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追放アイドルは最強闘士をおとしたい  作者: 須藤 晴人


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華麗なるデビュー戦 #2

 試合開始の合図とほぼ同時にピンクのコスチュームの魔法少女が莉愛の方を遠巻きにして、足を半歩前に出し、小首を傾げ体全体をやや斜めに傾けた決めポーズを取った。そして、


「ニセモノはきえちゃえっ! クー・ド・クール!」


 と、決めポーズと台詞と声こそ可愛く、笑顔のようでいて恨みの籠った形相で、杖の先を莉愛に向ける。


「わっ、何か飛んできた! 魔法⁉」


 おおきなピンク色のハート型の光が飛び出し、莉愛の眼前に迫る。莉愛は驚きの声を上げつつもとっさに身体をひねる。大きなハートの端が右腕をかすめて飛んでいった。自分の体力を示す緑色のゲージがほんの少し減るのが彼女の目の端に映る。


「いきなり何――」


「とっとと死んでっ! コルポ・ディ・フルミネ!」


 文句を言うそばから背後に気配を感じて、とっさに横に飛んだ莉愛の耳にそんな声が飛び込んできた。直前まで莉愛が立っていた場所を、バチバチとした電撃が襲った。彼女が電撃の飛んできた方に振り返ろうと身をひねった瞬間、その目に緑色の魔法少女がニヤリと嗤い、杖を構えているのが映った。


(あの子、ハートの魔法を撃った子とも、今の電撃の魔法の子とも別⁉ みんなで連携してあたしを潰しに来てる、ってことは新人いびり的なヤツ? そんなのに負けるもんか!)


 莉愛は剣を持つ手に力を込め、自分をまさに攻撃せんとする三人目、緑の魔法少女を真っ直ぐに睨みつける。不意を打とうとしていた相手は気付かれたことに驚いたのか、一瞬動きが止まった。だが気を取り直し、もう一度杖を莉愛に向ける。


「気安く近づいて来ないでよね! ヒュージ・クラッシュ!」


 杖が振られると同時に真っ直ぐ飛んできた、大きなキラキラお星さまを莉愛は落ち着いて躱す。そしてそのまま緑の魔法少女に向けて走りこむ。


「おおっと、試合開始直後からアキリアに集中砲火だ! だがアキリア、何とかダメージは押さえているぞ! ここから反撃なるか⁉」


 実況の楽しそうな声が響いた。


(そういえばアン社長が、大抵の人は遠距離攻撃だって言ってたっけ。多分あの子たちの魔法もそれでしょ。なら仲間に近づいちゃえば、他の人も撃てないはず!)


 走る勢いに乗せ、思い切り剣を振り下ろす。魔法をぶつけ合う戦い方に慣れ切っていた緑の魔法少女は、迷わず飛びかかってくる莉愛の動きに対応出来なかった。


「きゃあっ!」


 莉愛が振り下ろした剣が、彼女を肩口からバッサリと裂いた。といっても血が出るわけでも、身体の断面が見えるわけでもなく、あくまでヴァーチャルだ。ゲームらしい、斬られたような演出だった。

 二割程度削られた相手のゲージを見ながら、莉愛はもう一撃、と振り下ろした剣を逆に斬り上げる。魔法少女が慌てて杖で防ごうとするが、莉愛の剣の方が早かった。相手のゲージが黄色に変わる。

 さらに莉愛が剣を振り上げた瞬間、岩の弾丸がこちらに飛んでくるのが見えた。莉愛はさっと自分の身を守るように剣を構え、大きく横に飛ぶ。


「いいタイミングで、はとりんの攻撃がヒット! 試合は分からなくなってきたぞ!」


 実況の声と共に、逃げ遅れた緑から悲鳴が上がる。彼女のゲージが大きく減り、赤に変わった。莉愛は何とか直撃は避けたものの、完全ではなかった。ゲージは黄色に変わっていた。


「仲間じゃなかったの⁉」


 岩の飛んできた先にいた、薄水色のパフスリーブのふんわりしたワンピースに白いエプロンを重ね、白いナースキャップを被った魔法少女に莉愛は憤る。


「そんな奴らと一緒にしないで!」


 そう莉愛に答えつつも、はとりんと呼ばれたナース風魔法少女は緑に向けて追撃の魔法を放った。緑の魔法少女は相殺しようと魔法を放つが相殺しきれず、はとりんの岩の弾丸に飲み込まれてしまった。


「そんな……目立たないザコだと思ってたのに……横から……邪魔されるなんて……」


 あくまで弱ったものに止めを刺したいというはとりんの願いは達せられた。恨めしそうな視線を残して、緑の魔法少女は力尽きた。

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