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第十二話 荊の足枷

ひさしぶりです....ふぅ

前の戦争から約8年


北洋の艦魂達が編入されてからそれだけの年月が経っていたのに未だに「敵対者であった者達」という線引きがされていた事が、由々しきことであるという認識をした三笠はすぐに「解消」への行動を開始した

とはいえ

司令艦職になったばかりの三笠はの考えは少しばかり甘く青いもので、まだ産まれたばかりで県警のない事態に対する思慮の足らないものだった


それに気がつくことでさらに大きな役目を果たしていく者になるのはこの先の事


今は目前に迫っている、恐らく避けて通る事の出来ない戦争に向かい、戦いの最先方ある海軍軍艦に宿る魂が過去に縛られお互いが相容れないままでいる事の方がよろしくないのが事実と考えばかりが先走ったていた





「30日をもって横須賀での演習を締めたら私は舞鶴に向かう事になる。だから「全員」での宴を会したい」


3日後

三笠はココに新たな士官それに司令長官を乗せて舞鶴に向かう

その前に解決したい事の助勢を得るために厳島の所に飛んでいた


「妾になにしろってのよ?」


夕暮れ時、いつものように誰もが自艦に閉じこもってしまう中

厳島はテイと、何人かの水雷艦の魂達を集めて花札に興じていた

三笠は光の輪を弾けさブルネットの髪飾りのような光の粉を払って勢いまかせに立っているが、厳島の反応は薄くどこかふて腐れた顔

負けが込んでいるのか顔を赤くし頬をふくらませたまま


「宴したいなら三笠がしたいってみんなに言えばいいじゃない」

「特別な宴にしたいんだ!」


声を大に答える三笠に厳島は気のない顔で張り切る彼女を横目で見たが

司令職である彼女なのだからというふうに

命令したら、と素っ気なく首をふり場に目を戻した


そんな態度に三笠は仁王立ちになって


「花札やめろ!!」

「やだ!!今楽しまなかったらいつやるのよ!!今日勝たなかったら!!お酒が飲めないわ!!」


苛立つ三笠の姿によけいに腹を立て怒る厳島

目の前で相手をしているテイは口元を抑えて小さな笑み、勝っても勝たなくても厳島には回りを囲む船魂達がお酒などあまるほどに持ってくる事はわかっているのだが、あえて勝負事にしてみんなで楽しもうとする姿が可愛いし、しかもそんな勝負事に本気になってしまっているのが可笑しくて

後ろに控えている副竜も楽しげにしているが


三笠に背中を突かれるようにされた厳島はかなり斜めな機嫌の声で


「どうかしてるんだわ。楽しみの少ない生活なのに...花札にまで税金だなんて....」

「まったくですね。庶民の楽しみまで制限をかけられたら水兵も悲しいというものですね」


意地になって背中を向けたままでいる厳島は割り座で札と睨めっこをしながら愚痴った

正面横座りに座ったテイも夕暮れ時なのに魂はおろか人まで静かになってしまった港を見ながら活気を失った水兵達の姿を思い出していた


実はこの年、三笠が大英帝国からの回航に入っていた中頃の4月4日に「骨牌税こっぱいぜい」というものが帝国国内に公布されていた


賭け事にかけられた税金


麻雀稗は元より

安直で何処にでも持ち込めるカードゲームなどにもしっかりと課税され製造元は出荷すればするほどに儲からないという....なんとも戦時徴用的な税金というか、事実戦争に向かっている日本軍の財源の確保のために施工されたもので


直接賭け事をする人達にはあまり関係のないものなのだが...

出荷する側では倒産などに至った所が出たりもする事になるあまり好まれない悪法


そのせいか?

