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新学期

俺は元々恋なんてしない、興味もなかった。だから周りが好きな人の話で盛り上がれるのも不思議で仕方なかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

春、新学期だ。

桜舞う今日、軽いかばんを提げて学校へと向かう。

先生によると、どうやら今日は転校生が来るらしい。

「18番 高杉 健」

先生が俺を呼ぶ。

「はい」

「・・・えー最後、35番 山田 さとし」

「はい」

出席確認が終わる。

しばらくして、

背の低い童顔な女の子が入ってきた。

そのくせに、凛としていて、さっぱりした表情だった。

「初めまして、前川 恋華です。」

「恋華、こいにはなと書いてれんかと読みます。よろしくお願いします。」

さっと自己紹介を終わらすと、彼女は先生の方を向いて指示を待った。

どうやら、俺の隣の席に座ることになったらしい。

というか、どう見てもここに座ってくれと言わんばかりに、一つだけ空席があったのだ。

彼女は分かっていたと言わんばかりに、そそくさと席へと着く。

新学期に転校生、偶然にも空いている隣の席。なんというか、最近読んだラノベもこんな展開だったなと思う。まあ、俺は二次元しか興味ないし、これ以上の展開なんてないのだろうけど。そう俺は断定したのだ。

隣の席に座っている彼女は背が低くて童顔なくせに、仕草の一つ一つがおしとやかで凛とした表情を崩さない。顔はお世辞にも整っているとは思えない。なぜそのスタイルと顔立ちで、気品あふれて堂々としていられるのか。俺だったら肩を狭めて席で縮こまるだろう。

席についた彼女は言う。

「初めまして。よろしくね。」

淡白な挨拶だった。

「ああ。よろしく。」

2ヶ月が経った。

予想どおり俺と彼女には何もない。唯一の会話は、朝席に着くときの挨拶だった。

今のところ、彼女が自分より後に席に着くのは見たことがない。だから、俺からしか挨拶したことがない。そうそう、一度いつからいるのか気になっていつもより1時間早く学校に来たことがある。そのときもすでに席に着いていた。俺は怖くなって近くの公園に逃げて、30分くらい時間を潰してしまった。

そういえば、彼女が他の人と話しているのを見たことがない。

なかなかにミステリアスな女だ。

そんな事を考えている今日この頃、転機が訪れる。

「皆、知っての通り来週の金曜は遠足だからな。山葵山に登るから、当日までに二人一組を作っとけよ。作ってない奴は知らないからなー」ホームルームで先生が言う。

俺には友達がいない。作らないとかではない。作り方が分からないのだ。思えば中学時代なんて、友達と遊んだことはなく学校が終わればすぐに家に帰ってアニメを観ていた。

そんな生活の末、友達がいない今に至る。

小学校はまだ友達がいた気がするんだけどなあ。そもそも二人一組でペアを作るとか、俺みたいな奴に配慮をしろと…

などと考えていると、隣から声が聞こえる。というか呼ばれている。

「あの。私と組まない?来週の遠足。どうせまだペアはいないのでしょう?」

いきなり言われたので2度も聞き返してしまった。2度も聞き返したのに全く同じトーンで話す彼女には少し恐怖を感じた。

「その言い方からすると、まるで俺には友達がいないかのように聞こえるんだが。」

少しムッとして返した。

「ええ、だってあなたがまともに誰かと会話をしているところを見たことがないもの。」

腹が立つのに事実だから反論できない。

くそっ。

「へええー!俺のことをよく見ていらっしゃいますね!まあー!俺もペアを探していたし―!別に組んでやってもいいけどおー?」

なんという醜態だろうか、自分で思う。

「そう。じゃあよろしく。」


なんだかんだで少し関係は進展したと思う。腹立つ奴だが事実を述べているだけだから完全に嫌いにはなれない。この遠足を機に、あわよくば友達に…いや、なんであんな奴と…

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