表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/50

繋がる想い

 





 思わずセラフィールは露になった胸を隠そうとするが、素早いアダムの手がセラフィールの手を掴み阻む。




 裸を見られて恥ずかしいセラフィールは顔を真っ赤にして、アダムを睨んだ。



 アダムは、その無愛想な顔に珍しく笑みを浮かべ、いった。






「………君は、化け物じゃない。


 今の君は___ちゃんと人間の女の顔と身体だ」




 「…………っ、わたくし、は」



「セラは化け物なんかじゃない。どんなに嫌がったってそれは変わらない。セラはセラだ。


 そして、僕が愛したのもまた、セラなんだよ?」





 「な…………ッん!」



 セラフィールが何かを言う前に、アダムは唇を重ねた。涙に濡れたセラフィールの瞳が見開かれていく。



 17年生きて、初めてのキス。

 全部唐突で、全部理解出来なくて、………なのに、心地好くて。



 ____アダム様は、わたくしを慕ってくれていると言うの?



 ___でも、アダム様は神様で、わたくしは化け物で。




 でも。



『セラは女だよ』………そう言ってくれているような、キスで。




 わたくしは____やっぱり、この御方と居たい。



 この御方が好きだ。




 そう思いながら、目を閉じた。




 銀色の髪と紅銀色の髪が妙に赤い満月の光を乗せて、2人はキスをしていた。






 * * *





 「____ねえ、アダム様」





 ベッドの上で未だに裸のセラフィールはぽつり、愛おしい男の名前を呼んだ。同じく裸のアダムはそんなセラフィールを愛おしげに見ながら、気だるい身体を起こした。




 「………なんだ?」



 「アダム様はわたくしを攫う、と言ってくださいました。………けれど、わたくしは………この城が好きです」


 「………ああ」



 「国民も、国も、………愛しております。アダム様と2人で生きたい気持ちが無いわけではございません。


 けれど、………この城を捨てることは……」



 セラフィールはそこまで言って、ぎゅう、とアダムを抱き締めた。



 そんな愛らしい仕草をしながら、それでも涙を溜めているセラフィールにときめく。



 …………本当はこんなに関係を急ぐ気はなかった。2人で逃げ出して、2人で山奥にでも住んでから……と考えたけれど、セラフィールがこの国をどれだけ愛しているかを常日頃から聞いていたから、こういうんじゃないか、って心のどこかで思ってた。だから関係を結んだんだ。




 ____きっと、『破戒の女神』・アマテラスもこう可愛く強請られたんじゃないかな。



 じゃないと、逃げ出した神が皇族になんてならなかっただろうし。




 そこまで考えてふ、と笑みを浮かべてセラフィールの額にキスをした。




 「…………わかった。僕は君と生きる為に神を捨てたんだ。


 君の選んだ道と共に、在り続ける」




 「………!アダム様………ありがとう、ございます」



 ふわり、と浮かんだ笑み。こんな可愛い顔に欲情しない男など居ないんじゃないか?神だって敵いはしない。



 「………セラ」



 「?アダムさ………っあ」



 アダムはセラフィールの身体に触れる。甘い吐息と熱烈な視線を受けながら、口角を上げた。



 「___会えなかった分、もっと愛したいんだけど」



 「………っ、う………アダム様は破廉恥です………!」



 「そんな可愛い顔をする方が悪い」



 「んっ」



 涙目で苺のように顔を赤らめるセラフィールに唇を重ねた。



 …………もう、絶対離さない。



 セラフィールは、俺だけの天使だ。




 傲慢で結構。自分勝手で結構。




 ____仕方ないだろう?神なんだから。



 神を捨てた男はそんなことを思いながら、天使を夜通しで穢したのだった。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