法律施行の中身がわかっているための懺悔か

帝国の軍人集団達は、自分達のためにかけられた税金などという高尚な言葉を唄い自らそういうものを禁じてしまうあたりがなんともなものである


表向き軍内で「花札禁止」という発布はされないが


めまぐるしく変わる世界情勢と近隣諸国との緊迫の関係の日々。結局そういう無言の圧力がかかり内部では沈黙の掟となっていた


だからか

7月1日に現実的な施行というギリギリの時間を恨むように厳島達は楽しんでいた


人が法に縛られ我慢を強いられようと艦魂は見えないから自分たちには関係なし...などとも強気に言えない心優しい魂達は人に準ずるように自粛の道を選んでいた

厳島もまた人に習い7月からは...泣く泣く止めようとテイ達には言っていた


まさに

臥薪嘗胆


政治的背景を如実に反映したように

夕飯後の本来なら訓練開けで、酒保物品の他にあった楽しみの一つにあった賭け事の声は聞こえなくなり

活気のない

どんよりと静まる横須賀鎮守府に真夏に近づいた明るい夕暮れが、さわやかな夜を引き出し始めていた


「施行後に花札見つけたら取り上げるからな」


軍規は大事

目の前の賭け事を睨みながら

それでも施工まではまってやるという態度のまま三笠は話しを続けた


「帝国海軍の中身は微妙な温度差があるからそれを解消するためにも宴を催したいんだ」


三笠の言わんとしている事

前の戦争以来、帝国の艦艇としてココに存在するテイを中心とする「元北洋水師」の艦魂達には鋼鉄の戦船、黎明の戦いを演じた結果として深い溝があった

いまなお一同に会する港にて共に演習をしたりもするのに、同じ場所に並ぶことも許されていない彼女達の身の上はどう見ても不自然だし、目前におそらく迫っている危機に対処する上で危険な要素であると三笠は判断していた

だからこそ大々的な宴を催し無礼講もありで親睦を深めたいという提案だった


「やればいいじゃん。あっそれ大場!!」


熱弁を振るう三笠に最後の札をきった厳島の返事はやはり素っ気なく、目の前の賭けには熱中の叫声を上げる様子

自分でテイ達を思って宴を開いた主にしてはあまりな反応に立っていた三笠は厳島の横に座ると


「真面目な話しなんだ!プリンセス!協力してくれ!船魂達も呼んで..」

「それは難しいのでは」


唾が顔面横に直撃する距離の大きな声に顔を歪める厳島に代わりテイが悲しげに下がった眉で


「松島司令は船魂との交流にも良い顔をしてらっしゃいませんし...」

「だからこそ、この国を護る私達との交流も必要だし、下々の会話も松島自身が聞くことができる」


「松島司令が私達を許さなくても私達はきちんと帝国に尽くして戦えますから、ご心配にはおよびません」

張り切る三笠にテイの隣に座した副竜が答えた

テイも小首を振って自分たちの決めた気持ちが変わらぬものである事を告げたが


「そんなテイ達ばかりが謙って物事を決め込むという方法は良くない!!これを機に和解する事が大切なんだ!もっとお互いをわかりあってだな」


「松島はそんな事のぞんでないわ」


力説に拳を振るった三笠に札を場に投げた厳島はしらけた表情で

「何を言い出すかと思えば...三笠って意外と無神経なのね」

「なんだと!!」


いつになくテンションの高い三笠に反比例するように冷たい顔の厳島


「松島は別に何かして欲しいなんて思ってないは...しいてあげるならそういう事からほっといて欲しいと思ってるのよ。そんな宴にあの子達(船魂)を呼んだら可哀想だわ、きっと楽しくないし」


