歩き出す、恋心 18
過去に自分がやっていた乙女ゲーム=乙ゲーの二次小説を書いていて、
その中のキャラがこんなことを考えていたらどうだろう?
…というのがキッカケで書き始めた作品です。
舞台は、よくある高校です。
メガネ・崩したスーツor白衣が好物の作者です。
そんな俺を見て、みるみるうちに耳まで真っ赤になっていく彼女。
一歩踏み出して、彼女の体に触れる。
この段階でなら、ちょっと触れすぎかもしれない程度に。
「力みすぎ。あと、足はそろえるな。朝礼で並んでるみたいなやつな。肩幅程度は開いとけ」
肩に両手を置き、ポンポンと軽く叩く。
それと…といいつつ、ボールを一旦床に置き、ひじの高さや利き足を聞いて位置を調整したり。
ひじの高さの調整の時には、顔をかなり近いとこまで近づけたことで彼女が言葉を失っていた。
「ひざを柔らかく使う感じで、ボールを持たせて……。それから」
一緒になってボールを持ちながら、細かく教えていく。
「まずは、最初に言ったように、体の力抜いてー」
「…………」
真っ赤なまま、こくこくとうなずくだけの彼女。
「俺が隣で同じように打つから、頭の中にイメージもしっかり作って打ってみろ。イメージって、結構大事だからな」
「……う」
小さなうなり声みたいなのが耳に入る。
「…聞いてるのか?」
「あ、う、は…はい」
話を聞いているというよりも、俺の目や口元ばっかりを目で追いかけているように見えた。
「かぁんだぁあ?」
わざとらしく、間延びさせて名前を呼ぶ。
「き、聞いてますってば」
ほんのちょっとだけ圧をかけてみたけど、どこか上の空にも近くくて。
「ま、いいけど。とりあえず打ってみるか」
いいつつ、ちょっと待てと手で制して、近くに転がっているボールを拾ってくる。
「ここにあるだけ、いってみよう」
俺も約束したように、彼女の横に立ってボールをかまえる。
「じゃ、いくぞ」
そう俺が声をかけると、元気な返事が返ってきた。
「はいっ」
って。
「うん、いい返事だ……っと。ほい」
褒めながらボールを放ると、まるで吸い込まれたようにゴールへとまっすぐ飛んで行った。
「わっ」
嬉しそうに声を上げた彼女に、
「ほら、お前の順番」
と、急かす。
「は、はい」
「リラックス!」
「あ、はい!」
緊張のせいか…一本目は、届かずに落下。
「…ほい、二本目」
いいながら、また一本決める俺。
うんとうなずく俺を見て、
「むー」
彼女はちょっと口を尖らせた。
俺に続けて、二本目を打つ彼女。
「あ!」
リングに触れたのに、跳ねて外れる。
「惜しい! さ、次!」
三本目を打つ俺を見て、彼女は何度かうなずいてから息をふぅと吐いて、ゴールの方へと目を向けた。
自分なりに何か気づけたのか、3回目ってのがフラグだったのか。今までとは、すこし違って見えた。
(……あ)
体に余計な力が入っていなかった。
ひじの高さもよかった。
シュートを放った後の姿勢も良し。
「おねがいっ」
危うくまた跳ねて外れるかと思ったけど、彼女の声に応えるかのようにシュートが決まった。
「ちょ、え、やだ、ほんと? え?」
入ったっていうのに、本人が疑ってる。わかってた展開だけど、反応が面白い。
「出来たんだから、素直に喜べばいいだろ」
「だって、入れ! って念じたけど、こんなにすぐに入るだなんて」
「よかったな」
一歩分近づいて、彼女の頭を手のひらでポンとする。
そんな俺に目を合わせたまま、彼女が。
「神……田?」
ぽろぽろと、涙をこぼす。
「どうした? 嬉しくてか?」
知っている。この後の展開も、憶えているんだ。
「違う、の」
ぽろぽろと、涙を流しながら、どうしてか微笑む彼女。
「お前、なんで…そんな」
辛そうに微笑みながら泣く彼女をみて、自然と体が動く。
「……そんな顔して泣くなよ」
そういいながら自分の胸元へと、右腕を彼女の頭に回して引き寄せた。
眼下にある彼女の頭に唇を寄せ、口づけを落とす。
小さなリップ音がした瞬間、彼女がガバッと顔を上げる。
「せん……」
目にはまだ涙が浮かんでて。
一瞬、口が開き、何かを言いかけてから唇をきゅっと結ぶ。
「言いたいことあったらいえよ」←本当だったら、ここでこのセリフなんだ。
(だけど、悪い。作者サマ=神田。お前が入れたかったセリフは、奪わせてもらう)
可能性の問題。
やってみる価値はあるはず。
「……悪いな、神田」
俺を見上げる彼女へと囁くように、告げる。
「……え」
少し驚いたような表情の神田に、俺は言葉を続けた。
「お前は…俺の生徒なのに」
そういった瞬間、どこぞからあの声が聞こえた。
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