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5.空を飛ぶ

〜前回のあらすじ〜

平凡な日常が当たり前でいいと思うんですよ。

 困った。前世ならゲームやアニメ鑑賞など娯楽に溢れていたが、この世界ではその手の娯楽がない。


 人々と会話したり、自然を眺めたり散歩したりと、ゆったり穏やかな暮らしの中で平和な空気を噛み締めることが定番のようだ。


 うーん。


 僕は娯楽っぽい娯楽を楽しみたい。好きな音楽を聴いたりしたい。だがここではできない。そうこう悩むこと10分が経つ。


「どれ、我が力を借そう」

 テレパシー発生、間違いない、喉の龍だ。


「少し待ってオレ」

 やっと起きたのかよ、と思いつつもいわれた通り待ってみるか、とぼんやり遠くを眺めようとしたら、少し経つこともなく体の変化を感じる。


 熱い、熱いのだ。一気に体温が上がる感じ。熱で換算するなら39度くらい出てるんじゃないか。やや不安になる。


「これ大丈夫なのか」

「安心しろ、もう少しだ」


 背中、それも肩甲骨周辺に違和感が出る。なんか飛び出てきそうだ。と思っていたらニョキッと何かが飛び出した、貫通したのかな、やばくね。


「おいおい! なんか出たんじゃないの?!」

「大丈夫だ、そのまま飛んでみろ」


 言われた通りジャンプする。せいぜい10cmくらいのジャンプのはずが、数メートルは飛んだ。建物を軽く飛び越えたからだ。


 びっくりして表情が固まり、冷や汗が出る。降りてくる時はニョキッと生えたものがゆらゆら動いているようで、ゆっくり下降していく。


 お察しの通り翼だ、翼で間違いないだろう。あり得ないもん、それ以外に。この高さから落ちたら人間即死だよ? 良かったぁ、生えてて。


 今になって気づいたが、翼が生えても痛くないし違和感も消えていた。驚いたことで感覚が麻痺したのか、時間と共に違和感がなくなるのかはわからん。


「どうだ、気持ち良いだろう? 見晴らしも良いし自由を感じないか?」


 いや、それどころじゃなかったよ、驚いて景色を見渡す余裕なんてなかったわい。なのでもう一回飛ぼう。……。


 うん、本当に飛んでるわ、高い高い。風を切り倒しながら昇る感覚、気持ち良くゆったりと上から下を見ることができて清々しい。視野が広がったような気分なんだろうな。


 人間、できなかったことができるようになると、それだけで気持ちが軽くなるもんだ。意識の面での自由度の拡大、なんだろうな。


「お主も満足しておるようで何よりだ」

 ありがとうよ。良い体験だった。


「空を飛んでみるか?」

 ぜひお願いしたい。1つ夢が叶う。


「では体の力を抜けぃ」

 体を龍に預けるように、脱力する。その時、喉付近に感じていた龍の存在は、全身へと派生した。体を乗っ取られたような気もするが、一心同体みたいでこれはこれで面白い。


 空を駆け巡る。雲を突き抜け、建物が米粒ほどになる程高いところへびゅんびゅんと行く。時速何kmかなんてわからないけど、まさか人の体でこんな体験ができるなんて。


 気持ち良い。気づいたら尻尾も生えてたんだな。収まるのだろうか、この尻尾も翼も。


 ぐるぐると空を巡り満足したため、地上に降りてきた。すると人が集まってくる、たぶん飛んでる姿を見られてたんだろうな。


「お兄さん、喉の生き物と合体したの?」

 女の子はワクワクした目で訪ねてくる。見た目も龍っぽくなってしまった、隠すことに意味もないだろう。


「そうだよ、喉には龍がいてね、一緒になったの」

 子どもとの会話は心が和む。打算なくキラキラした目で生きる姿は、天使のようだ。僕よりよっぽど羽が似合うな。


「すごーい! 触っていーい?」「鱗みたいだね!」

 足や腕を触られる。たしかに、皮膚がややゴツゴツしていることが見てわかるし、そのまま鱗のようだ。


「あっ、元に戻るのかな?」

 だんだん皮膚が元に戻る。翼や尻尾は知らぬ間に無くなっていた。


 ある程度自在に、龍になって飛べるようになったら、移動も楽だし楽しそうだ。今度また試してみよう。


 あっという間にお昼時、昼食だ。なんかとてもお腹が空いた。


「お主は龍化したからな。体力を多く使ったのだろう、我も消耗しているぞ」

 なんかさりげなく話しかけてくるが、まぁいい。フレンドリーな方が関わりやすい。


「そしたらさ、僕の体力や精神状態と龍さんの体力や精神はシンクロしているの?」


「いや、必ずしもそうとは限らない。体力はある程度比例するが、精神は乖離しているようだ。もちろんお互いの考えていることは、ある程度読むことは可能だがな」


 察するに、今のところ僕と喉の龍は一心同体なのだろう、僕の体力や精神状態がある程度、龍にも影響しているようだ。


 そして、僕の心を見透かしたような関わり方にも納得だ、多少は心を読むことができるらしい。


「お主はまだこの世界に来て日が浅い、おまけに前世でも積極的には霊力を使わなかったのであろう、慣れが必要だな」


 霊力の延長線上で、読むことができるみたいだ。


「試しに、我をイメージしながら感覚でいい、我の心を読むイメージをしてみろ」

 よし、やってみよう。……。


「ハンバーグって言葉ばかり出てくるんだけど……気のせい?」

「いや、正解だ」


 お腹空いてたんだな、沢山食べるからな。

後々、宇宙人など出てきます。

しばしお待ちください。

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