お流れになりばらけた山の札をテイは集めながら三笠の表情をじっくりと見ていた

宴は楽しみ事といつも率先して開催しているハズの厳島の発言に三笠はムキになっているのは良くわかる距離

眉間に皺を集めた顔は怯むことなく乗り出すように近づくと


「松島がわだかまりを持っているならなおさらだ。これから来る戦いの為にも団結が必要になる!だから!宴で」


力説の拳に呆れた顔は尖った声だが

厳島の態度は変わることはなかった


「宴にはそんな力はないわよ。何勘違いしてるの?」


近すぎる三笠の顔を手で払い突き放すと立ち上がり


「松島に問題があると思うのなら、宴をする前に松島と顔付き合わせて寝ないで話し込んでみたらいいじゃない」

「それは」


それは三笠には難しい

前に話しを聞きに行ったとき問答無用、無言の悲しみにもにた圧力によって部屋を追い出されている

2人で顔をつきあわせて話しても良い結果は出ない

だから大勢の会する場所を作りたかった


「そういう大事なところ省いて宴なんかやったって無駄よ」


夕日を眺める厳島の顔は怒っていた


「私にはな...時間がないんだ!出来る事で問題を解決したいと思ってるんだ!だから1人じゃ出来ない協力してくれ!」


三笠には確かに時間がなかった

明日には新たに自分に乗艦する士官達がくるし

横須賀最後の日である3日後ぐらいしか親睦を深める時間を取るのは難しい

それだっていくらかの譲歩策であり

本来ならかなりきつい状態での宴なのだ。でもだからといって目の前にある問題に何の手も施さずにココを後にする事などできない


ある種の使命感で燃える瞳に

怒りに燃えた厳島の目が答えた


「松島はあの日の事で傷ついて...松島の気持ちを無視してそんな事できない」


頭一つ小さな彼女は自分の姉妹の事をしっかりと気遣っていた

三笠の顔を睨んだまま


「妹の気持ちの整理を司令艦として貴女がつけられるのなら宴はありだけど、何もしないで宴で解決しようなんてのはただの逃げ口上だわ」と背中を向けて腕組みしながら


「ただ三笠の壮行会はしてあげるわ」


指で指図するように言い捨てた


「妹.......」


厳島はいつもそうなのだが松島の事を自分の妹だと言い張る

起工は元より進水式に、帝国に一番乗りしたのも自分だからというのが理由なのだが、この子供の言い分のような態度を普通に振りかざす態度はいただけない

自分の提案がまるで無意味という扱いを受けた三笠にも

厳島が反対する理由とそれ以上に聞きたい事があった


「じゃなんで今まで解決しようとしなかった?きっかけはいくらでもあっただろうに自分たちだけで宴をして、松島が傷ついてるならどおして一緒に」

三笠は小さな彼女の肩を掴んで怒鳴りながら振り返らせた


「うるさい!!松島は....」


そこまでいった厳島は口をつぐんだ

顔を真っ赤にして次の言葉を吐こうとはしなかった

ただ睨むだけ...そこにはまだ三笠が入れない、知らない苦しみがあった


水面に煌めきの軌跡を残す太陽

2人の影を長くした夜はお互い無言のままに終わった






翌日、三笠は集合した帝国海軍艦魂達に向かい

自分が舞鶴に向かう事とそれに伴いみんなで宴会をしようと発令した

緊迫の日々が続いていた一同にとって宴と飲み会、羽目を外せる提案に喜びの声がこぼれる


三笠が舞鶴に出港するという事はいよいよ戦争への道が色を濃くしたという事になるのだが、一時の息抜きが司令艦によって会されるのは嬉しいものである


「この先に控える戦いに向かって帝国海軍は一丸となって向かって行かねばならない!!だから無礼講だ!「全ての艦魂」が同じ宴に参加するように!」


朝の宣言の時

艦魂達はただ宴がある事を喜んだが問題はすぐに起こった



「鎮遠達が参加するって聞いたんだけど?」


主砲前でのんびりと港を眺めていた三笠を尋ねたのは発布された命令書を握った吉野だった

どこか引っ込み思案で気の弱い所をもっている彼女だが帝国海軍では最速の足を持つ艦艇の魂で、頑張屋で知られる彼女はショートの金髪の下で青い瞳を曇らせたまま発布された参加者表を握りしめて立っていた

