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第24話 初めてのご実家挨拶。

「大丈夫?サミュエル?」

「…うん。セリーヌがいるから。それに…僕たち ちゃんと 愛 も確かめ合ったし。」


…サミュエル…昼間から、何言ってるの?


乗合馬車を乗り継いで、王都にあるオーバン伯爵邸に向かっている。

貴族が結婚する場合、どうしてもその家の当主の許可と、王城への申請は必要になる。



オーバン家には何度かサミュエルの近況を報告する手紙を出していたが、ようやく、意を決して結婚することを報告した。つきましては…当主のサインを頂きたい、と。


年上の女に騙されている、と思っている家族は果たして許してくれるのか?と心配したが、返事はすぐ来た。いつでもお越しください、という、ありがたい返事だ。


雪が降りだすと身動きが付かなくなるし…思い切って、9月の初めに出かけることにした。もちろん、到着の予定は手紙で出した。オーバン邸に行って、王城に届けを出し、そこから2日ほどの私の父母のいる南部まで足を延ばす。大旅行だわ。


伯爵家にお邪魔するようなドレスらしいドレスも持っていなかったけど、アメリーの勤めている仕立て屋で、上品なワンピースを作った。

「エリクがあきらめろって言うから、あきらめてあげるわよ!」

と、エリクと一緒に届けに来てくれたアメリーが言った。二人からのプレゼントだと、ワンピースに合わせたコサージュが箱に一緒に入っていた。

ごめんね。でもうれしい。


イヤリングはサミュエルに貰ったオレンジのお花。


最寄りの停車場まで、馬車が迎えに来ていた。

サミュエルが倒れるといけないので、サインを頂いたらすぐにでも帰るつもりで向かったが…意外なほど…手厚い歓迎だった。


サミュエルの部屋の隣の客間に通された。晩餐に誘われたので、ドレスがないのでとお断りしたら、ドレスが用意してあった。サミュエルのスーツも用意してあった。


…いつの間に?なぜ?


物凄い緊張感の中、晩餐。

サミュエルじゃなくても吐きそう。会話らしい会話もない。もう何を食べているのかもわからない。


サミュエルは、先ほどから何の表情もない。


家族は…父親、母親、3人の兄は…長兄は跡取り、次男は軍人、この前来た三男は子爵家に婿に行っているが、今日はそこにいる。上の兄たちは父親似ね。サミュエルは母親に似たのね…。


「長旅で疲れたので」と、デザートを待たずにサミュエルと部屋に戻る。

もう…ぐったりよ。

サミュエルはさっきから、しがみつくように私の胸に埋まっている。抱っこしたまま、頭をなでる。


「大丈夫?サミュエル?」

「うん…セリーヌがいるから。」


二人でぐったりしながら、ベッドでゴロゴロしていると、部屋のドアがノックされた。


「セリーヌ嬢、お疲れのところ、少しだけいいか?」





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