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壺から始まるテンプレート  作者: 古澤深尋
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書きたくて書いた。

後悔はしてない。

反省はちょっとした。


 魔境の奥、開けた場所。

 シンは懲りずにパンの実とラスの実を持ってきていた。

 大人達は、酒を飲んでいない。

 だが、村長のところに酒甕らしきものがあったのを見たことがある。

 だから酒はあるのだろう。

 だが、穀物が少ないのにどうやって作っているのか。


(単純に言えば、水と糖と酵母でできるな)


 最たるものが蜂蜜酒だ。

 採れたての蜂蜜は水で薄めてやるだけで発酵が始まる。

 だが、食道楽だった元おっさんに妥協はない。

 ラスの実が米の飯風なら、濁酒、延いては清酒もいけるのではなかろうか。

 ラスの実にカビが付いていれば、麴黴の代用もできるのではなかろうか。

 

《酒について検索…ガロールトでは酒類は高級品です。製法が確立しておらず、魔法で環境を清浄に保ってしまうため、発酵が為されません》


(マジでか。逆に酒の醸し方なんて教えたらヤバそうだな)


《ラスの実を用いた濁酒は現在まで作られませんていません。理由はシン様が体験したとおりです。ただし、濁酒を作る為の麴黴はシン様の推測通りラスの実に付着しています》


 ということは、ラスの実はやはり…


《木になる大きい籾、と言えますね》


「食べる為にも焼くとくさいのを何とかしないと」


 シンの試行錯誤が始まった。


※※※※


 数日後。

 解決策は案外簡単に見つかった。

 ① 水に漬けたまま忘れてた

 ② 殻がブヨブヨになったので空間操作で剥ぎ取る

 ③ それを火にくべると、臭くなく、普通に焼けた

 ④ 殻が焼けてパキパキと爆ぜたところで空間操作で取り出す

 ⑤ 殻を剥いて中身を食べると炊きたてのご飯だった


 調子に乗ってパンの実も仕込み、同様にすると焼きたてのパンだった。

 食生活、大いに改善の予感。


※※※※


 意気揚々とトス村に帰還したシン。

 元おっさん、浮かれていたのだろう。

 偽装するのを忘れていた。

 それはもう、すっかり。

 で、現状。

 仁王立ちの母親。

 土間に正座したシン。

 ちなみに父親は空気。

 嫌な予感は家の扉を開ける直前にあった。

 途轍もなくヤバい何かが自分の身に迫っている。

 でも逃げ場はない。

 扉に手をかけ、開けようとしたとき、脳内に何故か拍子木の音が響く。

 

「ただいまー」


 土間で腕組みをしてこちらを見た母親が目に入った瞬間、シンの脳内で『ギ○スにしょ○ゆ』が大音量で流れ出した。しかもサラウンド。


(これは、怒られるな…)


 その覚悟の通り、晩御飯抜きで深夜まで肉体言語を含めて怒られたシンは、しばらく魔境に出かけるのをやめた。






 

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