表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/50

救出、成功

※話が短いので、第2部主人公視点をいれました。ご了承ください。

 




 少し時間を遡って。




 「………」



 アミィールは龍の姿で、沢山の死体に囲まれながらとぐろを巻いて呆然としていた。



 ___沢山の死体。それらは全て、わたくしが殺した者達。つまり、ここはわたくしの地獄なのだろう。



 何故ここにいるのかなど考えない。

 次に死ぬのはわたくしの番。

 沢山の罪を重ねたのだから、自分が死ぬことに悲観してはならない。



 そもそも、わたくしは死にたくない理由など………『アミィ』___!



 心地よい声が、鼓膜を揺らす。

 わたくしが唯一愛した男の声。思わず上を見上げた。大きな、水色の契約印が刻まれた掌。………あの御方の、掌。



 アミィールは、その掌を見て揺らぐ。

 生きてはならない。知っている。

 沢山の罪を侵してきた。知っている。



 なのに。………それでも。




 ____あの御方に、会いたい。




 そう思ったアミィールはその掌に向かって、自分の手を伸ばした。



 すると、暗闇や死体が消えて___ヴァリアース大国や、皇城敷地にある『運命の場所』に居て。そして。



 「アミィ!」



 群青色の髪、緑の瞳の愛おしい、誰よりも、何よりも愛おしい御方に抱かれていた。わたくしは、殆ど反射的に、その名前を紡いだ。



 「せ、お…………?」



 「………ッ、アミィ………」



 セオドア様はポロポロと涙を零して、わたくしを抱き締めた。何が起きているのか、どうしてここに居るのかわからなくて、問うた。



 「わたくし、何が………ッ」



 「アミィ、大丈夫か!?」



 くら、と眩暈を起こすと、すぐさまセオドア様が抱きしめてくださった。もう20年も共に居て、慣れ親しんだ感触が心地いい。



 「大丈夫です、………何が、起きているのでしょうか?」



 「………ッ、そ、それは…………!」




 セオドア様が何かを言う前に、パリン!と音を立てて空間が割れた。そこには___セラフィールと、アダムという男が抱き合っていた。




 * * *





 「セラ!」



 「セラ!」



 「お父様、お母様………きゃっ!」




 空間が割れた、と思ったらセオドアがセラフィールを引っ張ってアミィールと呼ばれた女と共に背に隠して睨んだ。



 「何故、君がここに………何故、セラフィールが裸なんだっ!」



 「お父様!裸だったのは龍の姿で居たからです!アダム様は何もしておりません!」




 「………」



 ………どうやら、セラフィールが前に言っていた通り、この男は相当な親バカらしい。ここで口論している暇などないというのに………



 アダムは呆れながら、それでも口を開いた。



 「………そんなことより、ここを出よう。セラフィールと貴方の奥方は助かったのだから」



 「…………ッ、わかっている。


 しかし、どうすれば…………」



 「簡単だ。ここは意識内であれば、念じるのだ。


 全員で魔力を放出して、生きたいと願うんだ」


 「わ、アダム様………」



 アダムはそれだけ伝えてから、再び自分の腕の中にセラフィールを居れてセオドアを睨む。セオドアも睨み返した。



 「………セラは私の娘だ」


 「これからは僕の伴侶になる。


 ………セラ、共に生きてくれるか?」



 アダムがそう聞くと、1度だけ父親を見て……それから頷いた。




 「ええ。………わたくしは、アダム様と生きたいです」



 「ん。………なら、帰ろう」



 「はい、共に___帰ります」



 セラフィールがそう言って微笑むと、ふわり、と身体が浮いた。僕とセラフィールはお互いを抱きしめ合いながら上昇する。



 ____何があっても、もう離さない。


 ____この御方となら、いつまでも共に居れる。



 そう思いながら____僕達は、意識を手放した。





 * * *








 「…………ん」



 「アダム様!」



 目が覚めると、眼前にセラフィールの顔が広がっていた。ドレスを着ている所から、無事意識を抜け出したようだ。



 そんなことを思いながら、闇の聖杯を見る。闇の聖杯はとても小さくなっており、禍々しい光は消えていた。そんなことを思っていると、同じように目覚めた龍神の血筋達は騒いでいた。




 「身体、軽い」



 「………ミコトのお陰だ。『代償』が無くなった俺達は最強だな!」



 「アド、あまりはしゃがないでくださいまし」



 「アダム様、アダム様のお陰で、わたくし達は………龍神の代償がなくなりました。


 ありがとうございます」



 「いや………それは違う」











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