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体調不良の私が望んでいたもの

作者: 不常
掲載日:2026/10/27

最近、久しぶりに風邪をひきました。

ほんとに辛いですね。

みなさんもどうかご自愛ください。

生理と風邪とのダブルパンチで満身創痍の私は、コタツで丸くなりながら彼が来るのを待っていた。体調が悪い時というのは健康な時には想像できないほど動く気力がなくなるものだ。なにか食べないとダメだなと思いつつ、朝から何も口にしていなかった。お腹がすいた。身体が熱い。寂しい。


朝から何度も連絡してるのに、一向に返信が来ない。既読もつかない。まぁ、わかっていたけど。


十八時頃に“すぐ帰るね”と連絡が来た。辛さも忘れてにやけてしまう。すぐ、すぐっていつだろう。もう来るかな、もうちょっとかな。彼のことを待っている間、少しだけ辛さを忘れられる気がする。


「まってるね」


それだけ送って、私は目を閉じた。


結局、景が私のお見舞いに来てくれたのは十九時を回った頃だった。


「おかえり、景さん」


「ただいま。体調は大丈夫?色々買ってきたよ」


そう言い、彼は大きなビニール袋から栄養ドリンクやゼリー、果物など色とりどりの見舞いの品を取り出しテーブルに広げた。その時のドヤ顔はまるでマジックを見せたあとのそれだった。


「リンゴむこうか?それともあんまり食欲ない?お粥とか作ろっか?」


「抱きしめて」


「……」


「抱きしめて!!ずっとひとりだった!寂しかった!頭痛いし咳出るし喉痛いし頭痛いし寂しいしお腹すいたし……」


身体がさらに熱い。心配そうに私をのぞき込む彼の顔が、少し滲んで見えた。


……ぎゅっ。温かい。彼の匂いに包まれる。堰を切ったように涙が溢れてきた。寂しかった。私を見てほしかった。やっと帰ってきてくれた。


「……おそいよ、ばか」


「ごめん、またせた」


✄-------------------‐✄


仕事終わり、電車の中でスマホを開くと彼女からのメッセージの通知が溜まっていた。


08:20「しごとやすんだ」


08:22「おなかいたい」「のどいたい」


09:31「お腹すいた」「のどいたい」


12:11「いまどこ」「しごとおわったらきて」「こえききたい」


14:52「あたまいたい」「なんじにおわるの」


16:33「さむい」「ねぇ」「こっちみて」


遅かった。仕事に集中するため、職場にいる間はスマホを見ないようにしているのだが、今回ばかりは後悔している。普段は淡々と必要事項を連絡してくる彼女がこの連絡……相当気が滅入っているのだろう。


18:10「すぐ帰るね」「気づかなくてごめんね」


返事を送り、彼女の最寄り駅で降りた。体調不良と知っていながら手ぶらで行くのも気が引けたので道中のスーパーでお見舞いの品を買うことにした。


風邪といえばやはりお粥だろうか。葱と鶏肉と卵をカゴに入れる。調味料とお米は家にあるものを使わせてもらおう。好きなものなら食べられるだろうか、元気になるだろうか。彼女の好物をカゴに入れる。喉が痛いと言っていたことを思い出し、少量で栄養が取れるものもカゴに入れる。果物やスイーツもカゴに入れる。薬、薬も必要だな。あとは熱さまシート、スポーツ飲料……。


大きな袋を抱えて彼女の部屋に向かう。部屋に着いたのはすっかり暗くなってからだった。


「ただいま。体調は大丈夫?色々買ってきたよ」

ここまで読んでいただいてありがとうございます。


よければコメントやアドバイス、誤字の指摘など、評価や反応をいただけると泣いて喜びます。

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