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第8話 初めてのお出かけ。

何時ものように、サミュエルちゃんの髪を三つ編みに編み、麦わら帽子をかぶせて、荷馬車に乗り込む。うちに来てから、二人でお出かけするのは初めてだ。


まず、ニドの店によって、先月分の支払いをして、必要なものを頼む。トマトソースの瓶詰は多めに頼んだ。ベーコンと玉ねぎ。ジャガイモ。サミュエルちゃんのきれいな字で書かれたメモを見ながら注文していく。

当のサミュエルちゃんは、お店に並んだ野菜を眺めている。


「おい、坊主。ここの生活には慣れたか?都会の人間には退屈だろう?」

ニドが木箱に注文した荷物を詰めながら、サミュエルちゃんに聞いている。


「……」


毎週会ってるでしょう?ニドよ?見た目ほど怖くないわよ?


「うーん、嫌われっちまったかな?」

ニドが苦笑いをする。これ、おまけな、と言いながら、キャンディの袋を木箱に乗っけてくれる。


「でも、お前が誰かと住んでるって、安心したよ。あんな山の中でも一人暮らしじゃあな。」

「山ってほど山でもないわよ。森の管理小屋もすぐだし。」

「親父さんはどうなんだ?」

「ええ、暖かい気候があっていたみたいで、元気になったみたいだけど、こっちに戻るのは難しいかな。」

「そうか。おまえも大変だな。冗談抜きで、早く婿を見つけろよ?な?みんな心配してる。」

「ああ。そうねえ…どうも縁がないのよネ。こんな貧乏子爵家に持参金もって婿に来るような人いないわよ?」

「まあ、うーん。田舎だしな、何にもないし…でもさ、そう言うところがいいって男だっているかもだろう?」

「…いたら、もう結婚してるわよ。」

「うん、まあ、そうか?」


ニドとは毎回似たような会話をする。心配してくれているのはわかっているが、こればっかりは、な?この私の幼馴染はもう2人の子持ちだ。次男坊だったから、割と早いうちにこの店に奉公に入って、今は店を任されている。


じゃあまたね、と店を出る。荷物は馬車に積んでおいてくれるそうだ。


「さて、次は雑貨屋さんによってもいい?」

サミュエルちゃんがこくん、と頷くのを確認して歩きだす。


すれ違う女の子たちが、きゃあきゃあ騒いでいる。お友達同士で囁き合ったり…?

なんだろう?と振り返って見て理解する。私の後を3歩ほど遅れて歩いてくるサミュエルちゃん…。その人に違いない。


すらりと伸びた脚。綺麗な銀髪。いくら麦わら帽子で顔を隠していても、気品があふれ出る歩き方…。これか。私もあと10歳ぐらい若かったら、あっち側の女の子だったな。



*****


大きな雑貨屋で当主が、赤ん坊用の小物をみている。

「涎掛けか…お出かけ用のお包み。女の子だから…やっぱりピンクがいいかな?」


当主がお店の人とあれこれ話している間、ぶらぶらと店内を歩いてみる。さっきの店もそうだが…うちでは商人が商品を持って家に来ていた。でも、なるほどこうしてお店に来た方がいろいろと見れて楽しいかもしれない。おばあさまは知っていたかしら?


女性用の装飾品も売っている。


アンナさんは知っているけど、アンナさんの孫は知らない人だ。なんか不思議だ。









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