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魔法云々
5歳児がボス級キャラに勝てる訳がない、と自分に言い訳。
シンはしばらく大人しく村内で過ごすことにした。
(ミミ、魔法のことなんだけど)
《魔法がどうかしましたか?》
(僕がいつも使っているのは、ガロールドでは問題ないの?)
《解。シン様の使っているものは、ガロールドでは魔法ではありません。奇跡に分類されます》
(ん?)
今さり気なくとんでもないことを言われた気が。
《ガロールドでは術者が魔素を用いて世界に事象を引き起こす術全般を魔術と言い、その体系は学問として未熟ではありますが成立しています。その体系をまとめて魔法としているのです》
(え、でも火や水を出したりしただけだよ?)
《伺いますがシン様、魔素を使用されましたか?》
(使った…よ?)
自信がないが。
《解。使用されておりません。シン様の場合、水を望めばいきなり水が、火球を望めばいきなり火球が望んだ形で出現します》
(…)
《ガロールドでは、術者が魔素を用いるのに自身の魔力で干渉する必要があります。この際魔力の制御が優れているほど少ない魔力で効率的に干渉できるのです。魔術師はこの魔力制御を向上させるのが最重要課題となります。しかしシン様はその段階にはありません。御身は既に神なのですから》
(…は?)
《御身は既に神なのですから。前に申し上げましたよ。私は神界ナビゲーションシステムのガイダンス機能、と》
(えらい爆弾をぶっ込まれた!)
※※※※
とりあえず、魔術を行使できるのか検討する。
《解。望めば可能です》
(どうやるの?)
《ご自身の魔力を感じるところから…》
(これだな。へその下、丹田辺りにあるとかテンプレだな)
《先ずは魔力制御がどれほどか…》
(全身に血流に合わせて流してみる…お、上手く行った。面白いなこれ!)
《…》
何だかミミの機嫌が良くない。
仕事で空気は読めても、プライベートでコミュ障だった元おっさん。
転生後人間関係の範囲が狭すぎ、コミュ障は改善されないままだ。
(ミミ?)
《私の助言は必要なさそうなので黙ります》
これあかんやつや!
魔法云々よりコミュ障克服が優先だ!
ただし、パンやラスの実を食用にという野望は必ず達成する。
筆の赴くまま