初戦
少年は考えた。
「クラウン」を倒すには少数精鋭で挑むしかないと。
大人数で挑んだところで弱いキャラクターは瞬殺される。
このゲーム、「死なないこと」を大前提とするべきだ。
少数精鋭と聞いて思い浮かぶのは、残り100レベルの6人の事。
誰一人と「強過ぎる」ためギルドには所属していない。
「作る…べきか?」
そう、今あるギルドで「クラウン」を淘汰できるものはない。
最強の7人で挑む他ないのだ。
「とりあえず…作るか。」
少年はギルド管理人NPCの元へ向かう。
手続きを進めていくと「ギルド名」を入力するスペースに行きあたった。
「どうしよう…?適当でいいかな。」
少年は深く考えず「KING」と入力する。
自分でもかっこ悪いとは思うが、これしか浮かばなかったのだから仕方が無い。
「つか…残りどこにいんだよ…。」
頭を抱える少年。
その時、無機質な音声が響き渡った。
「これより第一回予選、『KING』VS『花城』を始めさせて頂きます。プレイヤーは戦闘配置についてください。」
あまりに突然のことに少年の頭は反応できない。
考える暇もなく、少年はバトルフィールド「闘技場」へとワープしていた。
相手は中堅ギルド「花城」総員20名となる。
少年はゆっくりと顔をあげ、漆黒のコートを翻す。
「マジかよ…。」
少年の悲痛な叫びと共に、ゴングは鳴らされた。