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第4話 面接。

「…サミュエルちゃんは、ここに来ることはもちろんお家の方は知っているのよネ?」


荷馬車に乗り込んで、荷物と一緒に後ろの荷台に座るサミュエルちゃんに聞いてみる。

「…え、と…心配してくれる家族が いないものですから。」

「……」


あ、私ったら、なんてデリカシーのない質問をしてしまったのかしら?帰らないでね。


「…そうなの。」


「ええ、今までは 祖母と 暮らしていたんですけど、半年前に 亡くなってしまいまして。」

「ああ…そうなのね。あ、なんて言ったらいいか…。ごめんなさいね。」

「いえ…それで、ようやく 落ち着いた頃に、新聞で ここの求人広告を 見つけたものですから。」


サミュエルちゃんは透けるような白い肌をしていたので、つい老婆心から自分の被っていた麦わら帽子をかぶせた。ビクッ、としたが、あきらめたのかされるがままになっていた。目は会わせてもらえなかった。


…何て言うか…人間を初めて見た野良猫を拾った気分だ。



*****


セリーヌ、と名乗った女性が、急に自分で被っていた帽子を取って、僕にかぶせた。

リボンも結んでくれた。おばあさまみたいだ。いい人かもしれない。でも、知らない人に急に触られるのは少し怖いな。


子爵家、と名乗るぐらいだから、当然、馬車で迎えに来るのかと思っていたら、荷馬車だった。おばあさまの家に食糧だの雑貨だのを届けてくれていたサムさんの荷馬車より少し大きいけど、この荷馬車は屋根がなくて空が見える。だからもちろん、荷馬車は見たことがあるけど、乗るのは初めてだ。というか…人も乗れるんだ。


進むにつれてどんどんと民家が無くなっていく。道も先ほどから随分細くなってきた。見渡す限り畑?青々とした草のようなものが一面に生えている。牛とかを飼う、あの牧草、というものだろうか?



おばあさま。


おばあさまと約束したので、外にも出たよ。

乗合馬車なんて初めて乗った。

知らない人とも話せたし、こんなに遠くまで一人で来ることもできたんだ。


…でも、正直、少し疲れた。






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