その

小さな彼女の後ろには秋津州と高千穂が困惑の顔を並べて付き添うようにいた


「何か問題でもあるのか」


三笠は、わかっていたが自分からそれに触れるような事は言わず対面に立つと

真夏の暑さ近づける熱気の風に軽く乗るように

「こういう事はみんなでやったほうが楽しいだろ」

何事もないという顔で聞いた


「松島司令に許可は取ったの?」


紙を握りしめたまま沈黙してしまった吉野にかわり高千穂が前にでると甲高くなった声で突くように


「私達が鎮遠達を嫌っている事...知らない訳じゃないでしょ」


顔を強張らせた高千穂に向かい三笠は毅然とした態度で


「いつまでそんな事にこだわっているつもりだ」

明らかに反抗の声に近い高千穂を押し戻すように迫力のブルーアイで睨むと


「いい加減そういう線引きは止めろ。明日を共に戦わねば成らぬ者に区別を付けるなど時間の無駄遣いと気がついてもらいたい」


「無駄遣い....」

厳島より少しばかり背の高い吉野は目の前に立つ三笠から顔を背けてつぶやいた


「私達の戦いが無駄って事...それ」

「話をすり替えるな。あの戦いはもう終わった事、次の戦いに備える為にも怨恨は流すべきと言っているんだ」

吉野に迫った三笠の肩を高千穂が突き放した


「あの戦いで比叡は定遠の撃たれて死にそうになった!それを無駄な出来事だったと!」

「話をすり替えるな!!」

「すり替えようとしてるのは三笠司令では?」


沈黙していた秋津州が吉野と高千穂をかばうように前に出た

身の丈は吉野より少し高め高千穂と同じぐらい、輝く青い目は怒りを十分に表して


「私達の戦いを無かった事にしろという言い方、私達の想いを十分に無視したままに宴なんて....」


根深く残っている傷

3人は思い出していた

自分たちが戦ったあの海の事を、巨大艦である定遠.鎮遠を目の前に見たときの事を


横一線に並んだ恐怖の波であった北洋水師

どれほどに撃とうとついに沈まなかった鎮遠...

逆に帝国海軍は浪速を除いて全ての艦艇がダメージを食らっていた

比叡をズタズタのボロぞうきんのようにし

赤城は艦長を即死で失うという大惨事の中を走り

真っ向勝負の大砲の艦砲戦で松島の弾は当たらず鎮遠の弾は松島の体をぶち壊した


涙で戦い

行くも帰るも苦痛の中で自分たちを叩いて戦った


東洋で初めて起こった鋼鉄の戦船達の戦い


「そういう事を言っているわけじゃない、もう忘れても良いだろ。いつまでもテイ達を恨んでも意味がない。今は帝国海軍の一員となった者なんだぞ」



「忘れられないよ!!!」



諭す三笠の言葉に怒鳴ったのは吉野だった

震える肩の下で


「私はあの子を殺した...助けてって言ったあの子を...」


目の中に焼き付いた思い出

体を煤けた棒きれのようにした経遠の最後の言葉

同じ目の色を持つ魂を炎の中に自分が沈めた事は吉野にとってトラウマとなっていた


「吉野...落ち着いて」


しゃくりと共に息が止まってしまうほど体を震えさせる姿に前に出ていた高千穂が戻って肩を支えた

吉野は自分が鎮遠の仲間を殺した事で、鎮遠がココに今いる事を死ぬほどに恐れていた

戦争終結によって港にやってきた鎮遠の姿を見たとき...

