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第21話 初めての青春?

次の日も次の日も、まったりと2人で本を読んでいると、荷馬車が来た。

出て行ってみると、ニドさんだった。


「小僧、大変だったらしいな?大丈夫か?」

「…はい。御心配を おかけしました。」

「そうか、そうか。これは俺からの見舞いだ、いいか?夜、一人で読むんだぞ?すごくいい話だ。」


そう言って、にやりと笑って紙袋に入った本を一冊くれた。


「あら、ニド。助かるわ。ちょうど何にもなくなっていてね。」


当主が出てきてニドさんと話している間、勝手口から台所に物を運び込む。


「いやあ、サミュエルが大変だったんだって?村はその話で大盛り上がりだったよ。もう大丈夫みたいだな?」

「そうね。しばらくお休みを貰ったから、もう少しのんびりするわ。お茶でもどう?」

「ん~あんまり長居をすると、あいつの機嫌が悪くなるから、またにするわ。」

「あら、そう?」


そう言って、ニドさんは荷物を下ろし終わると、僕に、にまっと笑いながら帰っていった。


明日は森に散策に行く予定なので、いつもより少し早めにベッドにはいる。

もう、いつもの生活に戻っている。当主が昼間のほとんどの時間、僕と居てくれる以外は。


布団に潜り込んでから、ニドさんに貰った本を開く。

【禁断の果実・特選5話 貴族編】

…恋愛小説?かしら?


恋愛小説ならおばあさまの本棚にもあったので、読んだことがある。何十年も前のものだろうけど…政略結婚で引き裂かれた恋人同士の終わっていく悲しい恋とか、舞踏会で知り合った紳士との恋のかけひきの物語とか?そういうこともあるんだなあ、と思った気がする。


ぱらり、と読み進んでいく。


一番初めの話は…お嬢様とその家の執事の恋物語。なんだけど…お嬢様が他所に嫁ぐ前の夜に執事と愛を確かめ合って…


え?<思考停止中>


愛を確かめ合うって…そういう行為なんですか?

というか…結婚式前日に、そのようなことをして、大丈夫なんですか??



二番目の話は…没落した家のお嬢さんが山賊にさらわれて、その長に一日中…


え???<思考停止中>


その後、愛に目覚め、子供ができて、幸せに暮らしていたが、実はその山賊の長が隣国の王子だった?ん~難しい設定ですね…。


ここまで読んで、正直、ぐったりしてしまった。


ニドさん!僕には…刺激が強すぎます!!みなさん、こういう本を読んで男女の機微を学んでいらっしゃるんでしょうか?随分丁寧に手順が書かれているところを見ると…これは指南書ですか?


子供を作る行為というのは、なかなか過酷そうですね。


…ふっと、当主のことが思い浮かび、あわてて聖書の一節を口ずさむ。


あ、でも…産めよ増やせよ地に満ちよ…って…


そのまま布団をかぶって寝てしまおうと思ったのだが、続きが気になって、つい最後まで読んでしまった。



翌日…僕は熱を出して寝込んだ。










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