま語る妹に注意をする朝日の前、三笠は明後日ここにくる姉達の事を思い出した


「富士姉様と八島姉様…元々の原因」

思い出した言葉の後、自分の頭を小突いた

元々の原因は初瀬が最初に教えてくれていた事を

「富士姉さんも八島姉さんも仲良く出来なかった」という事

何度も自分の頭をこづいて、気持ちを叩くように整理すると困惑の顔で立つ朝日に告げた


「ちょうど良いです、物事の原因を最初に作った姉と話しが出来るのならば問題の解決は速まります」


そう言うと手の中に光りを作って夏服の軍服を素早く着た

「では今からその旨を敷島姉様に告げ、問題の解決に尽力します」

疲れ切っていた体に気合いの電気を通した三笠は、言葉を無くしたまま見つめる朝日に敬礼すると紫の光の輪を現し素早く消えていった




「どういうつもりなの…」


三笠が消えた甲板の上、月見酒を続ける初瀬の背に朝日は溜息を零しながら聞いた

「う〜〜ん、別に」

酒で痺れた舌はいつも以上にとろけた口調で答えると、座ったまま自分を問いつめようと迫っていた朝日に向き直った

真っ赤な顔で微笑む妹に朝日はさらに長い溜息を落とし


「なんで三笠を嗾けるの?富士姉さんや八島姉さんは普通じゃないわ、貴女も良く知ってるでしょ」


初瀬の隣に座り散らかったチーズの欠片を指で掬う

「ただでは済まない事になるかもしれないのよ」と眉をしかめた

「ただで済まない時は呉越同舟だよ〜」

半分を切った池雲を最早ラッパ飲みの初瀬は、自分の赤くなった頬を両手で軽く叩くと


「真っ赤なっちゃうね、ほっぺ」と支えて見せた

おちゃらける妹の顔に、またも溜息の朝日は、暴力的な解決は嫌いといつもの持論をきつく言い聞かせながら


「そこまで覚悟してたとしてどうして三笠にやらせるの、巻き込んでる見たいなものじゃない」とわざと嵐を起こしている初瀬に、やり切れない気持ちの整理を付けるために注いだ一杯の酒を煽りながら

問題の原点を知っているのなら何故自分でそれに取り組まないかを聞いた


「駄目なの!私みたいな落第生が言ったって駄目なのよ!」


すっかり酔いどれの初瀬は海から吹く風に火照った体を晒して、水面に向かい息を吐くと

「優秀な者が危機を実感しているって事が大事なのよ〜〜、そうじゃないと私みたいなのが言ったって敷島姉さんにドツキ回されるのがオチよ」


初瀬の言わんとしている事は朝日にも理解はできた

敷島のしごきに十分すぎる手応えを感じさせるほど三笠は力を身につけた

心を強く保つための修練をこんな短期間で乗り切った生徒はおおよそ初めての事だった


重責である連合艦隊旗艦を襲名するに十分すぎる実績を積んだ三笠が、内部にある不安を正そうとするために動くのは、責任者として正しい行動ともいえる

だが

わかっていても朝日の心は晴れなかった


初めて自分が富士に会った時の事を思い出すに、そういう意見が通る相手とは思えなかった


だから最初の一手として敷島と話し合う事は賛成していた

その後姉妹揃って上の二姉妹である富士や八島と話しをするという方法が良いと考えていたのだが

まんまと敷島の「余計な事は考えるな」に乗じた修練の策に三笠がはまり、松島達の事を聞きそびれてしまった事を見るや、上の二姉妹の意志が未だ強く働いている事を実感したし

二姉妹と顔を合わせる前に、姉敷島が自分の出来る方法で三笠がそれに触れないようにと策を講じたと直感で理解したのだ



朝日は紫の夜の幕の中、満天に輝く星に顔を向けた

星の美しい影は煌めきの破片となった波の上を転がる、いつも優しく心を和ませてくれる波の音


自分達が住まう世界の全てである海を想うに辛かった


この海で自分たちは戦う日が来るのかも知れない事が

争う日々など来ないで欲しい、そう願っても優秀な者達が戦争への危機を感じて自分たちを生み出したという事実を思えば


戦いは避けられないという見方は間違いではない

避けられない争いに国を護って戦うために松島達も産まれ、この海で戦った

今なら松島が戦いたくないと言い続けた意味も少しは理解できた

それでも


「戦いたくないという思いのままではいられない…だから」


優しく拭く風を手に受けて理性を働かせる

その時は遠くない、時間は限られている事を思えば、新たな戦いへの道を拒む松島達に同情ばかりはしていられない、だから断絶を埋める事に尽力するよりも

今、帝国のメインの艦隊となった自分たちが戦いに向けて意識を統一した方が効率が良いのではという思いに行き着いていた


「どうしてそこまでしたいの?初瀬」


それでも仲間を一体にしたいという初瀬の奇策


一通りの考えに沈んだ体を大きく伸びをしてごまかしす朝日の横で、最後の一杯までを飲み干した初瀬は腕組みをして笑った


「三笠ならやってくれると思うのよ!こういうまどろっこして壁をbreakthroughしてくれる!て」

子供のように大きく手振りをする妹の姿に、今まで姉たちのご機嫌を伺いながら可もなく不可もない生活を送ってきていた自分たちが問題の正面に立ったとがなかった事を認めた朝日はチーズをほおばるとはしゃぐ初瀬に釘をさした


「制裁はみんなで受けるのよ、覚悟は出来てるんでしょ」と笑った


三笠が傷ついてもこの問題に立ち向かうのならば姉として支えていこうという覚悟

朝日もまた心に一つの区切りをつけた夜だった

カセイウラバナダイアル〜〜絵本〜〜


さて外伝

やっぱり史実の戦闘をどう描くかは難しいですね

勉強おいつかないし、学べば学ぶほどに迷ってしまうのでそろそろベースにさせて頂く文献や資料を分別して、少し割り切ってやっていこうと考えてます

こうすることで小説である本文が破綻してしまわないように程度の形を整える事ができますから


でも

そうするとこれは違うのでは?というのも出てきたりもしますので

極力がんばりますが優しい目でみながらご指導くださいませ!!


やっぱり海戦の図というのが難しいので想像力の糧として

CGで日本海海戦の流れをおった本と日露の海戦を再現した本を買ってみました(中古でwww)

でも

CGってなんかイマイチ質感が悪い絵のようでう〜〜んって感じです

でも

ロシアの艦艇などは写真でもみましたが

CGで見るとなかなかおもしろかったです

ヒボシは個人的にはタンブルしてる船が好きだなぁ

なんか可愛い形に見えて

そんな感想でした



それではまたウラバナダイアルでお会いしましょう〜〜

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