松島を殺そうという覚悟で来たあの巨大な彼女のギラギラに輝いた目を今も忘れる事なく恐れていた


彼女が厳島に付き従うようになり、すっかり柔らかな表情で帝国海軍の仕事に徒事するようになった今でもそれは心の奥にいつもあった


「そういう....わだかまりを流すためにも宴が必要なんだ!!吉野!!あれから8年もあったのにそこまでの思いがあるならなんでテイと話しをしなかった!!」

「三笠司令!!」


自分の胸をきつく抱き、涙の目が呆然としている吉野を抱える高千穂

それをかばうようにさらに前に出た秋津州


「簡単に割り切れるません!!私達は血を流した!!鎮遠も....私達は殺し合った!!」

「そんな事は」

「そんな事は?」


戦争であればやむなしな事と言おうとした三笠の声を遮ったのは松島だった

プラチナの髪を揺らしたした松島の後ろにはあの戦いを戦った者達が並んでいた

皆一応に顔に困惑と発布の命令書を持った姿


「そんな事はわかってるのよね」


遮った言葉の続きを松島は静かな声で続けた


「だから笑って許してやれと?」

「笑えとまでは言いません。ただ最後は笑えなければダメです」


薄暗い表情の松島

三笠は反発があれば彼女達が松島を立てて自分の所にくる事は予想していた

無理矢理にでも顔をつきあわせて話しをする必要があるのならこうするしか方法がない

いつも戸口を閉ざしてしまう松島やその事には触れようとしない者達を前に


「私は別に宴を断りにきた訳じゃないわ」


元北洋の艦魂に線引きを実施していたる張本人である松島の答えは意外だった


「司令艦の「命令」には従う。それだけ」


感情に触れさせない目線は冷ややかにそう言う


「そうであって欲しいものです。何時までも過去の出来事に自分たちの心を縛るような事はせず、共に戦う者となった「仲間」として...宴を楽しみましょう」


相対するように立つ三笠と松島

遅れてやって来た朝日と初瀬は心配な顔のまま三笠の後ろに、少し離れたところに浪速は無表情で


「松島司令も皆さんも、宴は三笠の壮行会も兼ねてますから変な気兼ねなどせずに楽しみましょう」

妹を守るように丁寧な返事をしたのはストレートの金髪も美しい朝日だったが最後まで声が続く事はなかった


「戦った事のないくせに!!戦争を知らないくせに!!気楽に....」


吉野は高千穂に支えられたまま

蹲ったままの状態で怒鳴った

それは前の戦いに血を流した艦艇の魂達全ての心だった


「三笠司令は....戦った事がないのになんでそんな事が簡単に言えるのよ....」


戦いを知らない、三笠は戦った事がない

真新しい艦艇としてイギリスから来た艦魂達は戦ったことがない。だから外から帝国に来た朝日達は前に帝国にいた者達が作った線引きを重んじ、それが全体のバランスを取っている事だと諦めてきた事に三笠は不用意に触れてしまった


「後から来て、私達が辛い思いした事を無駄だなんて言われたくない!!」

「鎮遠達は私達を殺そうとした奴らだ!!そんな奴らと一緒に酒なんか飲めない!!」


吉野の爆発に関を切ったように秋津州と高千穂が吠えた

只の怒りではなく

涙を伴った心の叫びにさしもの三笠も一歩足を引いてしまった


それを確認したように松島は手を挙げて泣き叫ぶ仲間を制した


「止めて争いは...私達はどこに行っても人の命令に従うのみ、同じように司令が宴を望んでいるのなら、それがどんな状況であっても従うだけよ」


退いた自分の足を見られた事に三笠はムキになった

まるで自分が従えと頭ごなしにして宴の開催を願っているとも言わんばかりの松島に


「親睦のための宴です!!命令とは」

「発布した命令書の件を受領しにきただけですのでこれで失礼します」


釘を刺し、さらりと背中を向ける松島の言葉に三笠は堪忍袋の尾が切れてしまった


今がまだあの戦争の直後と言うのならば、そういうわだかまりがあるというのも理解ができたが8年もたった今まで問題を解決せず、それが帝国海軍艦魂達の士気を大きく下げている事に対する怒り


「司令旗艦松島に問う!!なんでそんな線引きを8年も続けた!!その上で解決のために努力をしなかったのは何故か?」


息巻く三笠の怒声に松島の声は気味悪いほどに艶があった


「今度は私の責任?自分で発布した命令に異見を唱える者に答えを与えず。私には責任を取れと?」

背中越しだが松島の首が右に傾げ、自分に投げられた答えに対する怒りを口にした

「私は私の出来ることで今日までやってきた。私が司令として徒事した事の全てを貴方はしらない、多くの痛みも傷も背負ってしてきた事も。なのに貴女はまだ何も出来ていないし、知りもしないのに命令はする。それはどうして?」


