表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/26

第3話 第一印象。

「あの…間違っていたらごめんなさい、ひょっとして、サミュエルさん?」


アレット子爵家からの迎えの馬車を待っていたら、道の向こうからチラチラこちらを伺っていた麦わら帽子をかぶった怪しげなお姉さんが、道を渡ってきた。何をするつもりなのか…ドキドキする。目が合わないように下を向いていたら、いきなり話しかけられた。


「え、あ…はい。」


「あら!会えてよかったわ!長旅だったんでしょう!疲れたわよネ?うちの領はここから馬車であと30分はかかるんだけど、着いたら少し休もうか?」


「え?あ…はい。」


「あら、私ったら…私はアレット子爵家の当主、セリーヌよ。よろしくね。」


…当主?僕が見た貴族名鑑には、当主はダニエル・アレット、と記載されていたけど…代替わりがあったのかな?元々、おばあさまの持っていたものだから、もう何十年も前のものかもしれない。


よっこいしょ、と、僕が座っていた旅行カバンを持って、

「向こう側に荷馬車を停めておいたから、」

彼女はそう言うと道を渡って戻り始めた。あわてて後に続く。



*****


乗合馬車が停車場に着いて…降りたのは一人。

大きな革張りの旅行カバンと、シャツにスラックスに軽そうなスプリングコート。

少し離れて見ていても、キラキラと輝く長い銀髪。


サミュエルちゃん?


いや、どうかな?

そう思って、もう一度見てみる。あんまりじろじろ見るのもどうかとは思ったが。


女の子…だよね?


若かりし頃、王都の侯爵邸で働いているときも、背の高いメイドさんがいた。


…だよね?旅行用にスラックスを履く女の子もいるし、私だって普段はスラックスだし。今日は第一印象が大事だと思って一張羅のスカートを履いてきたけど。


道路の向こう側で、旅行カバンに座り込んだその子はずっとうつむいている。


えい!聞いてみよう!

そう思ってベンチから立ち上がると、その子に向かって歩き出した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