奇跡のルーティン
この世にはジンクスと言われるものや験担ぎ!これをやったら上手くいくような気がする行動などがあるが今の時代で言うとルーティン!
ある有名なアスリートは毎食カレーを食べたり競技に入るときの立ち位置や仕草が決まっていたり調子が良かろうが悪かろうが決まったルーティンを貫いている!
そのコツコツの連続がとてつもない奇跡を生み出す!
そして日常的に起きている奇跡に気づきだす!
拓也のランキング戦とビーチの全国大会から一ヶ月後に男の格闘塾からデビュー戦を向かえる三人がいた!
ナナと虎之助!そして虎之助の中学生になる姉も虎之助に影響され試合に出たいと言って練習に励んでいた!
虎之助の姉の名前はアユ!
格闘技の世界も女性の進出が目立ってきている昨今!時代の流れは男の格闘塾にもやって来ていた!
今まで試合に出ていた選手の動機は格闘技を始めた記念にとか卒業までに一回出てみたいとかいうノリで試合に出ることはあってもチャンピオンになりたいという目標を持ってやっている選手はいなかった!
練習も師範代に任せたり練習量も週に一回から二回あるかないかくらいで試合に出ていた!
試合の終盤にはスタミナが切れて判定負けかドローが多かった!
今回は男も練習に付き合った!
週に三回みっちり練習とトレーニングを積み重ねた!
ある程度の自信を持って試合当日を向かえた!
計量も難なく終わりルールミーティング後にリングチェックをやってください!とアナウンスが入った!
3人はリングに上がると回りの動きを見るだけでボーッと突っ立っていた!
ナナだけは拓也の妹ということもあって他所のジムの人に声を掛けられて慣れない雰囲気の中でなんとか動いていたが虎之助とアユはただ立っているだけだった!
男は苦笑しながら声をかけた!
「虎之助!アユ!まずはワンツーから動いてん!」
回りの選手はリングを幅広く使っている中でその場から動かず小さくワンツーから動き出した!
「ワンツーからキックね!」
言われた通りをたどたどしい動きでリングチェックは終わった!
やはりデビュー戦!
この普段あり得ない環境で動けるのはやはり場馴れした選手たち!
経験に勝るものなし!
しかし、相手もデビュー戦か実力が同じくらいの選手だと自分の心を落ち着かせた!
試合後に三人に試合の話を聞くと試合前は緊張もなく怖くもなく試合中は何も聞こえず何をやったかも覚えていなかった!試合は、あっという間の出来事だったと言っていた!
最初の試合は虎之助!
相手は今回が2戦目らしいという情報が入っていた!
デビュー戦を経験しているのとデビュー戦の差は明確に出た!
手数で勝る相手に虎之助も果敢に攻めた!
1ラウンド90秒の2ラウンドはあっという間に終了のゴングがなった!
3-0
フルマークの判定負け!
次はアユ!
アユの相手はかなりの経験者という情報が入っていた!
相手の試合前の練習を見てもアユとの差は明確であった!
頼みの綱は相手のスタミナ切れからの後半勝負!
今までのスタミナ切れで判定負けかドローを何度も見てきた!
今回はスタミナ強化を図ってきた!
試合はやはり相手の一方的な攻撃にアユは良く耐えていた!
2ラウンド目後半で攻め困れるアユにタオルを入れるか躊躇したが最後まで諦めずにアユも少ない技を出し続け2ラウンドを凌いだ!
判定は3-0負け!
最後はナナ!
拓也というビックネームの妹!
当然相手は強者!
デビュー戦も判定勝ちで期待のホープ!
相手のビデオを見ても楽に勝てる相手ではないことはわかっていた!
特にナナのスタイルはスピードスター!
相手とガンガン打ち合うスタイルではなかった!
相手はガンガン前に出てくるタイプ!
その攻撃を凌いでやはり後半勝負!
1ラウンド目!意外と打ち合うナナの動きにやっぱり試合にならないと予想が出来ないなぁ!と思いつつ2ラウンドもそのままで行けと指示を出した!
シナリオでは2ラウンド目後半スタミナが切れてきた相手にナナの膝蹴りが炸裂するはずだった!
だが相手もデビュー戦の反省点を改良してきていた!
後半スタミナは切れてきたものの膝蹴りへの対応が上手くなっていた!