「そんな事は」

「聞いていない?」


振り返った松島の目

それに会わせたように、かつてこの国を護るために人に従い海を戦った魂達の目

戦いを知らぬ司令艦に対する嫌悪の目


「私はたしかに戦った事はない。だけど覚悟は出来ている!だからこそ帝国海軍全員が一致団結できる集団でありたいと願っている!!それを実行したい」


「Je Ie comprenaisわかりました


三笠の激白に松島は手を打つと

軽めの拍手を続けて張り詰めていた場に緩い声を流した

緊張を馬鹿にしたような態度で


「素晴らしいですわ、司令艦は戦いに傷つく事もおそれず仲間を失う事も覚悟していらっしゃるという事ですね」

けして近づこうとしない松島は笑わない目のまま口だけに笑みを浮かべて

自分の後ろに並ぶ前の戦いの仲間達を代表するように


「私は弱くて泣いてしまいましたが、貴女は泣くことも律する強い司令艦。従うに値します。その姿に私達は従います」


自分を縛ろうとする諌言に三笠の頭は血が上っていて正常な判断をしていなかった

「当然だ!私はいつでも先頭に立って戦う!涙など決してみせん!!」


いきり立つ思いで拳を振るのみ

その言葉に松島はうやうやしく敬礼してみせた







「三笠は間違ってる」


大騒ぎがあったという報告を聞いた厳島はテイと花札をしながら、背中の側に座った浪速に酒を促すとつぶやいた


「分からず屋....」


事件のあらましを報告した浪速は

頭に手をかさね足を伸ばして座ったまま


「若いからね....松島のエグイ言葉の中身を理解もせずに真に受けちゃって」

一部始終をただ見つめ続けた浪速は杯を貰うと大きなため息をついて


「提案は悪くなかったんだけどな...私達的にはこのままほっといてもなんとかなったんじゃないかって思いがあったし..」


そう言いながらテイの方に顔を向けた


「いや..ダメだよな、間違ってた。テイ、オマエの髪切ったこと...今更だけど許してくれ」


そういうとテイに頭を下げた


「ホントはもっと早くにあやまりたかったんだけどさ...こういうの私達がやっとけば三笠ちゃんが1人であんな事を背負い込まなくてもよかったのになって...ホントに今更だけど思ってさ、ゴメン」


