歩き出す、恋心 9
過去に自分がやっていた乙女ゲーム=乙ゲーの二次小説を書いていて、
その中のキャラがこんなことを考えていたらどうだろう?
…というのがキッカケで書き始めた作品です。
舞台は、よくある高校です。
メガネ・崩したスーツor白衣が好物の作者です。
両想いのはずなのに、どこか片想いっぽくもあり。
作者サマが俺を使ってやっていることは、何の苦行なんだろうと最近感じつつある。
とはいえ、だ。
登場人物なんだから思うように動かすのが当然なんだとしたって、動かされていると意識した側からしたら解放してくれと思いたくなる。
それが神社での最後にかけた願掛けってやつになったわけで。
普段お願いなんかしてこなかった人間が手を合わせたって、叶うかどうかは別物…だよな。
きっと。
多分?
どこかぼんやりとあの日のことを振り返っていると、「佐伯先生」と声がかかる。
逆光の中、背の高いシルエットが目に入る。
「気をつけた方がいいと思いますけど、今後も同じ付き合いをしていくのであれば」
職員会議で部活に遅れ気味に向かう、放課後の廊下。
バスケ部の副部長に、声をかけられた。
スマホをこちらに向けて、とある画像を見せながら。
「コレ、彼女ですよね。隣にいるのは……ですよね?」
間を開け、俺をちらりと見やった。
「遠くの神社だったらと思ったんでしょうけど、この日…俺の姉が行ってたんですよ。その姉が撮ってきた写真の端っこに、二人が写り込んでいましてね」
ものすごく端っこで、かつめちゃくちゃ小さい写り込み。
こんなのによく気づけたなと思うほど。
目いっぱいスマホの画面内の写真を拡大して、「ほら」と何度目かわからない確認を促される。
「……わかった。十分、確認できた」
認めるしかなかった。
縁みくじを買った時の二人だな。
二人の顔が完全に写っている。
どっちかでも相手へと顔を向けていたなら、多少のごまかしようがあったのかもしれなのに。
「それで?」
廊下の壁に腕を組んでもたれかかり、副部長に問う。
「藤原。お前は俺をどうしようと? 生徒と個人的に関わっていると、告発でも?」
威圧するでもなく、淡々と。
藤原は、おちゃらけた部長に釘を刺したり、必要なところじゃ自由にやっていってもいいように、さりげなくサポートをしたり。
部長よりも部長らしい行動や発言が多い。
なんせ、頭がいいし、家がどこぞの大企業のお坊ちゃんで、上に立つものとして教育を施されているってのがでかい。
ようするに、人の使い方に長けていて、その影響か…部長を活かすのが上手いのは、副部長しかいないといわれているほどだ。
ふうと小さく息を吐いてから、心を決める。
教師だからって威圧したところで、こいつには「それがどうしました?」とか言われるだけだ。
「他にも言いたいことがあるから、ここで声をかけたんだろ」
あいつと付き合うことになってから、ずっとずっと…覚悟を積み重ねるように過ごしてきた。
バレずにすむなんて甘いこと思っていなかったしな。
「言いたいことあったら、言ってくれ」
意外と心の中は凪いでいる。
言われているのがこいつだからってこともある気がするけど。
「焦らないんですね、この状況下で」
表情を変えることなく、淡々と状況判断してくる。
「あー…まあな。焦ったところで、今更って話だろ」
俺がそう返したら、盛大なため息が聞こえた。
「……なんだ。意外と大人だったんですね。わずかな隙でも見せてくれたら、彼女をいただこうと思っていたのに」
彼女へと浮かれたような態度があからさまなのは、部長のあいつがメインだと思っていたけど。
「お前も、か。……なんだ、普段落ち着いて見えていたって、お前も年相応の男子高校生ってことか」
年相応の男子高校生と口にしてから、苦笑い。
そうなんだよな。
あいつは、高校生。
目の前のこいつも、高校生。
俺だけ、一回り以上違う。
「…ははっ」
腹の中だけで笑っていたはずが、思わずこぼれていたらしい。
それを見て、「先生」と藤原が俺を呼ぶ。
「ん?」
視線だけ藤原へと流すと、いつも見せる貼りつけたような笑みで俺を見て。
「味方は、いりませんか? 二人の身近に、俺って使い勝手がいい人間を置く気はありませんか?」
そう、呟いた。
その笑みを見て、言葉の真意を測り間違えたら厄介なことになりそうな予感がした。
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