表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/50

神の子のプレゼント

 




 アダムは慌てて顔を背ける。

 か、顔が熱い………!なんなんだ一体………!




 最近の悩み、それはセラフィールを見ると顔が熱くなること。いや、それは前からそうなんだけど、なんというか………日を重ねるにつれてそれをすごく感じるようになった。



 何かの病気か?と思ったが僕は神だ。病気にはならない。じゃあなんでこんなに胸が痛い………?



 「………?アダム様?」


 「はうっ!」


 突然声をかけられて変な声が出てしまった。セラフィールはこてん、と可愛く首を傾げている。



 「そ、それより!今日は何を持ってきてくれたの?」


 「?……今日は数術をやろうと本を持ってまいりました!」


 「いいね、楽しそう。今日はなんの定理の話をする?」



 「ええっと……たしかこのページに………」





 セラフィールはパラパラと数術の本を開く。沢山ページの端が折れている。すごく真面目でいつも勉強をしているんだ。僕も実技よりも勉強の方が好きだからそれも楽しい。


 僕がわからないことをセラフィールが知っていたり、セラフィールがわからないことを僕が知っていたり……話していて話題が無くならないんだ。



 そんなことを思いながら、定理のあれやそれを話した。



 * * *




 「この定理は、どう使うのですか?」


 「ああ、それはね………」


 「んっ」


 「?」


 そんな話をしていると、セラフィールが突然お腹を抑えた。アダムはセラフィールを覗き込む。



 「どうしたの?セラ」


 「えっと、ネイビスがちょっとコルセットに引っかかって」



 「…………ッ」



 ネイビス。それは僕が誕生日プレゼントに用意した代物だ。……誕生日プレゼント、というのは建前で、出会って1年ということであげたネイビス。僕の魔力を込めた銀色だ。未だにつけてくれてるのが嬉しい。


 僕も自分のへそにセラフィールの瞳と同じ緑色のネイビスを着けているのは秘密だ。……なんて、僕気持ち悪過ぎないか?



 そこまで考え首を振って、セラフィールを見た。


 「大丈夫?い、痛いなら外していいよ」



 「嫌です。……アダム様から貰ったプレゼント、肌身離さず持っていたいんです」



 「…………」



 そう言ってへその辺りを手で抑えるセラフィール。……本当にこの子はなんでそういうことをサラッと言えるのだろう。聞いている方が恥ずかしい。



 赤くなるアダムに、セラフィールはくすくす笑う。


 「性格は違うのに、すぐ顔を赤くするのはわたくしのお父様に似ています」


 「う、うるさい!僕はお前の父親のようにお菓子作りも刺繍もなにもできないぞ!」



 「知っています、アダム様は不器用ですもの」


 「う………」



 セラフィールは目を細めて笑う。

 本当に笑ってばかりの女の子だ。1度くらい怒らせてやりたいと思うけど、何をやっても怒らないから不思議なのだ。



 「それより、もう少しこの定理の話を致しましょう。アダム様、教えてくださいまし」


 「わ、わかったからあまり近づくな………」



  セラフィールとアダムは再び数術の本を読む。しかし、アダムは少しだけ近い距離にドキドキしてしまい、あまり頭には入ってこなかった。






 * * *




 「~♪」



 ブロセリアンド城、アダムの自室。

 アダムは上機嫌で本を読んでいた。セラフィールに借りた『サクリファイス大帝国の歴史』という本だ。


 中々に見応えがあるもので、城に帰ってからずっと見ていた。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