例の親睦の宴の発布で起こった事件...その様子を見ていた事で浪速の中では何かが終わり、区切りがついた気持ちになっていた


8年もの間....松島が特別軍紀扱いで厳格に作った訳でもない「雰囲気」を守って線引きの中にいた

それはいつか絶対に障害になるかもしれなかったし...その前に浪速達が廃艦か戦没でいなくなれば自然になくなるのではぐらいに考えていた事の甘さを痛感していた


波風が小さく響く甲板の上

照れ隠しか酒の杯を持ったまま相手の返事を待つ浪速にテイは


「浪速様、もう十分に謝って頂いてます。私達に少しでも良くしてくれようと近くに居てくださったこと、良く理解していますから」

「様はよしてくれ...呼び捨てで、仲良くしてくれ」


頭を掻く浪速に微笑みで返事するテイ

浪速があの日しばらくして影ながらも北洋の仲間達に気遣いを示してくれていたのはよくわかっていた


お互いが戦った事を理解しあっていた。


「できましたよ〜〜」


夕日が照らす厳島の甲板に黄色い声が響く

辛子ネギのきざみを運んでくる副竜達と八雲


「心配ですね....三笠司令も松島司令も」


離れた厳島にテイはつまみを並べながら聞いた

赤タンを手にした厳島は


「松島も、三笠も..バカ...アホ.....」


札を山につまらなそうに投げ続けていた

宴はきっと催される...ただとびきりにつまらない会として

そう思う厳島は何度目かの溜息をついた


「荊の足枷......だわね」





朝も速い時間

夏の近づく空は景気よく温度を上げる晴天の下

東京駅から横須賀に向かう列車に海軍将校と思われる男が2人


「大学は、なかなか休みをくれんからちょうどよかったい」


足速く一等車両のいすに座った坊主頭の上官の後ろを大荷物を担いだ中尉は従い

荷物を担ぎ棚に上げると木製でなじみのよさげな椅子に座る

息の上がる作業だが、そこは軍人たしなみのようにスマートなうごきが海軍らしさをよく表してる



「東郷中将はどんな方でしたか?」


黒く焼けた愛嬌の良い顔は

対面に座った上官に聞きたかった事を口に出し

先に挨拶の謁見をしていたであろう人物について質問した


中尉程度では顔を合わせる事など出来ない大人物を少しでも知っておきたいという好奇心が目を輝かせて


相手の坊主頭はゆっくりとした様子で

窓を開け

ポケットから取り出した炒り豆を口にし流れる沿線の景色を見ながら


「そうなぁ」

冴えない声で


「前にもあった事はあったが....」


口に物をいれたまま先日同席した男を思い出す....海軍中将東郷平八郎


「やっぱり変な人だった」


自分の前に座る若い中尉に肩をすぼめ豆を食べるかと手を伸ばした

「頂きます」

出された豆を何粒かつまみながら

よほど自分の上官のほうが他所から奇人の噂をされている事を思い出して少しの含み笑い


「変な方...でしたか」


「阿賀野君はどんなイメージもってた?」

「はあ、例のイギリス船を沈めた程の冷静にして知識者じゃないですか、堅いイメージもありましたが」


豆を口の中で止めた彼は


「あれな...なんか空気読めない人って感じもするけどねぇ」

大人の男にしては大きな眼をイタズラっぽく動かす


「じゃあやっぱり司令としてはあまり」

「いや、あのぐらいじゃないと勤まらないんだろう」


そういうと楽しそうに謁見の時の話しをした

そもそも彼は東郷平八郎と会う事を少し渋っていた事もあり、わざと遅刻して部屋に入ったのだが、そんな彼に向かい東郷は


「と〜〜〜うご〜〜〜おです」と間延びを存分に聞かせた挨拶を大きな声でした

初老に入った老人は自分の目を睨むでもなくどっしりと構えた姿で逃がすことなく見つめていた事を思い出して

それまで今いち信任ならぬ人物に付いて船にのる事になるのではと拒んでいた彼はこの一言で少なからず気持ちを入れ替えた


「ああいう場所でジョークの一つもとばせる男じゃなきゃ...楽しくない」

「そういうものですか?」

「そういうもんだ」


きっと楽しかったであろう謁見、上官は鼻歌まじりで陽気なまま

手元の手帳を開き横須賀に停泊する艦艇の名前に指を走らせた


「そんな事より、おまはんが乗る新しいイギリスの船はどがいな尻をしとるかのぉ、ワシも乗るかもしれんからの、一度はみとかんにゃ...くぅ楽しみじゃ!!」


列車が飛ばしてゆく景色を見ながら横須賀鎮守府を目指す中でまるで子供のように彼は浮かれていた


カセイウラバナダイアル〜〜続々建造〜〜


最近はずっと....木工で船作ってます

そもそもは厳島タンを作る事からはじまったのですが

現在「松島」さんの建造を開始しまして

さらに....200/1の瑞鳳をつくったりもしてます


なんでそんな事をしているのか

相方さんとか友達にも突っ込まれましたが

ヒボシは形のわからないものを理解する事が出来ない人です...多分


だから

空母がこういう装備でとか

戦艦にはこういう装備がと本に書かれていてもすくに鵜呑みにしませんwww

なんか絵や図でみるだけで知ったふりわするのがイヤなんです


とくに女であるヒボシは機械に弱いので

機械がいかにして機能しているかを知らないまま船が簡単に動いているなどと思い込みたくないのです


だから色々と人にも聞くし

聞けばまたそれを調べるし

形状理解や興味のあったものを作って見たりもする


空想科学などもそうですが

骨組みがしっかりしていないとただの「夢」になってしまうのが一番ダメに事だと考えてます

だから作って

手にしてみて理解するという方法をたまに使います

絵を描くときも何も見ないで書くと変な形になっちゃうから見本を見て勉強して描く


そういう理由から船を作るんですよ


だけどなかなか友達には理解してもらえません

明日からは「航空戦艦伊勢」の200/1を作る準備をしますw


けっこうやってみると色々な事がわかって楽しいのですが

「よくそんな事するよな。おれには無理」っていうファッションパンクwww(注.友達)

出来ないって言葉はやらないヤツの言い訳だぞ!!!

やった事あるやつが上限の規定に使うのとはわけが違う



こんな妙齢な女が木工で船がつくれるのだから

やればできるのさぁぁぁ〜〜〜ふふっふぅ〜〜〜



それではまたウラバナダイアルでお会いしましょ〜〜〜

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