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第14話 初めての恋敵。

「当主!ちゃんとサミュエルを大事にしないと、取られっちまうぞ?いいのか?」


いや?何の話?


12月になった月曜の朝、早くにやってきたエリクが私に仁王立ちでそう言った。何のこと?


サミュエルちゃんは裏の小屋に薪を取りに行っている。


「…あのな?日曜の勉強会に、若い女のコが来てるんだ。」


知ってる。子供だけじゃなくて、勉強したい大人の人も来ているんだって、聞いた。

サミュエルちゃんは最近はいろいろ話してくれるようになったから。それが?


「昨日な、お勉強が進んだ人は、お手紙を書いてみましょうね、ってサミュエルが。」


うん。いいんじゃない?生活に密着していた方が字も覚えやすいでしょう?


「そしたらそいつ…サミュエルに恋文を書きやがった!」

あら!まあ!わかるわ!サミュエルちゃんは美人さんだもんね!

私だってあと10歳若ければ…あはは。


「くそう!何考えてんだアメリーの奴!!」

…ああ。エリクの好きな女の子が、ね。そりゃあ大事件だ。


あの子は13歳だっけ?エリクと一緒のはず。

…13歳と18歳か…なくもないわね?


「おい!ちゃんと自分の男の首に縄付けてつないどけ!」

おいおい…何の本を読んだのよ?しかも、ペットじゃないんだから、首に縄なんかつけないわよ?ましてや、私の…男じゃないわよ?


勝手口から、サミュエルちゃんが薪を持って入ってきた。頭が雪だらけだ。

「ああ、エリク、いらっしゃい。どうしましたか?」


お、エリク、ライバルが親友ってなかなかつらそうなシチュエーションね。青春ねぇ。しかも相手はものすごくいい男。エリクもこれから育っていい男になるよ。


「な、なんでもねえよ。今日はばあちゃん、雪がひどいから休むって伝えに来たんだよ。」

「そうでしたか。お茶を出すので、エリクも 当主も 座って下さい。」

サミュエルちゃんは薪を下ろすと、台所に入っていった。


サミュエルちゃんは薪の束を2つも持てるようになったのよ!来たばっかりのころは折れちゃうんじゃないかと思うくらい細い腕だったのに。立派になったなあ。

ニコニコして見ていたら、エリクににやりと笑われた。


嫌な予感しかない。



*****


「サミュエル、お前、当主のことどう思っているんだ?」


次の日曜、皆が来る前にエリクが来た。一緒に暖炉の用意をしていたら、いきなり質問された。


「はい?なんですか、エリク?」


「だからさ、当主のこと好きか、って聞いてんだよ?もう長いこと一緒に住んでるんだから、何かあっただろうって、うちの母ちゃんが言ってたぜ?」

「なにか?って、例えば 何でしょうか?」

「え、あ、例えばな…キス、とか?」

「ああ。お休みのキス、ですか?当主は お酒をお飲みになると してくれますよ?」


「……」


エリクの求めていた答えではなかったですかね?


「当主ってさ、短いけどこげ茶の髪綺麗だし、年の割には結構かわいい顔してるし、いいやつだし、実は胸もデカいし…その昔は幼馴染のニドも狙ってたらしいしな?」

「……」

「親父さんが倒れてバタバタしてたから、行き遅れっちまったけど、そうか…サミュエルには女に見えないのか?残念だな。お前らはお似合いだってうちのばあちゃんも言ってたのになあ。」


ええ?え、っと…










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