歩き出す、恋心 7
過去に自分がやっていた乙女ゲーム=乙ゲーの二次小説を書いていて、
その中のキャラがこんなことを考えていたらどうだろう?
…というのがキッカケで書き始めた作品です。
舞台は、よくある高校です。
メガネ・崩したスーツor白衣が好物の作者です。
天気は、多分晴れ。
小さな雪が、時々ひらりと花弁のように降ってくる程度。
念のためまわりを見回してから、神社の方へ。
「真ん中は歩いちゃダメなんでしょ?」
「あと、鳥居の前で一礼しといた方がいいらしいな。…っと」
と、二人でぺこりと頭を下げてから鳥居をくぐる。
どうやら彼女なりにスマホで参拝のマナーを調べてきたらしく、俺へとスマホの画面を見せてきた。
「あぁ、らしいな」
「らしいな…って、先…んんっ! 和沙さん、お参りとかしたことって」
まだまだ慣れない感じで、俺を呼びなおしつつ首をかしげて見上げてきた。
「そんなに神頼みとかしてきたことがなくってな」
そういいつつ「ははっ」と笑ってみせたら、一緒になって「ふふっ」と笑う。
「神頼み、しないんだ」
「あー…まぁ、うん。行って来いって親に言われて、受験の時に行ってきたくらい」
「……へえ」
「不思議そうだな」
「まぁ、その、ね? あたしは、ほら…女の子だからっていうか、自分に自信ないから、余計に頼れるものは何でも頼りたくなったり」
「自信…ねえ」
言いながら人差し指で頬を掻く。
「俺だって、自信なんざないけどな。学生の時だって、今だって」
日々、修行。とは言わないけど、自信なんて経験しながらつけていくしかないって思ってる。
それに、神頼みしたって。
「あれだろ。毎朝、テレビの占いに一喜一憂しながら登校してるクチ?」
そう問えば、激しく同意だと表現しまくるうなずきがあった。
「……これは俺の持論だから、占いだの神頼みだのを否定しているって思わないでほしいんだけどさ」
そう切り出すと、はらりと雪が目の前に落ちてくる。
それを手のひらで受け止めて、ふうっと一息吐けばふわりと飛んでいった。
「俺はさ、神様に頼もうが仏様に頼もうが、最後に決めるのも動くのも、責任を負わなきゃなのも自分だろ? って思って。占いだって、一位だ最下位だって言われていても、一位だったら浮かれて最下位と同じことにならないための釘刺しって思うし、最下位だったら注意喚起って思えばいいって。気をつけて行動していたら、もしかしたら一日の中に一個くらいいいことがあって、一位よりも自分的にいい一日だったなって振り返るかもしれない。自分が決めたことを、あの日あの時の占いが悪かったからだって責任転嫁したくないし、自分がもうちょっとだけ頑張れたらよかったかもしれないことを見ないふりするのは自分のためによくないって思う。実際、俺は」
そう長々と話しながら、遠い昔を思い出す。
「……バスケ、今、顧問なんてやってるけど、本当はプロでやっていけたらって思っていた時期があって。その時の葛藤も決断も、それまで自分がしてきたことや自分の実力も、自分の人間性やいろんなことを視野を広げてよく見て、やりたいからやるっていう簡単なことじゃなく、好きなことだったからこそその当時の俺が出来る範囲で、バスケを好きなまま歩いていける決断をしたら、今みたいに教師になって部活の顧問をやって…ってとこまでたどり着いて。そこに行くまでの道にさ、もしかしたら見えない力が働いていて、知らない場所で護られていたかもしれなくっても、それでも最後の最後に右に行く左に行くって決めたのは…俺だから。教師になろうってなったのは、恩師の影響と同級生の影響もあったけど、それでも教師やっててよかったと思ってる」
話し終わって、昔を懐かしむと顔がゆるんだ。
「和沙、さん?」
不意に名前を呼ばれ、彼女の方へと視線を向けたらニコニコしてて。
「話してくれている間、顔が……ふふっ」
すごく、すごーく嬉しそうに笑ってから。
「学生の時って、そんな顔してたのかな? って思うような、幼い表情してた。…可愛い」
そういった彼女は、まるで年上のような表情で俺を見ていた。
なんだか立場が逆になったようで気恥ずかしくなって、俺は思わず顔をそむけた。
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