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フジコシノリュウ -異世界一〇八人群像叙述詩-  作者: ノムラハヤ
1.藤野謙吾|友情、成長、死化粧 〜異世界六十夜冒険譚〜
22/54

ep.22|幕間|皇都学術院大学のとある授業風景3 ★キャラ画公開

「ハロハロー! 今日もめっちゃこんにちゃ☆ リリルラ先生の時間外特別授業始めるよおー! 今日も授業を受けるのは……テラスちゃん一人だけだねよろしくねー(笑)!」 

 いつものように元気に授業を始めるリリルラ。


「……はーい」

 爪をいじりながら低いテンションで返事をするテラス。


「はいはーい! 今日はねえ、先生、テラスちゃんにどうしても聞きたいことがあるんだ……こればっかりは……聞いておかなきゃいけないんだ……」

 改まってテラスを見つめるリリルラ。


「な、なんですか怖いな……」

 怪訝な顔のテラス。


「テラスちゃんは……ぶっちゃけ『イヌ派』?『ネコ派』?」

 神妙な面持ちのリリルラ。


「っんだよ! 溜めてそれかよ! ──でもいい質問かも! お父さんとお母さんが、保護犬ちゃん、保護猫ちゃんをもらってきてね、今お家にはどっちもいて全員超かわいーんだ! だから……どっちも!!」

 嬉しそうに答えるテラス。


「素晴らしい……素晴らしい答えだよテラスちゃん。人のうえに立つ者は時として残酷な決断を下さなければならない時もある……ただ、当然、無用な争い、避けられる衝突は避けた方がいいんだ。それが大人の対応なんだよな……」

 遠い目をするリリルラ。


「……」

 事態が飲み込めないテラス。



 ──ガラっ

 教室のドアが開き、一人の大柄な()()()()()()が入ってくる


「いよおおテラスちゃん! ご機嫌いかがかな!? シバサン先生が呼ばれてないのにジャジャジャジャーンだぜえ!!!」

 大声で挨拶するシバサン。


挿絵(By みてみん)



「……」

 呆れ顔のテラス。


「今日は特別授業だからシバサン先生にもきてもらったんだぜえ☆ シバサン先生は知っての通り、熊の亜人なんだぜえ。シバサン先生いっちゃってえ♪」

 片手でピストルの形を作り頭に当て、ノットリスニングの形を作るリリルラ。


「YO!YO!リリルラありがとさん♪

 俺はシバサン、かなりおじさん

 嗅覚鋭く、犬の如く

 視覚は人並み、目はまん丸

 高音敏感、低音は鈍感

 厚い脂肪でダメージ無効

 この世の王者、クマの亡者

 Yeah!」 

 ラップで自己紹介をかますシバサン。


「……」

 空いた口が閉じられないテラス。


「今からいきなり生物の授業だぜえ! ちゃんと生物分類学的階級上での定義で理解するんだぜえ。まずはテラスちゃんを界・門・綱・目・科・属・種の基本7分類で整理してみYO! 『動物[界]、脊索動物[門]、哺乳[綱]、サル[目]、ヒト[科]、ヒト[属]、ヒト(sapiens)[種]』だな?! これは常識だなサルでもわかる!」

 まくし立てるシバサン。


「……」

 わからなくて眉間に皺を寄せるテラス。


「そして最新の五行研究的に行くと、魔人と魔物は魔族[界]として、最上位階級から俺たちとは異なる存在だって定義されつつあるぜえ! 魔獣、動物、亜人、人は動物[界]、魔人、魔物は魔族[界]だ!ここは絶対に試験に出るから注意しろよお」

 黒板を大きく使うシバサン。


「……」

 真剣にノートに書き写すテラス。


「さ・ら・に! 最新の研究だと[界]と[門]の間に新しい階級[月]を定義するべきだって話になってるわけYO! テラスちゃんも知っての通り……一部の鬼族なんかの亜人や、キラーラビットが生まれちまうミニレッキスなんかのウサギ亜科は、神秘の月の影響をめちゃめちゃ受けやすい。魔素溜まりなんかに足を踏み入れると魔獣化したり、それに近い身体的影響が発症しちまう。そんな生物は[界]の下に階級を用意してドメインを分けて、ミラー組織のように独立させるべきだって考え方だな! だYO!」

 熱弁しすぎで設定を忘れそうになるシバサン。


「……」

 ついていけなくなって窓の外を眺めるテラス。


「この研究は大事なんだぜえええ。今までは適当な血統種が魔獣化しやすいかも、くらいの認識だったわけだがこれが生物学的に整理されることで、悪い魔素が溜まった()()()()周辺の生態維持活動、要はどの種が動物から魔物化するかの危険性が明確になるわけだから、間引き作業の正確性がより増すってことなわけYO! このアプローチにより皇国全体の治安向上、運搬能力の改善まで見込めるってわけだからやっぱりこの考えを確立させつつあるセイメイのやつはやばいくらい優秀だNE!」

 黒板いっぱいを字や図で埋め尽くすシバサン。


「──とはいえ、、()()()()の本当の脅威は魔人の存在でしょう。多少魔獣や魔物の脅威が減ったところでその問題の根本を解決するには至っていない。如何に魔人を殲滅するか、魔人化するために()()()()を目指し漂流する魔物を特定し、駆除するか。ここに対してクリティカルな課題解決になっていないのであれば、生物分類学的階級の整理なんて空理空論、紙上談平、象牙の塔、学者の浅はかな遊び、ね……」

 突然真面目な顔で話に入ってくるリリルラ。


「──リリルラせんせー。セイメイさんが褒められたからっていきなり難癖つけるのは良くないと思いまーす」

 鋭いツッコミを入れるテラス。



「き……っ今日はここまで!!!!」

 突然授業を打ち切るリリルラ。


「……」

 置いていかれるシバサン。



 皇国最高学府の放課後はまだまだ長い──



Character File. 18

挿絵(By みてみん)


シバサン先生大好きです


ここまで読んでいただいてありがとうございます。ブックマークと☆のワンクリックが本当に励みになります! 楽しんで読んでいただけるように頑張りますのでどうぞよろしくお願いいたしますmm


※Xでキャラと遊んでいます。ぜひこちらもお立ち寄りください

@fujikoshinoryuu

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