森の中2
遅々としてすすまぬ…
「とはいったものの」
今いるここは森の中であって当然のように俺達の暮らしていた世界のように歩けば飲食店やスーパーがあるわけじゃない。
飯を作るのだって学校の家庭科の授業くらいでできるなんて言えないレベルだ。
何が言いたいかというと何が食べれるものなのか全くわからないのだ!
どうしようかと悶々としていたとき、ティアリアのはしゃぐ声が聞こえてきた。
「あ。これ食べれる!」
「は?」
その言葉に驚いて彼女を見れば手に果実を取っていた。明らかに今まで見たことがない色と形をしている。
「???」
なんでわかるの?という表情を浮かべていたのだろう。彼女が不思議そうな顔をしたあと合点がいったと言うような表情を浮かべて口を開いた。
「なんとなく周りを見て探してたらこの果物が目に入って…そしたら食べれるか食べれないかが判ったの。」
「どういうこと?そんな特技があったのか?」
「ううん、今まではなかったからこの世界に来てからだと思う。あれかな、リタクが言ってた」
「あぁ、なんだっけ、チカラ…か?」
「そうかも。あの子できる限りのチカラを注ぐって言ってたもん」
なるほどなぁ…と思いながら次に浮かんだのはじゃあ俺には何があるんだ?と、言う疑問だった。
「ハヤトには何があるんだろうね?」
「そうだな…少なくともティアリアのような所謂鑑定?みたいなものじゃ無いみたいだ」
「……」
少しうつむき顎に手を当てて暫く考え込んでいた彼女はそうだ!と顔を輝かせながら俺を見た。
「私が起きたときハヤト危ないものは居ないって言ってたけど、それって歩き回ってみてきたの?」
その言葉に俺は思い返す。
「いや、んなことしてないな…だけど周りを見ただけでなんでか問題ないって思ったんだ。いつもだったら周りをきちんと見るくらいはするのに。」
「だったらそれがチカラの可能性があるのかな?」
「かもな。それは追々確認してみようぜ」
まずはご飯!と減りすぎた腹から鳴る音に急かされて、ティアリアに声をかけた。
「それでは!火はつける方法を私は知らないので!とりあえず食べれると判った木の実たちを紹介します!」
並べられたのは3種程のきのみ
「まずはこちら!リンゴみたいな形だけど色が青!中身は赤色!大きさはパチンコ玉くらい!」
「次はこちら!明らかに見た目が石!でも触ると柔らか!中身は白いブヨブヨと水!大きさは拳くらい!」
「最後にこちら!ラズベリーみたいな形だけどとにかくでかい!私の頭くらいでかい!色は緑!ちょっと固め…中身も緑!」
ゴロゴロと転がるその見はちょっと食べるのに抵抗のあるカラーリングとディティールを見せつけてきた。
「…マ?」
「マ、です!これが食べられるやつ!」
うそだといってくれ…そう思うも他ならぬ彼女がそういうのだ食べられるに違いない。
「っていうか気になったから食べてみたんだけどね。私に全然おかしいとこないでしょ…?」
「…なんで中身を知ってるのかと思ったらそういうことかよ!」
…もしなんかあったらどうするつもりだったんだ!
少しばかりの怒りを感じつつ、まだマシだと思ってに手に取った緑色のラズベリーをマジマジと見つめるとえいやっ!とひと思いに齧りつく。
すると口に広がったのは慣れ親しんだ味だった。
「めっちゃバナナじゃん…」
「そうなの!ちなみにリンゴみたいなのはブルーベリーの味で、石みたいなのはココナッツの味!」
「見た目と味、違いすぎだろ…」
でも美味しいからいっか!と他のきのみにも手を伸ばす。
「この分だと私達の世界にあった味も形は違くても存在してそうだよね」
「砂糖とか、バターとか?」
「そうそう!あとはカカオ!」
「チョコレートかぁ…でも加工出来んのか?」
「もち!」
ニコニコしながらウインクとVサインをして俺を見るティアリアに流石と声が出る。
「料理部なだけあるな」
「えへへ…やっぱり部活してるといろんな食べ物の作り方とか気になるし、作ってみたくなるよね☆」
「まぁ。それはわからんでもない。俺もプラスチックとかどう作ってんだろ?って気になって調べたし。まぁ、実験まではできなかったけど」
「流石科学部!実験と料理は通ずるものがあるよねー」
もぐもぐと食べながら他愛のない話をして、腹を満たす。目下の問題だった空腹が解消されると次の問題が浮かび上がる。
「休む場所が欲しいよなぁ…」
「うん。次はそこだよね…」
「このままここにいても埒が明かないしなぁ…」
「とりあえず歩いて探す?」
「しかないか」
ティアリアの提案に頷いた俺達は早速座り込んでいた地面から立ち上がり、心の赴くままにあるき出した。
書きたい話はあるのにアウトプットが難しい…サクサクできる方がいたらうらやまし…