歩き出す、恋心 8
過去に自分がやっていた乙女ゲーム=乙ゲーの二次小説を書いていて、
その中のキャラがこんなことを考えていたらどうだろう?
…というのがキッカケで書き始めた作品です。
舞台は、よくある高校です。
メガネ・崩したスーツor白衣が好物の作者です。
(こういうのが母性とかいうんだろうか)
そんなことが頭に浮かんだ。
高校生の女子なんかじゃなく、俺を包み込むような大人っぽくて優し気な。
胸の奥がふわりとあたたかくなる。
きっと今のことで、俺はまた彼女を一つ好きになったんだろう。
(これも話の展開上とかじゃなきゃいいな)
これこそ神頼みになっちまう。
さっきと思ってることが真逆だ。
二人で並んで参拝の順番を待ち、二人で予習したことを振り返りつつ最初の二礼をする。
二回手をパンパンと打ち、神頼み。
(どうか、”俺”で彼女と恋愛が出来ますように)
と。
恋愛の神様を選んだのは、彼女が喜びそうだからとかじゃなく、もしかしたら俺自身が一番願いたかったからなんじゃないのか?
(…うーん。矛盾ってんだろうな、これ)
自分で自分のことがよくわからなくなってきた。
とにかく、しっかりお願いをしておいて…と。
目を開けると、隣からの視線とぶつかる。
「……意外と長かったですね、お願い」
言いながら、ちょっと嬉しそうだった彼女。
最後に深くお辞儀をして、その場を去る。
彼女が欲しがった縁みくじだかを買ってやり、車に戻ってから中身を見る。
「おみくじって、あっちにくくりつけてくるんじゃないのか」
そういいつつ、神社を指さす俺。
「あぁ、くくる人もいるけど、あたしは持ち歩きます。お守りにしたり、それこそ自分への釘刺しにしたり?」
小さな袋の中に折りたたまれたおみくじと。
「勾玉だっけ、これ」
ころんと袋から出てきた勾玉は、水色。
手のひらに勾玉を乗せたまま、彼女が大きくため息を吐く。
「どうした」
エンジンをかけながらそう問えば、「縁がない」と愚痴る。
「縁がない?」
何だろうと思って聞き返したら、できればピンクのが欲しかったらしい。
「こればっかりは、縁というよりも運もあるだろ。水色はなんの縁だ?」
袋に書かれている説明を読めば、学業と書かれている。
「……学生らしいじゃないか」
ははっと笑ってそういったら、彼女がいかにも不満そうに口を尖らせる。
「だって、恋愛の縁がほしかったんだもん」
っていいながら。
内心、俺的には縁がなきゃこうして俺と一緒にいないんだけどなと思う。
「で? おみくじは?」
ほったらかしにされているおみくじが乗っている、彼女の太ももあたりを指さす。
「あ、うん」
すっかり忘れていたのか、勾玉のストラップの紐を小指に通し、プラプラさせつつおみくじを開く。
ややしばらく黙って読んでいるなと思ったら、「読んでみてください。どう思います?」と手渡してきた。
小吉。二番。
「えーと、なになに? 地道な努力が必要。…うん。流れに逆らう行動は不信を招くので要注意。恋愛は…面白味はないが地味で安定している。…ぷ。学業は、ここで急に方針変えても間に合わない。…ふんふん。自己主張を抑えて、良識のある指導者に従って行動する謙虚な心構えがほしいもの…て書かれてるが?」
「…はい。その通りみたいで、うん」
「何が不満?」
ひどく悪い内容じゃない気がするんだけどな、俺的には。
「だって、ひどいんだもん」
「どのあたり?」
不思議に思って聞けば、まだ口を尖らせたままで。
「面白味ないって、失礼! 一緒にいるだけで、こんなに楽しくって面白いのにっ」
と、可愛いクレームを神様へと愚痴った。
「…………あのさ。それ、わざと?」
車が十分温まったところで走り出そうとして、やめる。
ステアリングに腕を組んだままアゴを乗せ、彼女の方へと顔だけ向けて聞く。
「なにが?」
まだ、どこか怒ったままの彼女へとぽつりと返す。
「これ以上、可愛いとこ見せないでくれる? ……好きになる一方なんだけど」
って。
そう言い切った時には、彼女の顔を見れなくなってた。
話すたび、声を聞くたび、触れるたび。
どんどんハマっていくんだろう。
今の俺の感情だけでもこんなに好きでいっぱいになってきているのに、男と女の関係になっている違う俺は、どこまで彼女にハマってしまっているんだろう。
想像すると、胸の奥に沁みるような痛みを感じた。
そして、ぶつける場所のない嫉妬と作者サマへすこしの憎しみを。
ちらりと横目に神社を見やり、目を閉じる。
(神様、頼むからどうしようもない今からの解放を)
そう願って、目を開けた。
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