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夢見る乙女は、暴走したい 1



修正。


微調整。


健全なお付き合いをどうにか継続させようとするのに、どんだけ欲求不満なんだと叫びたくなるほどにイベントが起きる。


なんていうか、ちょっとしたエッチなイベント。


水飲み場で、彼女だけ噴き出した水でびちゃびちゃになる。

着替え

偶然ドアを開けちゃう俺

「先生だったら見られてもいい」発動


で、分岐点が出てくるから、そこの選択肢を間違わないように必死になる俺。


何度となく『強制フラグを立てました』の声がしては、調整をする俺。


台詞で誘導しては、ちょっとだけ違う展開に持っていく。


そんなのの繰り返し。


ご褒美のように、時々は作者の神田が欲しがったままの展開にするのも忘れない。


学校祭のシメの花火を、偶然一緒に見るイベントだ。


偶然さをわざとらしくなく装うのがポイントだ。


校内のいろんな箇所のカギを施錠する俺と、忘れ物を取りに来た彼女という流れ。


彼女は他のやつらからだって、花火を一緒にってお誘いがあったはずなんだ。


けど、それを回避させなきゃ俺の方には来られない。


部室に置きっぱなしの彼女のジャケット。


そのポケットから、こっそり抜き取ったスマホ。


教室の隅っこに寄せたままの机の上に、見つけてほしそうに置いておく。


それだけでいい。


あとは、彼女の動向だけ把握していたら、仕事をしているタイミングで偶然彼女が階段を上がってくる。


ちゃらちゃらと鳴る鍵束。


階段を駆け上がってくる彼女の足音。


ぺたりぺたりとゆっくりと歩を進める、俺の足音。


廊下の角と階段の上がり口。


重なったところで、彼女が階段を落ちない程度に近づいて、よろけた彼女を抱き寄せる。


本当に、いかにも偶然でしたっぽく…ね。


で、空き教室に連れ込んで、すこしずつ小出しに欲求を満たしてやる。


最後までは死んでも手出ししないし、その展開に持っていかせない。


体を重ねなくても満たされる展開になればいいんだろう?


多分。


「こっち、おいで」


花火が見られる特等席だよと囁くと、それだけで「特別感! キター」とか単純な反応が聞こえる。


「他のやつらには絶対にいうなよ?」


とどめつき。


「は、はいっ」


薄暗い教室の中でも見えそうだ。


彼女はきっと、顔も耳もなにもかも真っ赤になっているに違いない。


窓際で「うわぁ」とか「きれい」とか言いながら花火を見ている彼女を、背中から抱きしめる。


バックハグってやつだ。


「花火、きれいだな」


なんて、吐息と一緒に囁く。


わざと耳に息をあてると、肩先がぴくんと揺れる。


出し物の都合で、髪をあげていた彼女。


襟足が無防備に晒されている。


ハア…とほんの少し熱めの息をあててから、ちゅ…とリップ音を立ててキスを落とす。


「先…せっっ」


恥ずかし気に反応した声をあげていても、体が逃げることをしない。


そして、もしも逃げようとしても逃がさない。


「……可愛い、花音」


二人だけの呼び名で囁きながら、耳の裏をぺろりと舌先でなぞる。


「は……っ、ん」


一瞬で変わる色は、艶めいていて。


(でも、ダメ。許さない)


「こっちを見て、花音」


誘導し、花火なんか視界から追い出して。


「口、開けて。……そう、ん…………舌、もっと使って」


キスだけで、どろっどろに溶かしてしまう。


欲求不満になるのはわかる。


散々煽られて、最後まで手出しされないんだから。


そっちについては、自力でどうにかするようなはしたない女の子になってくれていた方がいいんだけどね。


思い出して、体を持て余し。


「キス、好き……」


吐息の合間に、もらす本音に。


「思い出してね、このキスを。他の男になんか、出来ないからね」


釘を刺す。


キスが好きで、体を持て余してしまっても、俺じゃない誰かとどこかでスッキリさせられちゃ、本末転倒なんだから。


「や…だ、もん。先生だけ…な、の」


とろんとした視線は、女の目で。


「かーわいい。っていうか、二人きりの時は何て呼ぶの?」


「か、ず…ささ……ん」


舌ったらずな感じで、甘く呼ばれた名前に。


(くっそ。俺の方が結構ガマンが限界を迎えてしまいそうな)


何度となく、最後まで果たしたくなる欲に支配されかかる。


「今日は、ここにも…ね」


制服の前をはだけさせて、所有欲の証をつける。


俺のシャツを握って、次を求めようとする瞬間に。


「今日はここまで。……また、な」


制服を正して、唇へ軽くキスを一つして。


「花火、きれいだったな」


なんて、見てもいなかった花火の感想なんか言ったりして。


今日の展開がよかったか悪かったかの、審判の声を待つ。


『やっばぁ。濡れるわ』


という低めの声に、ホッとした次の瞬間。


『そろそろ当て馬のちゃんとしたの、ブチこんじゃおうかな』


そんな台詞の次に聞こえた当て馬だという相手の名前に、俺は奥歯を噛む。


(ちょっとヤバイかもしれない)


背中にひんやりしたものを感じながら、何もなかったかのように彼女の手を引いて教室を出た。




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