〜第一話〜
目が覚めると、一面の自然だった。
そして、柔らかくひんやりとしたベッドの上だった。
(...?)
私は都内で働く事務職OL。
緑なんて舗装された街路樹や駅前の花屋くらいでしか見ない。
今日だってコンクリートに囲まれた街で、猛暑の中会社に向かう最中だったはずで。
「暑い、中...」
頭がズキンと痛む。
私はどうしてここに?そもそもここはどこ?
わからないことだらけで混乱している。
とりあえず周囲を確認しよう、とやたら低反発なベッドに手をつき、上半身を起き上がらせると...
ポスッ
「!?」
右の方から、何か落としたような音がした。
反射的にそちらに目を向ける。
すると、そこに居たのは...
「は、はわわ...!お目覚めになりましたっ...!」
くりくりの目を見開いて、口をぽかんと開けた、
...小さな女の子だった。
「ごめんなさい、ちょっと混乱していて...」
「いえいえっ!ここにくる方は、みんな最初はびっくりしますからっ」
ぽてぽてと道案内をしてくれる女の子は、名前を「イリマ」というらしい。
私のお腹くらいまでの背丈。
ふんわりとおろしたクリーム色の三つ編み。
そして...帽子からはみ出している、細長い耳。
(ファンタジーの物語にでてきそう...)
というのが、率直な感想だった。
というよりも、この世界そのものがファンタジーそのものだった。
「わたくし、イリマともうします!ここに...エルフの里にこられた方の、ご案内役をしていますっ」
ベッドから起き上がった私に駆け寄り、
小さな女の子...イリマはぺこっと頭を下げた。
手には小さなバスケットを持っている。さっき落としていたやつだ。
「えっと... その、私は奏美っていいます。」
よく分からないけど、名乗られたらこっちも名乗るのが礼儀(?)だろう。
するとイリマはぱっと目を輝かせた。
「かなみさま!わぁ、本当の人間さまだ... えへへ、まだ未熟者ですが、頑張ってご案内しますねっ」
破顔一笑。ふにゃりと可愛らしく笑った。
(続き執筆中)