表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

8.変換器

〜前回のあらすじ〜

エネルギーを練り上げる練習をしていたら、宇宙人登場。

 なんでも、この宇宙人はプレアデスという惑星から来たらしく、プレアデスでは更なる星の進化に向けて、自星ではない別の星のエネルギーを取り入れる必要がある。


 だが、別の星のエネルギーならなんでもいいわけではなく、ある程度質が良く保たれていて、かつ地球にゆかりのあるエネルギーである必要があるらしい。


 プレアデスは地球と兄弟のような関係であり、お互いが共鳴しやすい故のこと、ということだそうだ。


 地球のエネルギーはまだまだ重たい側面が大きく、軽く質の良いエネルギーを扱える人は、人口あたりで見ると少ない。


 そのため、一度ここの異世界に転生しても良さそうな人を受け入れ、この世界自体を良い状態にしつつ、体内でエネルギー変換できる体質を持った人が来るまで待っていたそうだ。


 それがどうやら僕らしい。あの時に神様が詳細を話せないと籠らせたのは、このことだったのだろうか。


「あなたは特ちゅ……特殊体質なのですよ、」

 自然と笑いが溢れる、長閑で悪くない。たぶん言語を話すことが普段ないんだろう、テレパシーに慣れてるから話しづらい、なんかそんな雰囲気だ。


「質の良いエネルギーを発することはできても、変換できる人はそうはいません。我々の星で活用するためには、変換する必要がどうしてもあるんです、さらに」

 話が続く。


「万能なんですよ、あなたが変換したあとのエネルギーは」

 万能? どういうことだ。


「通常、変換作業は目的に合わせ対象を設定し、行います。ところが、あなたの体内で変換したエネルギーは、自動的に別の対象と交わる際に最適な状態へと変化するんです。そんな芸当ができる個体は私の知る限り前例がありません」


 宇宙人は神と連絡を取り、僕の存在を聞きつけこちらにきたようだ。僕の体質は神から教えられたのだろう。


 そんな特殊な体質だなんて知らなかった。


「さらに、この短期間でエネルギーの扱いがここまで上達するケースも、多くはありません。想定より早くお会いすることになり、驚きましたよ」


 自分にそこそこ能力があることはわかった。ただ僕は休みたかった(笑)


 ちなみに龍はメギドというらしい。僕には名乗っていなかったが、この宇宙人とは名前で呼び合っていた。宇宙人はプレちゃんという。


 なんせ忙しい。ゲームのイベントみたいに次から次へ展開していくんだから。せっかくの異世界、もっと休みたいんだが。


 とっとと相手の要求に応えて、のんびり異世界生活をしたいものだ。エネルギーコントロールを鍛えたら、ゲームを物質化できるかもしれないし。


 だがそう上手くはいかなった。


「実は定期的に楓さんからエネルギーを貰いに来ることになっています。日を追うごとにどんどんと良くなっていますし、何度も貰わないと我々の星に大きな影響を与える量が稼げないんですよ」と言われてしまった。


 思わず下を向いて口先をとんがらせてしまう。引っかかることがある。万能に変換できる、といっていたことだ。


 プレちゃん以外の宇宙人も来たりしないだろうなぁ。上手く変換することが難しいから、僕を頼ってきたわけで、宇宙なんて広いわけで。


 てことは、他の宇宙人が会いにくることは確率的に高い。うーん、もう巣篭もりでもしたい。冬眠したい冬眠。ちなみに楓とは僕の名前です、はい。


 なんかこの世界にきて、メンタルさらに弱くなった気がする。いやあれか、自由な環境を目にしたから嫌なことへのアレルギー反応が露骨になっただけか。


「それではお願いします」


 プレちゃんにエネルギーを供給する。掌に球状で集め、凝縮と錬磨、さらに変換作業。


 プレちゃんの体を見て、合いそうなエネルギーをイメージし生成すると、これでOKらしい。エネルギーの色はそのままだが、質が変わったことは僕にもわかる。


 穏やかなのに熱気が増し、とても軽い。プレちゃんはプレアデスとこの異世界を繋ぐゲートを作り、僕が生成した球体をゲートの中へ放り込む。


 するとプレアデスまで届き、ゲートの向こうで受け取る係がいて、向こうの星で使う手筈だ。まず一個だけ生成し様子を見る。


「いやぁ、やはりすごいですね。こうも簡単に作ってしまうとは」


 うん、けっこう疲れるけどね! と心の中で思っているが、表情と言動には注意しておきたい。


 悪い人じゃなさそうだし、無用な波風は立てたくない。


 どうせやらないといけないんだろうし、ここは大人しくしておこう。


「せっかくですし、私からもプレゼントを」というと、プレちゃんは僕の頭頂部より少し上に自分の手をかざす。


 すると頭頂部が熱くなる。湯沸かし機能でもういたのかと思うほど熱い。


 やがて顔や首、手足を熱感が通り抜け、掌と足の裏から蒸気のようなものが放出されていく。


 一分ほど続けると作業を終えて、ゆっくりと熱感は落ち着いてきた。


 そして、体が軽い。体内のエネルギー循環もとても良くなっているはずだ、不純物の溜まりが消えたような感覚。


 前は不純物なんて気づかなかったのに、今は溜まってたんだなとわかってしまう。


「私のエネルギーを付与しました。付与前よりエネルギー放出が行いやすいはずですよ」

宇宙人って親しみやすくて身近な存在も中にはいたりします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