やはり経験に勝るものなし!
ナナも最後まで諦めずに良く攻めた!
判定3-0負け!
男の自信を持って乗り込んだデビュー戦は3人ともフルマークの判定負けであった!
男はずーっとやって来た格闘技!その得意分野で選手を育てればすんなり行けるかも!という淡い思いがあったことに気づいた!
今まで見てきたチームや選手たちはやはり底辺からしっかり土台を創り結果を出してきた!
専門競技でもそれは変わらないのだと痛感した!
ちょっと落ちた心で回りを見渡すと試合に出た子供たちに眉間にシワを寄せて怖い顔で指導している指導者や親や大人たちの光景が目に入ってきた!
泣きながら指導を聞いている子供たちもいた!
男はナナとアユと虎之助を呼んだ!
そして3人に試合の感想を聞いた後に男の格闘塾の教えを言った!
「今日は3人とも良く顔晴れてた!課題のスタミナは切れることなく最後までしっかり動いていた!
他のジムは出来なかったことや失敗したことを延々と説教しているけど俺の塾の教えは、
痛いとき!ツラいとき!キツいとき!笑え!
反省3秒!速改良!
だから反省する暇があったら改良して改良して強くなるんよ!
勝っても負けても笑って帰る!
だからいつものルーティンやな!
大丈夫って10回言って大丈夫な笑顔で〰ニッって笑顔になって帰ろう!」
うつ向いていた3人は少し笑顔になって一緒に大丈夫を10回言ってから男の合図で「大丈夫な笑顔で〰ニッ!」
まだまだ三人の下手くそな笑顔は男の落ちた心を和ませてくれた!
勝負は勝たないといけない!
笑顔や楽しいだけでは勝てない!
しかめっ面してキツい顔して罵声を浴びながらでも強くなれる!
チャンピオンにもなれるだろう!
過酷な練習を過酷な顔をしてチャンピオンになっても当たり前!
どんな過酷な練習でも笑ってやる!
笑ってチャンピオンになる!
誰もが挑戦していないことに挑戦する!
試合会場の殺伐とした雰囲気でルーティンをやったことで気分は次第にハイになっていた!
男にはこのルーティンをやると、ある感情が湧いてくるようになっていた!
これだけ心が落ちたときに笑ったらもう何か良いことが起きるような気がする!
どんな良いことが起きるかワクワクしてくる!
試合前のワクワク感から試合後は落ちて、またワクワク感に浸っている!
ホントに人の心はコロコロと移り変わる!
その日はワクワク感から落ち込み感!そしてまたワクワク感を味わいながら一日が終わった!
次の日の朝、携帯のSNSにメッセージが入っていた!
数年前の卒業生からであった!
その生徒は格闘技の部活に所属していた!
その生徒からのメッセージは
「おはようございます!
日本一取ってきました!
最高の人生でした!
前向きに続けてきて本当に良かったです!
ありがとうございました♪
感謝してまーーす!」
数年ぶりの知らせが大学の全国大会で日本一になったことであった!
高校の頃は男の前向きな考え方を貫いて他の生徒から受け入れてもらえないまま、それでも最後までたった一人で闘って高校時代を終わっていた!
それが大学に行って良き仲間にも恵まれて結果が出せたことを知らせてくれた!
男はとてつもない感動と感激を感じていた!
まさに奇跡しか言いようがない驚きであった!
きっと昨日、へこんだ心で3人を怒鳴り付けてもこの知らせは来ている!
そんなへこんだ心と怒鳴り付けた憎悪の波動でこの知らせを聞いてもこんなに感動はしなかっただろう!
あの時、笑ってて良かった!
変に思われても負けて笑顔で帰って良かった!
朝から嬉し泣きをもらい、その生徒に感謝の言葉を送った!
「マジで!
あなたは最強〰で最幸〰です!
またいつかトレーニングやろうね!
俺も自分のジムから格闘技のチャンピオンを出す目標に向かって動き出したのでお互いこれからも顔晴ろう!
日本一おめでとう!
朗報に大感謝で〰す!」
返信して流れた涙を拭くと窓から朝日の光が入ってきた!
その光を見つめながらこれからもたくさんの奇跡を起こすことにワクワクする男であった!
つづく!




